プロデューサーからPVについての連絡があり、コンセプトが固まる。
事前に3種類のPVを仮で作成しておいた甲斐があった。
そのうちの一つのコンセプトに絞り、更に、もっと特化する方向になった。
なるほど!と膝を打つ内容。
いわゆる「特報版」というやつだ。
プロモーションの段階まで含めた指示だった。
帰宅して、すぐにPV編集の直しを始める。
90秒3本を製作しておいたうちの1本。
これを60秒に設定しなおして、音楽の配置をする。
あとは音楽のテンポやタイミングに合わせていく。
真正直すぎるのが、とても良いと言ってくださっていた。
もちろん、かっこいいPVにすることも出来るし、それもやることになる。
でも、それよりも、正直に正面から特報を送る方が、企画に合っている。
並んでいるワードも、面白いものをピックアップしてくださった。
並べている音楽とのタイミングで、効果的にワードを設置していく。
昔は映画のPVは、二か所でしか見れなかった。
映画館CMかTVCMだ。
場合によっては、情報番組の映画紹介コーナーで観れたりもしたけれど。
今も、観るけれど、TVCMは15~30秒だ。
映画館では、100秒近いCMを観れるから、情報量が多い。
でも、今は圧倒的にネット経由なんじゃないだろうか?
PCで、スマフォで、オフィシャルサイトや、SNSから予告編を観る。
インフラの整備が整って、動画コンテンツが増えた頃から一気にその傾向が高まった。
ネット映像にも実は視聴率と言うのもがある。
再生された回数がそのまま記憶されていく。
けれど、この回数も、3秒以上再生した場合にカウントされるもので、全編観たものではない。
また、Youtubeなどでは、実際の映像の長さに対して、何分以降は観なくなるケースが多いというデータがある。
実は、ネットと言うインタラクティブメディアの方が、他のメディアよりも数字で結果が見えやすくなる。
予告編も再生ボタンを押してもらうだけじゃなくて、最後まで見てもらえるかが大事。
いや、なんだったら、何度も観てもらえるようにすることがベターだ。
更に再生機器についても考えなくてはいけない。
PCからの視聴と、スマフォからの視聴、タブレットと、色々にある。
スマフォの場合、音なしで観る人もいることを念頭に置かなくちゃいけない。
通信料の節約で、画質を落として視聴する人もいる。
文字テロップは大きい方が良い。
そして映像をアップするコンテンツ。
もちろんWEBサーバーにそのままアップロードも可能だけれど。
むしろ、SNS上にアップロードしたほうが、拡がっていく。
Youtube、Facebook、Instagramの3メディアにはアップロードしたい。
Instagramは、最長60秒だったはずだ。
編集しながら、そういう全てを頭の中に入れて作業する。
文字を動かしたりすれば、かっこよく収まりそうだけど、それはしない。
小さなスマートフォンで観るなら、文字はFIXのほうが優しい。
伝えるべきコンセプトが決まったのだから、方向は一つなのだ。
こんなのどこも当たり前にやってるよ・・・と思うかもしれない。
けれど、多分、そんなことはないことになっていく。
映画会社の映画のような大プロジェクトとは違う。
小回りが利くという優位性を生かして、どんどん次から次へとプロモーションが出来る。
少なくても、一度の打ち合わせでもらったワードを参考に、3本のPVを作成して
あとは、メールや電話で、第一弾のPVが完成されようとしている。
そこに会議もないし、PV製作会社内の責任者と実際の製作者との連携すらもない。
広告代理店が入る隙間すらない。
全てが、プロデューサーとの直接指示で進めるのだ。
こうなりますか?と聞かれた、その日のうちに、こうですか?と仮のデータを送れる。
こんなに早いことはない。
ああ、この映画は、Bが入らない映画なのかもしれない。
全ての映画は、BtoCなのに。
この映画は、CtoCに限りなく近い。
腰を据えられるのは、もうそんなにない。
さぁ、一気にWEBも仕上げる。