2017年08月21日

確かめるように

稽古場に向かう。
おいらの好きな私小説の一節を脚本に書き出して持っていく。
セリフ量が少ないから、持ちながらではなく、覚えての二人芝居。
短い中に、様々な心の葛藤、動きがある内容。
ナチュラルと緊張、呆然自失と自意識。
相反する二つの部分が交錯するような一節。

イメージをもつことって、実は危険だ。

そんな言葉が入る。
これは、意外に大事なんじゃないかと、すぐに気づく。
俳優にとって陥りやすい部分の話だ。

それに舞台だと、言葉で説明されることも。
映画のシナリオだと映像で説明できる分、言葉が少なくなる。
監督の台本はそれでもまだ言葉が多いけれど、一般の映画のシナリオだともっと少ない。
言葉が少なければ、少ないほど、当然、行間が増えることになる。
だから、一見すれば、行間が増えた言葉が少ないシナリオの方が、演じる自由度が高いように見える。
けれど、実際は、正反対だ。
「バカヤロー」というセリフをもらえれば、逆立ちしたって、踊りながらだって、バカヤローの意味になる。
けれど、(むっとして黙る)というト書きだけであれば、役者がやれることなんて、かなり限られるのだ。
言葉はそれ自体に意味があるから、言葉が少ないほど、それ以外に演技で見せなくてはいけなくなる。

いつもの舞台であれば、テンポを出して、物語を紡ぐところを。
今日は、しっかりと間をとって、心の機微を表現していった。
それが出来るからこそ、早いテンポの芝居だって出来る。
それが出来ないのであれば、恐らく、早いテンポでも何かが足りなくなる。
そこに生まれる空気を、感じて、壊して、構築する。
確かめるように、それぞれが挑戦していく。
それぞれのメンバーが自分の細かい修正点、問題点を探るように。

稽古が終わり酒席。
やはり芝居の話になる。
前回の舞台の反省点。
何が足りないのか、何をやるべきなのか。
そんな話ばかり。
結局、足りないものなんかなくても、探すのだと思うけれど。
探さないことには、一歩も前に進めないと思っている。

今いるここではないどこかへと行きたい。
もっともっと先に進みたい。
別にジャングルでも大海原でもないけれど、探検隊のようだ。
まだまだ先も見えないし、まだまだ何が起きるかもわからない。
危険が待ってる可能性だって十分にあるのに。
ここではないどこかへと行きたい。

まるで、確かめるように。
基礎にじっくりと取り組むベテランたち。
その目は、前を向いている。
その目は、遥か先を見据えている。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 02:37| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする