先日のライブで、バンドメンバー全員で呑めなかったこともあって、メンバー打ち上げをする。
やきとんの串をかじりながら、話す。
音楽のこと、あの日のこと、幕末のこと。
幕末?って言われそうだけれど、全員が幕末が好きで詳しい事詳しい事。
都内名所はもちろん、京都、土佐、長州に至るまで、観光までしているメンバーもいる。
一人だけ、佐幕派で、五稜郭に行きたいなんて発言して笑う。
結局、5時間近く同じ店で、酔っ払った。
うちの劇団が、大きくなっていった要素の一つに時代劇がある。
元々、旗揚げで時代劇を選択した劇団だった。
それが幕末に行きついて、幕末を愛するお客様の多くに知ってもらえた。
今でこそ、幕末を題材にしたプロデュース公演は多いけれど、あの頃はそこまでなかった。
人数の多い劇団だったから出来たのだとも思う。
それに、時代劇は、多少のディフォルメが必要だったこともある。
方言であったり、武士の所作であったり。
現代の自然な芝居をやらなかったわけではなくて、誇張の芝居も身に着けやすかった。
ナチュラルな芝居が得意な役者も、意外に見栄を張る芝居が出来なかったりする。
そういう意味では、時代劇に触れたことは今も財産になっている。
セブンガールズを映画化して。
これがなんらかの形になれば、じゃあ、次はどうする?という話にもなる。
次の映画をやりたいとか、やろうよという話だって出なくはない。
もちろん、そんなに簡単にできない。
映画の場合、公開まで時間がかかるから事前の支度金が多く必要だからだ。
協賛企業が必要になってくるし、当然、企業が資金を出すには企画段階で魅力がないといけない。
小回りが利くような、例えば小規模で撮影できるような作品があればいいのだけれど。
うちの劇団の看板は、長く、時代劇とファンタジーの二本立てだったから。
実は、そんなに簡単に映画化できる作品の貯蓄が少ない。
逆に、実績を重ねて、名前のある俳優をキャスティングすれば、すごい作品はいくつもある。
幕末作品・・・それこそ、新撰組とか、二二六事件を題材にした作品を企画すれば。
時の人をたくさんキャスティングしたら、とんでもないヒットだって出来るのにと考えてしまう。
本気で未来を思うのであれば、映画化しやすい現代劇一幕物で、低予算で実績を重ねるのがベストなのだろうけれど。
ああ、あの新撰組作品を大きな企画で映画化したら、どれだけ面白いだろう?なんて考えてしまう。
まあ、年齢的に自分が出演できるかもわからなくなるけれど。
時代劇ファンは、あの頃よりもさらに増えている。
セブンガールズ公開前だから、その実績だって、何も計算も出来ない。
一本で、それが実績になる場合だってあるのだから。
セブンガールズを観て、大きな企画に展開する可能性だってゼロではないのだから。
何が起きるかなんてわからない。
時代劇をやって幕末作品に辿り着いて、それがあったから、このバンドメンバーになったなんて話をして。
そんな転がり方、進み方って言うのもないなと思った。
普通なら好きなバンドが一緒とか、別の形なのだろうけれど。
幕末が好きで舞台に来て、知り合いになったなんて、珍しいだろうなぁと。
だからきっと、何かを為して、人と人とが繋がって、そこからしか何も広がらないとつくづく思った。
偶然繋がることだってあるし、選ばれることもあるかもしれない。
でもそんなことは本当に運が必要なことで、着実な一歩ではない。博打のようなものだ。
博打は信頼がない。賭けなのだから。
だから、様々な可能性、様々な展開、繋がり。
そういうものを一つずつ、大切にやっていくしかない。
そして、映画公開に向けて、相乗効果が出るようなことも、想定していく。
幕末の話だろうか?
自分が喋っていたら、目の端に動くものが写った。
喋りながら、それが気になって気になって、喋るのをやめてしまった。
その店の壁の端を、かなり大きなヤモリがのそのそと歩いていたのだ。
笑っちゃって、店員さんを呼んだ。
ラッキーだなぁ、お店にとっては、商売繁盛を約束してくれるようなものだよと思ったから。
周りの別のお客様も反応して、わあっとなった。皆、笑ってた。
でも、店員さんは、写真とか公開しないでください・・・SNSは勘弁してください・・・と言ってた。
家を守るヤモリは、縁起が良いものなんだけどな。
実際に害虫を退治してくれるし、まったく害もない。
見た目だって、目が大きくて、トカゲなんかと違って、とっても可愛い顔をしている。
ヤモリでも、飲食店に、生き物がいるのはNGなのかなぁ・・・。
店員さんが、棒を使って誘導して捕まえて、どこかに運んでいってしまった。
確かに苦手な女の子とかいるかもだけれど。
あの日にいた女の子たちは、そんなに嫌そうじゃなかったけどな。
建物に縁起がいいなんて言われているけれど。
そんなこんなだから、勝手に自分の前途に縁起が良いのだと変換することにした。
自分が見つけたしね。
酔っ払ってても、そういうラッキーな何かを見落とさないっていう感じも良いじゃないか。
なぜかメンバーの一人に、やっぱすごいねぇなんて褒められた。
何が凄いんだかわからないけどさ。
そういう瞬間を生みだしていきたいなって思った。
きっと、きっかけや、ラッキーはそこら中に落ちている。
日々、見落としながら生きている。
その中のいくつかを、見つけられた時に、何かが起きるんだ。
見落とすな。
感じるんだ。
そこから、何が起きるかなんて、誰もわからないのだから。