映画の宣伝を色々観ている中で。
やっぱり、監督自身が「面白いです」とか「良い映画です」なんてコメントを出すケースは殆どない。
冗談ぽく言ったりする場合はあるけどさ。
それは別に映画だけではなくて、例えば、小説でもいいし、漫画でも良いのだけれど。
作家が、作品を面白いと宣伝するなんてことは、難しいことだ。
大抵の映画監督は、見どころは誰だれのこんな芝居ですとか、素晴らしい原作で・・・とか。
とにかく、自分の作品は、当然、自分のあらん限りの力で創っているわけで。
それ以上のことは出来ないのだと思う。
凄く面白い映画ですよ!と宣伝をしているのは、常に出演者たちだ。
色々と勉強している中で。
今、自分で5月の舞台の作・演出をしていて。
ああ、これは、言えないなぁと実感している。
胸を張って、舞台に立つし発表するけれど。
だからと言って、面白い舞台だよ!とか、凄い舞台だよ!というのは中々難しい。
そう思って稽古をしているし、そう思って考えて書いているのだから、言えばいいのだろうけれど。
もしかしたら、そんなふうに言葉にしちゃうのが軽すぎるのかもしれない。
そんな、簡単に面白いなんていうような作業をしていないという無意識がある。
観ていただく以上のことはないから、言葉では軽すぎる。
映画作品のHPやチラシには、大抵、監督のプロフィールが掲載されているけれど。
「天才的な・・・」とか、「話題になった・・・」とか、やっぱり書かれている。
本人もチェックする場合があるのだろうけれど、きっと恥ずかしいだろうなぁ。
いつも、舞台の宣伝では、一度、監督にチェックしてもらったり、監督にあらすじやキャッチを考えてもらったりするけれど。
やっぱり、映画ではそういうわけにはいかないなぁと思う。
まぁ、嘘を書くつもりはさらさらないけれど、控えめにしてしまうのはやっぱり良くない。
宣伝は、宣伝と言う客観性が必要で、監督自身が触ってはいけない領域なのだと思う。
なんだったら、宣伝方法や宣伝文句、キャッチコピーを観て、文句を言っているぐらいが普通じゃないだろうか。
そう考えないと、理解できないような宣伝も意外に多い。
自分がこの作品の監督だったら、こんなに大袈裟に書かれちゃうと困っちゃうだろうなぁと思うような宣伝が。
映画会社であれば、宣伝部や営業部、様々な部署との打ち合わせの上で、決まっていくものだ。
プロデューサーの仕事の中心にあるもの。
そこに、どこまで提案できるか。
一歩でも二歩でも、前に進んでいかないと。
そういえば、演劇のチラシは、A4が多いのだけれど、映画のチラシって、B5ばかりな気がする。
なんでなんだろう?
不思議だけれど、単館映画館などのラックは、もしかしたら、B5がちょうどよい大きさかもしれない。
昔の映画館は、扉の外に棚みたいなのがあって、灰皿があって、革張りのベンチがあって。
チラシを適当に集めて、煙草を吸いながら、よく読んでいたなぁ。
記憶に残るチラシは邦画ばかりだけれど、マイナーな洋画なんかも置いてあった。
前衛的なデザインのチラシなんかもあって、面白かった。
今は、どうなのだろう?
煙草を吸いながらゆっくり観るのは、中々難しい時代だから。
まとめて持って帰って、後で、喫茶店で読むのかな?
それだと、ちょっと、自分としては違うのだけれど。
あの時に置いてあったラックは木製で、チラシとぴったし同じ幅だった。
まぁ、あんなラックが今の映画館にあるわけがない。
今は、プラスティックの、綺麗な奴なんだろうから、A4でも良いかもしれない。
イメージをばくぜんとした状態から汲み上げていく。
提案出来るなと思える状態から、たたき台として、送るつもりだ。
監督がコノヤロウ!って口にしちゃうような、宣伝が出来れば、本当は一番いいんじゃないだろうか?
かっこいい映画だから。
かっこいい宣伝が出来るといいなぁ。