帰宅して悩んだけれど、寝ることにする。
やることがないわけじゃないけれど。
〆切があるものはすでに、クリアしておいてある。
仮眠を取って、日本を応援しようと思ってだ。
当たり前のように、目覚ましの音が鳴る前に目が覚めた。
平均睡眠時間がそもそも短い。
試合を観た余韻が残っていて、何もできない時間が続く。
でも、それじゃいけない。
次だ。次に進むんだ。
中学生の頃。仲の良かった友達はサッカーが大好きだった。
彼のノートには手書きの、世界中の代表のユニフォームが書かれていた。
彼にとってのアイドルはマラドーナで、日本のテレビではあまり放送もされてなかった。
うちの中学のサッカー部は弱小も弱小で、彼はそのチームに所属していたけれど。
勝ったことなんて一度もなかったはずだ。
高校に行ったら、視聴覚室のプロジェクターで世界のサッカーを皆で観た。
ペレのスーパープレイ、マラドーナの五人抜き、イングランドの初優勝。
すごいなぁって皆で言ってた。
その時、今日の試合がやってくるなんて、夢の話だった。
誰かが夢を見た。
そんなの夢だよと人に笑われたかもしれないけれど。
真剣にそこに立ち向かった。
日本がW杯に初めて出場してから6大会もの時間が経過した。
今の代表の選手の中には、産まれた日には既に、日本がW杯出場していた。
夢は、いつの間にか、現実になって。
その現実に向かって、夢を持つ少年たちが生まれていった。
テレビがないから、ノートにユニフォームを書き続けた少年なんかもういない。
視聴覚室で全員で観るなんてこともないし、録画すらしないでいい。
インターネットを通じて、世界中のサッカーをいつだって、観ることが出来る。
夢は夢じゃなくなった。
それでも、夢には続きがある。
セブンガールズという作品を映画にしたいという夢をみた。
それを現実にするために、走りまくった。
走って、息切れして、倒れそうになったら仲間に寄りかかった。
いつの間にか、それは現実になって、今、いよいよ上映前の段階になった。
一般公開は9月だけれど、試写会が迫っていて。
想像以上に、自分はうろたえている。
たくさんの人に観てもらう。
映画制作関係者だけじゃない人たちに。
その次は、公開が待っている。
夢には続きが待っている。
余韻を感じるのではなくて。
余韻をパワーに変えていこうじゃないか。
もう、どうせ、今日は眠くならないのだから。
一つでも進んでいけばいい。
これは夢じゃない。
現実的な一歩なんだから。