昼を過ぎてから体を清めて出かける。
正月以来の神社まで。
明らかに電車内はいつもとは様子が違う。
時間帯にもよるのだろうけれど、いつものような焦燥感がない。
街を歩けば、盆休みをとる飲食店も多く。
人の数も、想像以上に少ない。
帰省ラッシュの報道が毎日のように流れているけれど。
あれだけの車に乗った数の人が都内から離れているのだ。
自然、都内が閑散としてくる。
実は、都内の、子供向けではない寺社巡りには、ちょうど良い季節なのかもしれない。
神社には、何人かの参拝客。
その後ろに回って、二拍二礼。
きちんと、心の中で住所と名前を言って、今日までのお礼とお願いをする。
不思議なことだけれど、心の中をすぅっと、何か一本の糸が走るような感じがする。
空にいる神様にお願いをしているようで、心の中にある無意識を整えているようだ。
参拝が終わると、神社のわきから、ノラが2匹。
トコトコ歩いて、石垣の上に丸くなった。
2匹は別の柄なのだけれど。
なぜか、実家で飼っている2匹と同じ2つの柄のノラ。
なんでまた、同じ柄の2匹なんだろうと、笑っちゃうけれど。
実家の猫と同じように片方だけが太っていた。
当たり前のように、実家にいる猫の名前を呼びながら近づいた。
人に慣れているのか全然逃げようとしない。
目をつぶって、無視する様は、まるで、実家の猫とそっくりだ。
あいつらもノラだったかもしれないんだよなぁ。
実家の二匹は、母親が拾ってきた猫だ。
母親は、おいらが拾った黒猫を飼っていて、病気で亡くした後にすぐに拾ってきた。
だから、考えてみたら、あの黒猫を拾わなかったら、あいつらも拾われてすらいない。
人生・・・ならぬ猫生ってのがあるとして。
なんというか、何が幸せなのかもわからないけれど。
こうして、神社で、人に声をかけられる猫生も、まぁまぁ悪くはなさそうだ。
猫に声をかけていると、神社の戸が閉まった。
そんなギリギリの時間だったんだなぁと思いながら、神社を後にする。
往来に人は少ない。
夕方だというのに日が高い。
ゆっくりと歩く。
涼しい日で良かった。
こんな夏も悪くない。