冬季五輪が終わって選手たちが帰国した。
金メダルを獲得した選手たちはもちろん大人気だったけれど。
銅メダルの女子カーリングチームの人気がすごくて、色々な番組に呼ばれている。
日本国内だけじゃなくて、会場の韓国でも大人気だったらしい。
理由はもちろん、あのピンマイクで拾った北海道訛りの会話であったり、おやつを食べる姿であったり。
笑顔を絶やさなかったり、やけに明るかったりしたことなんだけれど。
スピードスケートのパシュートでの金メダルも含めて、改めて感じたことがある。
日本人の数人のチームワークの面白さだ。
例えば日本の町工場は、世界で認められている。
下町の小さな工場でしか作れないネジがあったりする。
その工場に行くと、世界の大企業の下請けだというのにほんの数人。
その数人だけが作れるネジがあるなんてことが、日本にはザラにある。
もちろん、日本だけじゃなくて、世界にもそういうチームはあるけれど。
なんというか、日本は、そういうスモールパッケージなチーム作りが上手だなぁと思う。
大きな会社でも実はそうなんじゃないだろうか?
会社があって、部があって、課があって、その中にチームがある。
実は、そのチームって、4~5人ということが多いんじゃないだろうか。
核家族ぐらいの人数だ。
実際に日本史の授業でも、五人組について習った記憶がある。
支配者が統治しやすいように創った制度の一つだったと記憶しているけれど。
でも、実際には、五人組というチームは、とても仕事を円滑に運んだようにも思う。
日本人は世界中の中でも、内向的なのだそうだ。
はっきりと人にものを言わない。
察するという文化がある。
けれど、それだけじゃ、何かを決めなくちゃいけない時も前に進むことが出来なくなる。
忌憚なく意見を言い合える最小単位が5人程度なんじゃないだろうか。
大勢だと発言しない人が、少人数のチームだと発言するということも多い。
もちろん、バスケやバレーボールなんかの体格がモノをいうスポーツだと不利な部分もあるけれど。
その不利をチームワークで埋めようとする場面を思えば何度も見てきた。
そういえば戦隊ものもずっと5人だったし、最近は多いけれど、アイドルグループなんかもそのぐらいの人数ばかりだった。
お互いのバランスを取りやすく、同時に全体も見やすい。
そして、世代を超えて、日本人は5人ぐらいでチームを組むという遺伝があるんじゃないだろうか。
或いは、学校教育の班分けっていうのは意外に大人になっても影響しているのかもしれない。
諸外国のカーリングのチームと、日本人のチームの、違いがとっても面白かった。
仕事仲間でありながら、ライバルでありながら、友人というバランスを、とても上手に取っていた。
他の国だと、絶対的なリーダーがいるんだなぁと思ったのだけれど。
日本人のチームには、明確なリーダーは見当たらなかった。
コーチボックスに対しての敬意も、少し形が違ったように思う。
主張するよりも、相手を察しようとする。
そういう文化が形成されていて。
5人という単位の中だと、全員のことを察することが出来るのかもしれない。
諸外国のチームがリーダーだったり、役割が決まっていく、主張や優先順位が付いていくのに対して。
どうも、日本人のチームは自分の主張はともかく、お互いを思っているなぁと感じた。
韓国の女子パシュートが、大問題で揺れているけれど、日本人のチームであれは絶対に起きないはずだ。
誇らしくもあるけれど。
なんというか、いじましくもある。
サッカーの本田選手のような自己主張の強い選手に、むしろ、憧れてしまったりもする。
何が良くて、何が悪いという事はないのだけれど。
国民性が出るスポーツって言うのが、やっぱあるんだなぁ。
これはとても面白い事なんだと思う。
別に日本人が特別だ!なんて思っていない。
どの国にもお国柄や国民性って言うのはあるのだから。
ラテンのやけに明るい国民性とか憧れちゃうもんな。
ただ、おいらは日本人で、日本で演劇や映画や芝居のことを考えている。
多分、どんなに西洋風に作品を創っても、海外の人から見たら、日本的オリエンタルな表現になってるだろう。
無自覚に、そうなっていることは、まぁ、しょうがないけれど。
それでも、自覚できれば、なお良いと思う。
ああ、こういうところが日本らしいって思われるんだろうなぁと、せめて気付くべきじゃないかなぁ。
それはむしろ、財産なんだから。
ルーツというのは、何かを表現する時に、いつだって最大の武器になるのだから。
お互いを思いやれる最小限の人数のチーム。
そだねージャパンは大人気になるわけだ。
日本人なら誰だって、どこかで経験したような。
そんなチーム作りをしていたのだから。
戦略的面白さをクローズアップするためにつけたピンマイクが。
彼女たちの人間性や、日本人の国民性をむしろクローズアップしていた。
メダルなんか関係なく、きっと、人気になっただろうなぁって思う。