成人の日だった。
年初の三連休。
どうしても、自分の記憶だと15日だよなぁと思ってしまうのだけれど。
毎年の恒例行事のように全国の成人式の模様が放送される。
子供のようだったり、大人びていたりだ。
今年は、晴れ着業者の夜逃げ騒ぎがあって、それが何度も放送されていたけれど・・・。
漫画家の尾田栄一郎先生が、自身の出身地でもあり、震災の被害にもあった熊本の成人にメッセージを送っていた。
それは、単純なおめでとうという事ではなくて。
ここから成人なんだよという、入口なんだぜというメッセージに溢れていて。
とっても、素晴らしいなぁと思った。
大人になってから成人式の話になると、ちょっとした世代間の話になる。
自分の世代の時はこうだったとか、会場がこういうところだったとか。
芸能人なんか来なかったけどなぁとか。
何年ぶりの大雪で、下駄じゃ寒くて大変だったとか。
人生の節目だとか、大事だとか言う人もいるし、女の子なんかはそうなのかもしれないけれど。
実際には、大人になってから、居酒屋で話す幾つかの世代間の話の一つにしかならない。
成人式の写真でお見合いをする人なんか、もういないだろうしさ。
正直、式典なんかよりも大きなことが、これから何度も何度も訪れるから。
だから、きっと、今年の成人たちは、これから大人になっていって社会に出てから話すことになる。
実は、自分の年の成人式で、着物屋が、夜逃げしたんですよ!って。
まず間違いなく、話すことになる。
着物を着れた人だって、男だって、話すことになる。
そして、たぶん、大笑いする。
酒を飲みながら、嘘だろ!って、大笑いをする。
着物を着れなかった子は、なおさらだ。
あの時は、悲しくて、悔しくて・・・と言いながら、きっと、笑う日が来る。
絶対にそうなる。
もしかしたら、一番悲しいのは親御さんたちなのだけれど。
その親御さんたちだって、何度も友人に話すことになるかもしれない。
なんだかおかしな話になっちゃうけれど。
そんな成人式をおくれたことって、いつかラッキーだったなって思えるかもしれない。
今は昔。
大人になるという事は、素晴らしい事だった。
それは、医学が発展していなかったからだ。
子供が無事生まれることだって、今ほど、確実じゃなかったし。
幼児が病気になっても、どうしていいかもわからなかった。
大人よりも、体の弱い子供は、ワクチンのない時代に真っ先に伝染病にかかった。
昔の人の平均寿命が今よりも著しく低いのは、子供の死亡率が高いのが大きく影響をしている。
だから、成人になるという事は、喜ばしい事だった。
江戸時代の元服にしても、明治以降の成人式にしても。
選挙権はもう違うけど、飲酒喫煙、税金、年金、各種免許、未成年法。
色々なことが変わる。
社会的には、そういうことになる。
でも、そんなに大したことじゃない。
残念ながら、生物的に人間は、昨日まで子供で今日から大人になれるような便利な生き物じゃない。
脱皮もしないし、羽も生えない。
少しずつしか成長できない。
まだ身長が伸びている子もいるだろうし、体質だってなんだって、まだまだ変わっている最中のはずだ。
ただ、社会的に、区切りが必要なだけで。
それを、お役所が祝ってくれる日に過ぎない。
多分、大人には、これから少しずつなっていく。
実は、おいらは、未だに自分が大人になれているかどうか不安で仕方がない。
大人げないなぁとか、子供かよ!とか、人には思うことがあるのに。
子供は良いなぁと口にしたら大人だよなんて言う人がいるけれど。
自分は、子供みたいに夢を見る人だなんて言われたりもする。
成人おめでとうございました。
「人に成る」だなんて、何様だよと思いつつ。
なかなか、人に成れていないおいらは。
自分の人生という冒険の入口に立つ皆様がとっても羨ましいです。