2017年10月16日

冷たい雨の記憶

稽古日。それでも稽古は続く。
19年、毎週日曜日は稽古。
連休中であろうが、震災が起きようが通い続けている。

20周年公演について少し話す。
どんなことがしたいか、どんなことが出来るか、意見がそれぞれ。
それでいい。
ここから、20周年に向かう自分の思いをもう一度考えた方が良い。
実務的な部分、現実的な部分、色々とあるけれど、まずは思いなのじゃないだろうか?
20年間と言う期間、それまで応援してくださったお客様へ何が出来るか。
これから何をしていくかも含めてだけれど。
まずは、自分たちがどんな思いを届けられるのかが基礎のように思う。
その思いがなければ、企画は実は、形だけになってしまうから。

先日の台本を男女逆で演じる。
同じ台本でも、反対になっただけで風景が変わる。
明らかにここで一度、緊張感のピークを創らなければいけないという台本。
詰め寄る側と、詰め寄られる側。
台本は同じでも、リアクションは全く違う。
当然、組み立てから違う。
緊張と弛緩は、どちらの役も同時に発動するはずなのに。
緊張に向かう経緯も、弛緩する意図もまるで変わる。
それを肉体的に体感するだけでも、台本の理解度が深まっていく。

雨の中、稽古に向かったのに。
稽古が終わっても、雨はやんでいなかった。
何人かで酒を飲む。

ライブの話、今週あったこと、今日の稽古。
どの話にもどこか共通していることがある。

わかってんなぁとか。
わかってないなぁとか。
言葉に出来ない部分。
そういうことを大事にしたいと、最近はより強く思うようになった。
表面的に見えるようなことではなくて、その奥のこと。
さすが、わかってるよな。
そんな言葉が連鎖した先に、面白いことが見えてくるから。

飲み屋を出ると、相変わらず雨。
この雨は何?と聞かれたから。
秋雨でしょ?と答えた。
これ、本当に秋雨か?って聞かれた。
言われてみれば、冬の雨のような匂い。

あの撮影日にも降っていた。

皆は覚えているのかな?
一年前の10月15日から、おいらたちはセットの設営に入ったんだ。
まだ何も装飾されていない場所に、終戦直後の裏町とパンパン小屋を創ったんだ。
スタッフさんの誰もが驚いて、ため息をつくような、大道具を自分たちで創った。
あの日から、一年だ。

わかってるよなぁ。
わかってないよなぁ。

もう一度胸に手を当てて。
全ての人たちへの感謝の思いを、思い返すように。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 04:04| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月15日

ありがとうは残響のように

海の向こうで誰かが死んだってさ。
その人生に、その生きざまに、そのあっけなさに脱力する。
生きることの無意味さや虚しさが、ひゅるると風のように吹く。

いつかすれ違ったあいつが死んだってさ。
その瞬間を思い出して、その笑顔を思い出して。
そいつの顔を思い出して、そいつの声を思い出して。

憧れていたあの人が死んだってさ。
目標だったのに。もっともっと観ていたかったのに。
抽斗を開けて、集めてきた宝物を取り出す。

青春を共にした仲間が死んだってさ。
とっくに喪っていたはずの時間の喪失があからさまになって。
自分を構成するいくつものことが、あの日々にあったと気付いて。
涙が自然と零れ落ちて。

血を分けた家族が死んだってさ。
生まれてから今日までの全ての人生にあなたがいたことに感謝して。
当たり前の日常が変化してしまうことに戸惑って。
隙を見せれば、泣いてしまう弱い自分に気付いて。

愛している人が死んだってさ。
あなたは私の全てで。あなたのいない世界に取り残される残酷さに耐えられなくて。
世界が終わりを迎えるような、たった一歩先すら見えなくなって。
泣き疲れて、眠ることだけが、救いになって。

自分もいつか死ぬんだってさ。
誰かが泣いてくれるかな?
誰かが覚えていてくれるかな?
なんにもなくなっちゃうのかな?

たった一人の人生が、たくさんの思いを生んで。
距離の違いも、関係の深さもあるけれど。
でも多分、思いには序列なんかない。
あいつも、こいつも、自分も、同じように悲しい。
心が切り刻まれるようなやつもいれば、心に風が吹くやつもいるけれど。
涙の量にも違いはあるけれど。
やっぱり、同じように切ない。
同じように、どうしょうもないのさ。

序列なんかないけれど。
右の奴も左の奴も。
言葉を交わさなくても、目を合わせただけでも。
胸にいるあなたを思っているってわかったから。
ラストの曲で、たったの4小節だけだけど、あなたのソロパートを用意したよ。
最初のライブでゲストで出たあなたが弾いたところさ。
右の奴も左の奴も聞こえていたはずさ。
あなたのギターが。
君のギターが聴こえても、君はどこにもいやしない。

たぶんそれは、「ありがとう」

悲しいことも、涙も、全部。
それを乗り越えて、小さく笑って。
「ありがとう」だけが残って。
誰も気づかないうちに世界を覆うんだ。
そうやって、少しずつ世界は良くなっていく。

それだけが今は大事さ。
映画も音楽も舞台も全部。
「ありがとう」を広げるためにやってんだい。

雨はいつやむのかな?
秋雨に予定を聞くなんて、野暮だなあ。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 05:06| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月14日

ランダムアクセス

LIVEをする。
そのままライブハウスで呑めば、もう電車がないような時間。
そのまま朝まで打ち上げに参加する。
普段、話をしないようなバンドマンたちと話す。

ほぼ始発で、1駅だけ寝過ごして帰宅。
布団にもぐり込んだけれど、午前中には起床してしまう。
少しうつらうつらしながら、時間だけが過ぎていった。

監督をはじめ、何人も足を運んでくださった。
ありがとうございました。

吉祥寺に残る闇市の匂い。
それは、直接的に吉祥寺と言う街に色濃い影響を落としていると思う。
一見綺麗で、大きなビルが立ち並び、巨大なアーケード街の街。井の頭公園の街。
雑多な中に、独自の文化が、熟成されている。
芸術も文化も、この街発信のものは、街の影響を受けているかのように。

今回のロックジョイントGBという箱は、わりに歴史の浅い箱ではあるのだけれど。
曼荼羅グループと言って、吉祥寺では昔からライブハウスを経営しているグループのハコ。
ライブハウスでは、ドリンクだけじゃなくて、ビーフカレーも売っている。曼荼羅カレー。
多くのバンドマンたちの腹を満たし、もちろん、お客様も注文することが出来る。
イベントが終了して、お客様が帰宅しはじめて、会場での軽い打ち上げが始まった中。
久々に曼荼羅カレーを口にした。

それを見て。
あの時、胸に穴があいちゃったような感じだよと言ったあの男が。
腹が減ってるのに、胸がいっぱいで、なんにも食べる気がしないと口にした。
喪失と再生。

監督もかつてライブハウスに出続けた。
だから、ライブハウスって言う場所の匂いが好きなんだなぁって思うことがある。
出演後、挨拶に行くと、出音のバランスのことまで口にした。
自分ではどう思っているかわからないけれど、いつまでたっても、ミュージシャンだ。

人の思いが繋がるイベントは、良いイベントになる。
お客様たちの思いも、繋がっていて、察していて。
それが何とも言えず心地よかった。

打ち上げで青春の話をした。
ベテランのバンドマンが、長く続く友達は、あの頃に知り合った奴らだけなんだよと口にした。
ここにいるメンバーは、青春そのものなんだよと、口にした。
それをおいらは笑顔で聞いていた。
始まりは大学の小さな部室?それとも新宿の小さなライブハウス?
あの頃のことを、映像で記憶している。
ライブハウスのプレイも、居酒屋で話したことも。
そんなことを、ロックンローラーが口にした。

様々なことが頭を駆け巡る。
まるっきり、整理がつかないまま、ランダムに映像が思い浮かぶ。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 18:36| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする