とんねるずの看板番組が最終回を迎えた。
なんだか、不思議な気持ちになった。
お笑いはずっと傍にあった。
8時だよ全員集合!、欽ドン、欽どこ、花王名人劇場。
漫才ブームが去って、BIG3時代がやってきて。
そこに、突然現れたのがとんねるずだった。
夕焼けニャンニャン、オールナイトフジ、ねるとん紅鯨団。
初めは2時間スペシャルだった「皆さんのおかげです」はあっという間にレギュラー放送になった。
その後の、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン。
ボキャブラブーム、もう一度やってくるお笑い冬の時代。
その間も、ずっと、とんねるずは、変わらずに大暴れしていた。
よく最高に面白い素人みたいに言われることもあるけれど、実際は違う。
ショーパブに出入りして、面白いことをいくつも探して。
お笑いスター誕生に出演して、ネタで勝ち抜いて。
明らかにそれまでとは違う笑いだったけれど。
むしろ、テレビの笑いを創った人たちだったと思う。
今のバラエティ番組の基礎は、萩本欽一さんと、たけしさんと、とんねるずが創った。
少なくても、ネタ番組ではない笑いの番組は殆どこの3人が開発したと言っていい筈だ。
それが、最終回なのに特番ではなくレギュラーのまま終わった。1時間。
当然、特番にしたいと願えば、その要求は通ったと思う。
つまりスタッフさん含めて、自分たちでそれを選んだという事だ。
なんというか、とても、らしい終わり方を選んだ。
もちろん、これで活動休止するわけでもない。
とんねるずはBIG3の息の根を止めたわけではなかったし。
その後出てきた芸人さんも、とんねるずの息の根を止めることは出来なかった。
だから、別にこれからもどこかで大暴れするし、待望されるはずだ。
これまでの功績が消えるわけではないし、慕っている人もたくさんいるはずだ。
とは言え、看板番組が終わったことはとても寂しい。
この不思議な気持ちは何だろう?
高校卒業の時に、うちの担任は生徒全員に、本を配った。
送られたのは、色川武大さんの書いた浅草芸人についての随筆だった。
エノケン、ロッパの時代から、まるで無名の芸人まで網羅してある、知る人ぞ知る名著だ。
スター・・・というのとは少しだけ違うのかもしれない。
スターが手の届かない星だとすれば、芸人は手の届く場所にいる人だ。
その時代を代表する芸人というのが必ずいて、それは大昔から続いているようだ。
時代を代表するスターとは違う何かを、時代を代表する芸人は持っている。
エノケン・ロッパの話だって、やけに寂しかった。
そういえば、あの先生はなんで、おいらへのプレゼントにこの本を選んだんだろう?
スターよりも近いのは、きっと笑顔だ。
たくさん笑った。
色々な人と笑った。
学校で友達と話した。
真似をして、友達も家族も笑った。
笑顔の記憶は、一人の記憶じゃない。
そこに、必ず誰かがいた。
だから、寂しいのかな。
いいとも!の時もそうだったけれど。
日常にまで入り込める芸能というのは、本当に尊いなぁと思った。