2018年07月25日

あの夜は続いている

豪雨速報だけが来るけれど雨が降らない。
どこかでゲリラ豪雨が降っている。
それも、ごく限られた地区だけで。
ふらりと外に買い物に行ったら、いつもの夏の夜じゃなかった。
熱帯夜というには、余りにも暑い。
どこかで降っている雨の湿気が、大気を支配している。

データの書き出しをしながら同時進行で次回公演の作業もする。
様々な作業が溜まっているのにまるで捗らないのは何故だろう。
こんなことじゃあ、ダメなんだ。
おいらは、ずんずんと、どこまでも進む人間のはずだから。
もっともっとだ。くそお。

決まっている。
大事なものは。
その笑顔をみたいから、頑張る。

映画ドットコムにセブンガールズの情報だけが掲載されていた。
前に検索した時は出てこなかったから、今日もだろうなんて思っていたら。
キャスト、スタッフ、オフィシャルページへのリンクぐらい。
あらすじも、ビジュアルも、何も掲載されていない。
まだまだ伽藍洞なそのページに、感動してしまう。
多くの映画と並んでいるだけで。
皆の名前が、映画ドットコムに並んでいるだけで。
監督と自分の名前が、何か所かに出てくることに笑ってしまう。
本当に公開するのだけれど、実はまだ本当に公開するという実感を持てていないのかなぁ。
たったそれだけのことで。そうなるとわかっていたことで。
おお!と感動してしまうのだから。

Filmarksと並んで、恐らく最大のレビューサイトだと思う。
得点なんかつけるんだぜ。
いやだなぁ、数字で判断されるのなんて。
どんな思いで、この映画を創ったと思ってるんだ。
でも、そういう現実はあるからさ。
結局、どんなレビューでも、1つでもあがれば感動してしまうのだろうなぁ。
きっと読まない役者もいるし、読む役者もいる。
凄い時代になったよなぁ。
厳しい意見も結局、愛おしく読んでしまいそうな自分がいる。

どうやら、世間じゃ夏休みに入ったみたいで。
そういえば、街の景色が少し違う。
通学中の学生がいないし、電車の混雑も少し違う。
外を歩く子供たちのテンションが、高い。
今の子供たちは暑いから皆、首から水筒をぶら下げている。
ごくごく飲みなさんな。
ちびちび飲むのが熱中症対策の秘訣だぜ。

夏の夜がやってくると思い出す。
中学生の時、一人暮らしをしているおじいちゃんの家にお手伝いに行った時期を。
おじいちゃんのご飯をつくって、話をして、昼寝をして。
夜中にそっと抜け出すんだよ。
ビーチサンダルで、やさしい砂の感触を確かめながら歩くんだ。
海に出れば、星空とそれを映す海原の境界線が曖昧になってる。
波打ち際には夜光虫たちが柔らかく光ってた。
どうしょうもなく孤独で、いつか自分はひとりぼっちになるんじゃないかって思った。
寂しいなぁって実感しながら、砂浜に座って、いつまでもひとりぼっちだった。
あの時の夏の夜は、ここまで暑くなかったよ。
泳げるぐらいには暑かったけどさ。
補導するような警官がいない田舎町で良かったな。
あんな夜はなかなか体験できないもの。
もう二度とあんな夜は来てほしくないのかもしれないけれど。

間違ってるかなぁ。
自問自答はいつでも自分に向かってやってくる。
あの星空と海原の境界線から、得体のしれない魔物がやって来て、飲み込まれそうになる。
そんな時は光を探すんだ。
波打ち際に光ってる夜光虫はそれを教えてくれた。
進む先はわかっているのに、光がある場所がわかっているのに。
あそこに辿り着くまで、何度、おいらたちはこんな夜を越えなくちゃいけないんだろう。

間違ってないさ。
きっと。
宝物のような笑顔が、ここにあるんだから。

パソコンが悲鳴を上げている。
書き出しをしているから熱を持っている。
動画のエンコードなんていう重い作業を何度も何度も強いてきた。
こんな熱い夜にすまないなぁ。

豪雨速報がまた来た。
けれど、雨音は聞こえない。
気配だけの雨。

砂を踏む音が聞こえた気がする。

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posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:47| Comment(0) | 映画公開への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月24日

「カメラを止めるな!」を止めるな!

たびたびここにも書いた「カメラを止めるな!」を観に行った。
本当はセブンガールズが上映されるK'sシネマで観たかったのだけれど。
当初予定していた上映期間を延長した関係上、上映が一日一度に限られてしまった。
このままだといつまでも観れないんだよなぁと思っていた。
それでも、セブンガールズのチラシが置いてある劇場にしようと思っていたのだけれど。
結局、予約のできるチネチッタに行って鑑賞した。
中断ど真ん中、スクリーンが目の前という信じられないような良席がたまたま1席空いていてラッキーだった。

シチュエーションが余りにも「セブンガールズ」と重なっていると思っていた。
K'sシネマでの上映ももちろんだし、初長編監督作品というのも同じ。
出演者が全部小劇場の無名俳優たちという売り込み。低予算映画。
自分たちで必死で宣伝をしていること。
どこを切り取ってもまるで、合わせ鏡のようだなぁと思っていて。
その映画がスマッシュヒットをしたのだから、それはもう観に行かないわけにはいかないと思っていた。
先にプロデューサーも鑑賞していたし、出演者でも観に行ったメンバーがいた。
そして、今、作業が止まってしまって、刺激が欲しいタイミングだったというのも大きかった。

「カメラを止めるな!」というタイトルを英訳すれば「Show must go on」じゃないかと思う。
ところが、英題は「ONE CUT OF THE DEAD」
ニヤリとしてしまった。

ネタバレをしないほうが楽しめる!という意見の多い映画だから、あまり詳しくは書いちゃいけないのだと思う。
自分としては観終わった今も、ネタバレなんかしてもしなくても一緒だと思った。
事実、リピーターがいるのだから、全てわかって観る人もいる以上、そこは関係ないと思うのだけれど・・・
とは言え、細心の注意をして、ここに感じたことを書こうと思う。
これから観たくて、何も情報を入れたくないという人は、この先は読まないでも良いです。

客席の真ん中に座って、他のお客様の反応を感じながら、暗闇の中スクリーンに集中して。
この作品に込めた愛情、情熱。真摯に作品に向かう姿勢、誠意。
その全てが、客席にダイレクトに伝わっていくのが手に取るようにわかった。
或いはそれは、現場の空気そのものだったのかもしれない。
現場の空気がそのまま映像に映っていた。

すごくすごく勇気をもらった。
ああ、伝わるんだ。ちゃんと伝わっていくんだ。
重ねた苦労も、その思いも、全てがスクリーンには映る。
役者の演技の中にある、本当がわかる。
そこに生きているかどうかまで、全てが映る。
そして、それが高く評価されている事実が、この映画にはあった。

実は先日の稽古の後に呑んだ時に出た話がある。
「カメラを止めるな!」の成功を素直に喜べないんだよなぁっていう正直な意見。
その後に「セブンガールズ」を公開したって、二番煎じになっちゃうんじゃないかって思うんだよっていう言葉。
わかるような意見ではあるけれど、それは、全然間違っているよと言った。
実はそれは、大成功したことへの嫉妬心なんじゃないか?って。
そのぐらい呑みの席でも常に本質的な意見だってぶつけているから、気にせずに口にした。
そしたら、確かにそう言われたら、嫉妬なんだよなって言う。
だとしたら、嫉妬なんかなんにもいらないよ!と、言った。
何故なら、二番煎じになんか絶対にならないから。
別の作品なのだから別の作品として観てくれるに決まっている。
むしろ、こうやってヒットすることもあるんだっていうことは喜ばしいことだよ!と。
なぜなら、邦画が盛り上がり、ミニシアターが盛り上がり、面白い映画を探す人が増えるのだから。
全体で考えれば、絶対にセブンガールズにとっても、嬉しい事なんじゃないかって。
そんなふうに伝えた。
それは、意外にすぐに理解してくれて、じゃあ、今、すごいタイミングで公開できるのか!
と、あっという間に、ポジティブな方向になっていった。

シン・ゴジラ、君の名は、この世界の片隅に、そして、先日の万引き家族。
特撮、アニメ、大規模映画、世界一、とにかく、あらゆる方面で邦画が全体的に盛り上がってきた。
日本人が面白い映画を創り始めているぞ!という雰囲気がある。
映画ファンが、その面白さを探し出すぞ!という空気になりつつある。
その中で、ミニシアターというフィールドでも話題作が生まれた。
低予算映画と呼ばれるジャンルの中にも、注目作が生まれた。
そういう状況下で、セブンガールズを公開できることって、すごいことだ。

面白い本をみつけたり、漫画を見つけると、本屋に通ってしまう。
かっこいいバンドを観ると、思わずライブハウスに他のバンドを探しに行ってしまう。
最高の音源を見つければ、ネットで調べたりレコード屋に通い詰めてしまう。
同じように、面白い映画が増えれば、当然のように、他の映画も観てみようとなるに決まっている。
きっと、セブンガールズを見つけてくれる人だっている。
そして、似たようなシチュエーションでありながら、別の驚きをきっと感じてくれる。
大作を、低予算で創るなんて言う挑戦、思いだけで、情熱だけで実現したその空気は絶対に伝わる。
この「カメラを止めるな!」を観たお客様の中で、誰かが来てくれたら。
間違いなく分かってくれるぞと思った。

そのぐらい魂のある芝居を、お前はしたよ!とは飲み屋で言えなかったけどさ。

知っている。
ムーブメントというのは、そういう所から生まれることを。
「カメラを止めるな!」一本では、ムーブメントにはならない。
それは、ヒットだ。
そこからさらに、こんなのもあるぞ!こんなに面白いのを見つけたぞ!が繋がっていって。
それが初めてムーブメントになる。
かつて、映画は、そんなムーブメントを何度となく生み出してきた。

自分たちのように劇団をやっている人たち。
小劇場というフィールドで誠実に作品に取り組んでいる役者たち。
自主映画、ミニシアター、単館系、ショートフィルム。
そういう世の中では、まだまだ日の目を浴びづらい場所にいる全員。
「カメラを止めるな!」を止めるな!
続いていくんだ。
面白い舞台を発表しよう。
面白い映画をどんどん作ろう。
そりゃ、出来ないことの方が多い。
そこは、アイデアで乗り切る。
やってやれないことなんか、なんにもないんだから。
それが出来れば、それはムーブメントになる。
新しい流れが生まれる。
そして、是枝監督のようなトップランナーに続く人が生まれていく。
なんて、芳醇な文化だろうか。

Show must go on!
舞台用語だ。
幕が開いたら何があろうが進め!
「カメラを止めるな!」のハイライトはスタッフロールだ。
その瞬間、あの映画はそれまでの二重性の厚みを三重にした。

そして、おいらは勝手に解釈した。

歩みを止めるな!
流れを止めるな!
夢は止めるな!
幕が開いたんだ!
濁流となるまで、もう進むしかないのだ。
意味はあるでしょ!

偶然にしては出来すぎている。
まるで、これも、奇跡のようだ。

セブンガールズ公開まで残り約2か月だ。

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posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:30| Comment(0) | 映画公開への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月23日

明日のために生きてる

午前中にやれるだけのことをやっておく。
女優たちが稽古している間に、連絡事項や必須作業。
意外に、はかどった。

稽古場に行く道、汗が滝のように。
凄い熱波だ。
これは今日は暑くなるなぁと思いながら、稽古場に向かう。
稽古場に到着して、何人かをピックアップして撮影する。
全部使うかどうかはわからないけど、役者からの直接のメッセージ。
短い動画になるけれど、それぞれ、アップできれば。

終わって稽古に入ろうかと思ったけれど、主要な役者がいないから少し話す。
SNS運用の話。
どこにラインがあるのか、それぞれ見解は違うから難しい部分はあるけれど。
細かいニュアンスの話だから、まぁ、まだまだきっと続くだろう。
それぞれ、何を出来るか模索している。

同時に宣伝部隊の編成も。
チラシにポスターを、色々なところに皆で宣伝に行く。
舞台の時もいつもやっていることだ。
ちょっとポスターの数が、想定外に減っていた。
実はもう数十枚どこかに貼ってあるということだったのか・・・。
出来れば、ポスターを貼ってくださった方は紹介したいと思っているけれど。
用意した分、無駄にせず、優先順位の中で宣伝出来ればそれで良い。

新しい台本を演じてみてから、最初に戻って演出が始まる。
今日は、様々な役を代役で演じる面白い日だった。
結局、芝居がやりたいのだ。
自分はそういう人間なのだ。
世の中の役になんか立たない、それだけをやりたい人間。

稽古が終わり、いつもとちがう店で飲む。
面白可笑しい話。
これから、何が起きるだろう。
わくわくする話も。

ジェラシーの話が出る。
でも、そんなジェラシーいらないじゃんってことに落ち着く。
冷静になってみれば、嫉妬心というのは、あんまり大抵は意味がない。
自分がしっかりすること以外に、必要ないネガティブな発想だ。

帰り道。一人。
深夜帯になっても汗が噴き出る道。
明日はもっと暑くなるだって?
次の週末には気温が落ち着くなんて話もあるけれど。

さて。
作業的に必要なことがいくつか重なったな。
どこから手を付ければいいのかもわからないぐらいに数がある。
まぁ、やるしかないのか。
どおってこたぁないさ。
これまで、今以上の状況を乗り越えたのだから。

夜道でピュウと口笛を吹く。
余裕だぜ。笑い飛ばしながら。
映画が完成するのかどうかもわからない不安の中で、進み続けた道はもう終わった。
そのストレスがないんだ、口笛もでるさ。

どんと来い。
おいらが今している準備は、映画の準備なんだぜ!と色々な人に話したいよ。

ヒラリ、メモが落ちた。
丹下団平が矢吹丈に送った手紙だ。
「あしたのために その1」
あれは確か左ジャブの打ち方だったか。
あしたのために、基礎の基礎から始まった。

「明日のために生きてる」

セブンガールズに出てくるセリフを思い出した。

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posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:06| Comment(0) | 映画公開への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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