2018年01月02日

夕月

元旦を過ごす。
実家まで行き、帰りに鎮守様に初詣。
境内を歩くと、山際に夕月。
新年2日に満月。
それもスーパームーンらしい。

昔ではありえないことだ。
旧暦は太陰暦。
つまり、正月は必ず新月だったという事だ。
最初の満月は、十五夜というだけあって、正月十五日。
今の暦になったから、正月に、満月まで楽しむことが出来るようになった。
今でも一部地域やアジアの国では太陰暦で旧正月を祝う。
神社における暦は、本来なら旧暦が正しいのかもしれないなぁなんて思うけれど。
山際に浮かぶ夕月を眺めながら、やはり、意識的には初詣だと感じている。
どちらでもいいのだ。
本当も嘘もない。
自分が決めたその日が、正月で良い。

地球と月の距離は、一定ではない。
衛星軌道が正円で、かつ地球の南北の地軸と平行でない限り、一定であるはずがない。
ほんのわずかな角度の違いで、数万キロメートルも、距離が変わってしまう。
スーパームーンは、地球と月の距離が近い時期の満月を言う。
あれほどの夕月を眺めることが出来るのは、まれだ。
満月の前日だから、ほぼ円形のその月は、見事に紋様まで浮かび上がらせていた。

参道の長い階段を上がり、お参りをする。
住所と名前を心の中で言ってから、願い事を伝える。
おみくじは、芸能神社への初詣まで取っておくことにした。
冬の夕暮れは早い。
参道の階段を降りる頃には、辺りはどんどん暗くなっていく。
高い竹に囲まれている階段だから、余計暗く感じた。

神社をあとにして帰り道を歩く。
ふと気になって、夕月を探してみる。
これからどんどん月は空に昇って行く。
けれど、歩いているうちに角度が変わってしまって、山陰に隠れてしまっていた。
仕方がない。
後ろを向いたまま歩いて探すわけにもいかないと振り返ると。
反対側の稜線にオレンジのライン。
初日の出ならぬ、初日の入り。
そのあまりにも神秘的なオレンジから群青色へのグラデーションにため息をついて。
スマートフォンのカメラを立ち上げて、空に構える。
液晶画面に現れた、美しい山のシルエット。
オレンジと群青の間にかすかに見える紫。
なんだか、厭になって、写真に収めるのをやめた。

あの月、あのオレンジ。やってくる夜。
宇宙を感じる。
地球を感じる。
自分があまりにも小さくて、俯瞰なんて言葉では表現できない自己を感じる。
おいらの心に生まれた悩みや苦しみなんて、たかが知れている。
世界はこんなにも壮大なのだから。

これからやってくる夜にみる夢は、初夢と言われる。
忘れてしまうかもしれないけれど。
きっと、それもちっぽけな夢だ。

明日、もう一度夕月を見上げよう。
新年早々、宇宙規模のイベントだ。
月光を思う存分に浴びよう。

神様に手を合わせて何を願うの?
月光を浴びて何をもらうの?

自分の奥の奥に潜む部分に。
栄養をあげるだけさ。
いつだって、走り出せるように。
純粋なエネルギーを注ぐだけさ。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:22| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする