BBQ隊長
去年の今日を確認する。
そう、美術設営3日目。
多くのスタッフさんがこのロケ地にやってきた。
打ち合わせももちろんした。
あの時のスタッフさんたちの表情、言葉、すごい記憶に残っている。
吉沢さんも古賀Pも、セットを見た瞬間に、声が出て。
そのまま、奥の部屋まで入ってもらって。
ある意味で、あの瞬間こそ、デビ組発足の瞬間な気もする。
絵でしか見ていなかったパンパン小屋が、実際に目の前にあったあの瞬間に。
それとこの日に思い出深いのは夜のBBQだ。
働きづめだった毎日にやってきたご褒美デー。
翌日の入り時間も遅くして、皆で、肉と酒。
監督は初のBBQだなんて言ってさ。
トオルさんと、映画や音楽の話をしてた。
オレンジに光る作業灯の下で、ケラケラ笑った。
写真は美術設営休憩中の一コマ。
この椅子、常に喫煙所にあって、とっても活躍したなぁ。
皆、ここで休んでた。
こうやって見ると、すごい良い顔をしている。
疲れがピークの頃だと思うんだよ。なんせ休憩中だしさ。
疲れているから、こんなに根元まで煙草を吸っても立てない。
それなのに、充実した表情をしている。
企業だとすればこれは完全にブラックなスケジュール。
もちろん、いつもの舞台でもそうなのだけれど。
好きじゃないと出来ないことってある。
でも、生き甲斐と言うか。
充実感だとか、生きている実感だとか、手にしている希望と言うか。
そういうものが、体を動かす時って言うのが必ずある。
BBQでキャンプ慣れした中野圭も、ここまでやれると思ってなかった。
本当、皆、頑張ったよなぁと言っていた。
美術の伊藤さんも、金曜までかかると思っていたと、この酒席で言っていた。
中野圭のこの笑顔を、全員がしていた。
小さな小さな、例えば裸電球一つにも、この映画には思いがこもっている。
ソケットを買ってきて、天井にぶら下げる処からやったんだ。
余裕のあるスケジュールでしか撮影できない映像ももちろんあるけれど。
余裕のある中じゃ出来ない撮影って言うのもきっとあるんじゃないかって思う。