2017年09月12日

活躍する理由

今、テレビドラマでも映画でも観れば、必ず小劇場出身の俳優が出演している。
それは、このセブンガールズ製作の根本にもある、見せるもののひとつなのだけれど。
ふと、思うことがあった。

それは、テレビや映画で、名バイプレイヤーと呼ばれている不思議さだ。
実は、今、映像で活躍している小劇場出身俳優たちは、バリバリ舞台では主役を演じてきた。
もちろん、小劇場でもバイプレイヤーな例外な役者もいるけれど。
殆どの人は、主演を経験しているはずだ。

舞台で主演をやれるのは人気でしょ?と思うかもしれない。
そして、人気があるから映像に進出したのだと・・・。
でも、それは多分、半分あっていて、半分間違っている。
きっと、そういうことだけではない。

映像だと、極論を言えば、子役でも主演を出来る。
カメラワークやカット割り、監督の意志でどんなものだって主演に出来る。
なんだったら役者じゃなくて動物でも、石でも主演に出来る。
なぜなら、組み立てをするのが、監督の仕事だからだ。
だからもちろん、小説でも、漫画でも、作家が組み立てるものはそれが出来る。

けれど、舞台はちょっと違ってくる。
なぜなら観客は舞台上のどこを観ても良いように創られているからだ。
組み立てそのものにかかわる視点が、観客に委ねられている。
だから、舞台における主演は、恐らく組み立てもしなくてはいけない。
ここは絶対に伝えなくてはいけない、ここはあの俳優を立てる。
ここの前のシーンでこんな秘密が暴かれているから、少し意識を変える。
そういう細かい組み立てを演出や台本とは別に演技的アプローチでしなくてはいけない。
観客の視点が自由な分だけ、演者が意識することが増える。
その場限りの演技は出来ても、組み立てが出来ないと、舞台で主演はなかなか難しくなる。

面白いなぁと思うのは、アイドルグループを卒業して、女優を目指すという女の子が。
まず最初に、舞台で主演をやるというケースがとても増えていることだ。
最初期に卒業したメンバーは、舞台主演なんて一切やっていない。
けれど、今、テレビで活躍しているなぁと思える女優は、舞台主演をやった女優たちだ。
彼女たちは、恐らく、舞台主演を経験することで、何かを掴んだと思う。
ただ、その子たちは、映像で主演をやることがあまりなかったりする。
バイプレイヤーほどじゃないにしても、4番手や5番手で高い評価をされたりしている。
逆に最初期に卒業したメンバーは、ほぼ映像で主演ばかりやっている。
その代わり、その主演作の評価次第で、浮き沈みが激しくなっている。

アイドルを卒業して、映像で主演を演じることは、資質次第では難しいことではないと思う。
人前に立つことには慣れているし、自分を良くみせることのプロフェッショナルなのだから。
もちろん、良い作品や、良い監督、良い共演者との出会いなど、運の部分もあるだろうけれど。
自分の良さをただただ追及していけばいいのだから。
ただ、バイプレイヤーをやるのは、少し難しいかもしれないなぁと思う。
作品の組み立てを観て、自分の役割をみつけて、それを自分なりに演じることが必要だから。
自分を見せるという視点だけでは、見せ場を作ってもらえない限り、なかなか難しいはずだ。
もちろん、実際にそうなれば、いくらでも助言してくれる人がいるはずだけれど。
だから舞台主演を通過した女優たちは、きっと、自分の役割をみつけることが出来たのじゃないだろうか。
高い評価を映像の4番手5番手で取れるのは、役者自身が役割を理解していないと難しいはずだ。

ドラマでも映画でも、名バイプレイヤーが出ている。
そして、いい味を出しているなぁとか、面白いなぁなんて言われている。
でも、それは実は、バイプレイヤー専門じゃないんだよ。
舞台で主演を張って、作品の組み立てや、役の持つ役割まで、常に考えてきたから出来る。
そして、映像の現場では、非常に頼りになるのだと思う。
シナリオを手渡して一読した時点で、そこまで理解してくれたらどれだけ心強いか。
自分をどう良くみせようという発想の前に、組み立てや役割を考えてくれるわけだから。
そう考えないと、ここまで多くの小劇場出身の主演クラスがバイプレイヤーをやっている説明が出来ない。

セブンガールズは群像劇だ。
それぞれ見せ場はもらっているけれど。
見せ場以上に大事なのは、なんてことないシーンでのそれぞれの役割なはずだ。
それを何年もかけて、学び続けてきたのだから。
だからこそ、群像劇を映画にすることが出来たのじゃないだろうか。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 02:57| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする