昔から、物語には、冴えない女の子というのが、登場する。
赤毛のアンだってそうだし、シンデレラだってそうなのかもしれない。
にんじんとかさ。
あんたは、かわいくないんだからと、諭されてしまったり。
男の子たちからからかわれてしまったり。
物語の基本構造の一つだと思う。
最近のドラマでも映画でも、その基本構造は、当然生きている。
昔はそうでもなかったのだけれど、綺麗な女優が、そういう役をやっていて。
おいおい、全然、もてない女子に見えないだろ!みたいなツッコミも多い。
女優も、そういう演技をしているはずなのだけれど。
そもそも見た目が綺麗だと言うだけではなくて、空気感もあるんじゃないかと思う。
華がない女性を演じるなら、華をなくさないと説得力が出ない。
そういうのって、意外に、芝居の中でも難しい部類に入る。
実は、おいらは、ブス役を演じられるというのは才能の一つだと思っている。
あまり世間的にちゃんと評価されていないなぁとも思うのだけれど。
まず、女優によっては、ブス役というだけで、傷つく人もいる。
いや、正確には、楽しんで演じているつもりが、無意識に傷ついているというパターン。
女の子は、例え演技でも、否定され続けることは、いつの間にか精神的に澱が重なっていく。
ところが、時々、そういうのが全然平気な女優が出てくる。
なんというか、自分がブスと言われることが、結果的に、かわいいと評価されていると変換できるというか。
性格だけではなくて、元々持っている資質にもよるのだろうけれど。
そういう女優が、ブス役をやっていると、余計なことを考えない。
かわいそうだなとも思わないし、純粋に笑えるし、純粋にいじましいし、それ自体がかわいくもある。
男の不細工役は、男っぷりであったり、別の事で解消できるのだけれど。
女のブス役っていうのは、やっぱり美しさという価値基準の中で、右往左往するのが基本で。
その右往左往を、面白おかしく見せられる技術というのは、もっとずっと評価されるべきなんじゃないだろうか。
女優をやるのだから。
当然、華やかで、舞台の中央で、美しくあるということを、大抵は目指すはずで。
そういうものから、かけ離れたブス役。
でも、実は、心を動かすのは、そういう役なんじゃないかなぁ。
そして、それが出来ない女優の方が多い。
ある程度までは、物語の構造で、それは出来る。
セリフやシチュエーションだけで、かわいそうだなぁと思わせることも出来る。
眼鏡かけて、三つ編みにすれば、いいだろう?なんて安易なケースもよく見かける。
でも、それ以上が出来る、ブス役が出来る女優が、存在している。
ある程度でも、もちろん、物語自体は破損なく成立させることが出来るけれど。
それをやると、より光る女優も、確実に存在しているのに。
掘り起こさない。
女芸人をキャスティングしたり、綺麗な女優にやらせてみたり。
中途半端なブス役って、とっても多い。
ハリウッド映画でもヨーロッパ映画でも、そういう所ほど、ちゃんとしているのに。
そういう才能も、もっともっと、評価されるようになったらいいなぁと思う。
それはきっと、表現を豊かにするものだから。
あの巨大アイドルグループの、トップは、グループの中のブス役からトップに上り詰めたんだよなぁ。