2018年02月26日

正解はないのに不正解はある

稽古日。今日も早めに行く。
今週からは、バミリは後輩がやると聞いていたけれど、後輩が東京マラソンの迂回で遅れていた。
早速、別班の稽古している中をバミリのビニールテープ貼りをしていく。
稽古をしているすぐそばにしゃがんでいるのが、何やら面白かった。

ほぼ初演出であろう、稽古を見学する。
先週は本読みだっから、立ち稽古は初になる。
お笑いコンビを組んでいたことがある役者だから、演じながら色々チェックしていくのは初ではない筈だ。
それに、普段の公演でも、自主稽古的に自分のシーンをいじったりしている、
それでも、初は初なのだから、演出のスタイルもないだろうし、まだ手探りだと思う。

演出家の言葉なんか3割も伝わらない。
かつて、先生に聞かされたことがある。
演出家の演出意図が100%伝わることはありえないこと。
いかに、わかりやすく説明しても、いかに一生懸命説明しても。
頭で考えているイメージの言語化をして、更にそれを伝えられる表現に変換して。
でも、結局それは言語化されたイメージだから、実際の頭の中のイメージとの誤差は埋められない。
その上、役者にも解釈があるし、肉体的な優先順位もある。
どれだけ説明しても、伝わっていると実感を持てないのが演出家だというのは頷ける。
それでも、伝えないといけない。
こうして欲しい、この方が良い、ここは違う。
シンプルな言葉であったり、擬音であったり、少しずつでも伝えていく。

きっと初演出と言っても、演出家になったつもりはないのだろう。
むしろ、皆で創っていくという意思が強いやり方で、伝え続けている。
きっと気付いた頃に、演出のスタイルが確立されているはずだ。
それが、また、楽しみでもある。

自分の稽古に入る。
所作に始まって、先週の続き。
おいらは、演出は初めてではない。
自分なりに既にスタイルがあって、本番まで段階的に進んでいく癖がある。
基本的には、具体的に、一歩前に出るとか、振り向いてからにするとか、そういうことを中心にする。
気持ちの説明はあまりちゃんとはしないで、するとすれば、気持ちの流れだけ口にする。
そんな中で、ここの間をもう少し開けて欲しいというお願いをする。
そこに少しだけ、緊張感のある時間が生まれたら、その後が変化するはずだと思ったからだ。
素晴らしいメンバーで、それに、即対応して、さっきとは違う芝居をしてくれる。
そしたら、思った以上の変化が生まれた。
ああ、今のは多分、役者が「当たり」を見つけたんじゃないか?と感じた。
ほんの少し、間を創るだけで、劇的に印象が変わる。
だから、劇作は面白い。

それまでは伝わりづらかった心の痛みが、急に伝わってきたりする。
あれは、なんなのだろう?

その後、全部踏まえて、頭から流していく。
止めそうな雰囲気を出しながら、最後まで止めずに通す。
細かくつけた後で、完全に集中出来なかったり、意識が途切れたりするのはわかっていながら。
そのまま、止めずに、感情の流れを見ていく。
ああ、ここか。ここに一つ波を創ると、もう一個、後半に繋がるかな?
そういうものを見つけ出しておく。
それは、また次回の稽古で、提案して、役者の変化を確認してからだ。

その後、監督の班の稽古を見学する。
とても楽しかった。
演劇は肉体言語なんだよなぁと、わかる稽古。
ダンスや舞踊、舞踏、様々な肉体言語があるけれど。
様式だけではなくて、例えば、息切れしている胸の動きが、言語になるのが演劇。
布団の中で、寝返りを打つ動きが言語になるのが演劇。
そこに明確なルールはないけれど、そこに明確な意図がある。
良い役者は、その意図が伝わってくる。
様式じゃない分、基礎的な稽古があるようでない。
緊張を伝え、愛情を伝え、希望を伝え、そういうことを肉体言語化できるかどうかはとても重要で。

監督が、演出をしたがっていると感じる。
したがっていると書くと、なんだか語弊があるけれど。
芝居作りを開始したいんだなぁと、感じた。
肉体的な部分や決め事の部分をクリアして、役者からの持ち込みを待って。
それから、演出を始めたいと感じているなぁと。
段取り的にやらなくてはいけない稽古だとしても。
いよいよ、ここから演出を開始するんだなというのを感じた。

演出家なんて交通整理でしかないよ。と演出家たちは口にする。
結局は、交通整理をして、そこを役者がどうしていくのかだからだ。
実際の舞台上の動きの整理もあるし、心の交通整理もある。

先週までは、3人の作家的作業という見方だったけれど。
稽古は、3人の演出家的作業の段階に入っていた。
自分はともかく、人の演出を観ることも楽しい。
とっても、参考になる。
ああ、面白いことを言うなぁと、拾っていく。

稽古場を観ることが出来るのは、自分たちだけだ。
お客様に見せるものではない。
そんな稽古場をとても楽しんでいる自分がいる。
何人かの演出を観ることが出来る機会なんて、あまりないのだ。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:19| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする