日曜に通し稽古をして、チケット発売という日程が少し感覚的にずれている。
いつも、チケット発売の頃に役が決まって演出が始まったりするからだ。
前倒しで稽古をするのなんて映画「セブンガールズ」の撮影前ぐらいだった。
通して、発売開始して。
今になって「カクシゴト」というタイトルが、とても合っているなぁと感じた。
・・・というのも、そもそも、オムニバス公演だと普通は共通項が決まっていたりするからだ。
例えば「ファンタジー」とかジャンルで括ったり、「恋愛」とかテーマで括ってみたり。
あるいは「ことわざ」と骨格で縛ったり、同じ登場人物を一人設定してみたり。
それを持って、いくつかの作品を一つの興行にしていく。
でも、今回は本当にバラバラに、ヨーイドンで書いた作品が3作品だから、共通項を探すことになった。
3作品に通じる何かがあるといいなぁと、監督から言われて、それから探すという逆の順番だった。
結果的に「カクシゴト」というタイトルが見つかって、どの作品にも共通していた。
3作品にはそれぞれタイトルがついているけれど、同時に3作品ともカクシゴトというタイトルでもおかしくない。
そういう作品がきちんと並んでいた。
まぁ、監督は少し「カクシゴト」というタイトルに寄せたかもしれないけれど。
そんなことを言ったら、小説でも映画でも漫画でも、どんな作品でも隠していることはあるかもしれない。
でも、全てが、隔していることそのものを作品の中心にしている作品なわけでもない。
映画「セブンガールズ」にだってカクシゴトがあるけれど、それがメインなわけじゃない。
今回の3作品は、見事に「カクシゴト」を中心に置いている作品群だった。
偶然なのか何なのかわからないけれど。
それぞれの作品を観終わってみて、初めて、ああカクシゴトだなぁと感じるんじゃないかと思う。
3作品それぞれの隠し方になっているから、そういう違いも見えてくる。
明らかにされるカクシゴトもあれば、隔したままのカクシゴトもあるかもしれない。
音楽の吉田トオルさんがBLOGで早速、曲のスケッチが出来たと書いている。
相変わらず、仕事が早い・・・。
もちろん、まだ残像が残っているうちにということもあるのだろうけれど。
皆様のお手元に届いているDMにもカクシゴトが仕込んである。
それは、まぁ、別におまけのようなものなのだけれど。
この公演は企画公演だけど。
戦略的な公演でもある。
映画「セブンガールズ」公開に向けての段階でもあるし、劇団のステップでもある。
その戦略は、実ははるか先まで見ていて、そのとっかかりぐらいに思っている。
やっぱり、面白いことやるなぁと言われたい。面白いことを考えるなぁと言われたい。
その一心で進んできて、その一つの到達点が、劇団での映画製作なんて言う活動になったわけだけど。
それだって、戦略的に線になっていって、初めて踏み込めたことだ。
映画を製作したというのは、未来に繋がっていることで。
その未来の風景を想定しながら、戦略的な企画を練っていく。
一見、ただの企画公演だけれど、これがあるから、その先があるという未来もある。
もちろん、評判次第でまた変わってくるだろうけれど。
まだ先の話はカクシゴトだけれど。
だからこそ、一人でも多くの人に目撃してほしい。
同じ空気を共有してほしい。
そして、何かを感じたり、何かを持って帰ってほしい。
この物語は実は始まったばかりだからだ。
映画公開後の世界まで含めて、始めていることだからだ。
同じ劇場で同じ空気を吸って、体感してほしい。
それは、脈動に近い。
目には見えないカクシゴトだ。