2018年03月23日

日常の隣の笑顔と一緒に

とんねるずの看板番組が最終回を迎えた。
なんだか、不思議な気持ちになった。

お笑いはずっと傍にあった。
8時だよ全員集合!、欽ドン、欽どこ、花王名人劇場。
漫才ブームが去って、BIG3時代がやってきて。
そこに、突然現れたのがとんねるずだった。
夕焼けニャンニャン、オールナイトフジ、ねるとん紅鯨団。
初めは2時間スペシャルだった「皆さんのおかげです」はあっという間にレギュラー放送になった。
その後の、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン。
ボキャブラブーム、もう一度やってくるお笑い冬の時代。
その間も、ずっと、とんねるずは、変わらずに大暴れしていた。

よく最高に面白い素人みたいに言われることもあるけれど、実際は違う。
ショーパブに出入りして、面白いことをいくつも探して。
お笑いスター誕生に出演して、ネタで勝ち抜いて。
明らかにそれまでとは違う笑いだったけれど。
むしろ、テレビの笑いを創った人たちだったと思う。
今のバラエティ番組の基礎は、萩本欽一さんと、たけしさんと、とんねるずが創った。
少なくても、ネタ番組ではない笑いの番組は殆どこの3人が開発したと言っていい筈だ。

それが、最終回なのに特番ではなくレギュラーのまま終わった。1時間。
当然、特番にしたいと願えば、その要求は通ったと思う。
つまりスタッフさん含めて、自分たちでそれを選んだという事だ。
なんというか、とても、らしい終わり方を選んだ。

もちろん、これで活動休止するわけでもない。
とんねるずはBIG3の息の根を止めたわけではなかったし。
その後出てきた芸人さんも、とんねるずの息の根を止めることは出来なかった。
だから、別にこれからもどこかで大暴れするし、待望されるはずだ。
これまでの功績が消えるわけではないし、慕っている人もたくさんいるはずだ。
とは言え、看板番組が終わったことはとても寂しい。

この不思議な気持ちは何だろう?

高校卒業の時に、うちの担任は生徒全員に、本を配った。
送られたのは、色川武大さんの書いた浅草芸人についての随筆だった。
エノケン、ロッパの時代から、まるで無名の芸人まで網羅してある、知る人ぞ知る名著だ。
スター・・・というのとは少しだけ違うのかもしれない。
スターが手の届かない星だとすれば、芸人は手の届く場所にいる人だ。
その時代を代表する芸人というのが必ずいて、それは大昔から続いているようだ。
時代を代表するスターとは違う何かを、時代を代表する芸人は持っている。
エノケン・ロッパの話だって、やけに寂しかった。
そういえば、あの先生はなんで、おいらへのプレゼントにこの本を選んだんだろう?

スターよりも近いのは、きっと笑顔だ。
たくさん笑った。
色々な人と笑った。
学校で友達と話した。
真似をして、友達も家族も笑った。
笑顔の記憶は、一人の記憶じゃない。
そこに、必ず誰かがいた。

だから、寂しいのかな。
いいとも!の時もそうだったけれど。
日常にまで入り込める芸能というのは、本当に尊いなぁと思った。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:01| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする