コンビニに並ぶ雑誌のタイトルが全て上部に書かれている理由はご存じだろうか?
ラックの雑誌棚に並ぶとき、上部が棚の段の差で飛び出る。
結果的に、ラックの雑誌棚に並んだ時に、すぐにどの雑誌かわかるようになるからだ。
ところが、実はそれには落とし穴がある。
ラックの下にある平置きの棚に並べられた時に、どの雑誌なのかとてもわかりづらくなってしまう。
だから、大抵の雑誌には、その雑誌で一番の特集や作品のタイトルを最下段に印刷する。
そうすることで、平置きでもラックでも、すぐに手に取ってもらえるように工夫している。
まだ劇団に入る前、自分で舞台をやる時に、先輩に色々と教わった。
そのうちの一つが、チラシのデザインの基本だった。
演劇のチラシは、基本的に上部に、劇団名とタイトルを書きなさいという事だった。
理由は簡単。
演劇のチラシの多くの宣伝場所は、折込だからだ。
パンフレットに折り込まれたチラシは、上部が一番最初に見える場所。
そして、多くの劇場置きチラシは、ラックか吊り下げになる。
吊り下げも、高さに差をつけているから、上部にタイトルや劇団名があった方が良い。
縦のロゴであれば、基本的には右側に寄せなさいと言われた。
それも、折込をめくる時に、最初に目につく場所だからと言う理由だった。
もう、はるか20年以上前に教わったことだ。
実際、この法則は今も根強く残っている。
多くの演劇のチラシはこのルールに則って作成される。
もちろん、あえてルールを外す場合もある。
それはデザイン的な問題なだけだ。
基本は基本として残っている。
ふと思い出して、映画のチラシを色々確認してみようと思った。
昔は映画館でよく見ていたし、今はどうなのだろうと思って。
実は、プロデューサーに2種類ほどサンプルをもらっていた。
けれど、2種類だけじゃ比較検討にならない。
思いついて検索してみたら、こんなサイトがあった。
このページは、すごい。
ありとあらゆる映画のチラシをPDFで公開している。
今年公開の映画も、それ以前も、さすがに全部じゃないと思うのだけれど、それに近い数のはずだ。
どれも参考になる。
実は、これを観て、気付いたことがある。
なんと、映画のチラシは、多くがタイトルが下の方に書かれているという事だ。
これには、ハッとした。
サンプルでいただいたチラシもタイトルが下だったから、あれ?とは思っていたのだ。
慣例やルールは、その世界で変わる。
当然、映画と演劇では、微妙にルールが違っているのだ。
理由はシンプル。
映画館でチラシの置いてある場所に行ってみればいい。
殆どが、平置きの棚なのだ。
棚がいっぱいだと吊り下げになったりする。
もちろん、ラックの場所もないわけではない。
だから、上部にタイトルを記載しているチラシもあることにはある。
けれど、下部に記載が多いのは、棚の方が多いという証拠じゃないだろうか?
ラックも思い返せば、高さに差があるものと言うよりも、全体が見えるようになっているものが多い。
ちなみに演劇のチラシは今、A4がスタンダードだけれど。
映画のチラシは、恐らくB5しかない。
B4の二つ折りはあるけれど、どうもA4は見かけない。
これも、理由ははっきりしている。
映画館のチラシを置いてある棚の大きさが、B5なのだ。
チラシを集めているコレクターもいるからだろう。
カウンターのようなテーブルがあって、その下に棚がある場合もある。
そうなると、キャッチーなのは、やはり最下部になる。
ちょっと盲点だった。
下部がやけに多いなぁと思ってはいたのだけれど。
演劇のルールを知っていたからこそ気付いたことでもある。
一人でも多くの人に手にして欲しい。
その中で生まれた知恵だ。
たかがチラシ、されどチラシ。
様々なアイデアが詰め込まれている。
SNSやインターネットのある時代。
今の映画チラシは、どうやら、情報量も非常に少ないものになっている。
むしろ、ビジュアル的に持って帰りたくなるデザインをメインにしていて。
文章などはほとんど記載がないものまであった。
WEBに誘導さえできれば細かい情報はそこで確認できる。
まずは、持って帰って欲しいという事なのだろう。
そういえば、劇場の置きチラシの何倍も、映画館のチラシはなくなっていくらしい。
急速に知識を頭に詰め込むのだ。
その知恵を知っていくのだ。
その世界で生まれた慣例は、決して、たまたまそうなったわけではない。
何でも自分でやるぜ!だけでは駄目なのだ。
やる以上は、その世界で行われていることを知識として身につけなくてはダメだ。
徹底的に。
勉強なんて好きだった時期なかったんだけどな。学生の頃。
けれど、不思議だ。
そうやって学ぶことが楽しい。
知恵に気付いて納得したり、感心したりすることが楽しい。
勉強して更に前に進んでいると感じることが楽しい。
面白い。
とりあえず2017~2018の全てのチラシを観てみよう。
そこには、トレンドもあるはずだ。
よし。今日の作業はここまでにする。
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