すごい湿気だった。
サウナの中を歩くように。
ならならと汗を流しながら。
踏み込む一歩が重い。
それでも前に行け。
それでも進め。
足の指だけで歩くのでも構わない。
昨日より進んでいろ。
様々な映画祭の知識をもう一度入れる。
プロモーションについてもう一度考える。
WEBについて、もう一度触る。
音楽を聴く。
音楽を聴く。
自分の魂の発露のような音楽に辿り着く。
そういえば先週、監督が、竹原ピストルの歌は魂だから誰も勝てないと、喫煙所でポロリと言った。
音楽性だとか、リズムだとか、メロディーだとか。
そういうことを言いそうなのに、この人は、そんなことをポロリと言う。魂なんて言い出す。
それほど、魂なんて口にするのは好きじゃないはずなのに。
おいらが芝居をするのも、バンドをやっていたのも、それ以外にないことを思い出す。
なんだか、最近は、舞台でも魂が発露するような場面を演じていないとふと思った。
怒りの咆哮も、悲しみの嗚咽も、気狂いの呼吸も。
もちろん、感情を抑えて、ぐっと我慢する芝居だって、大事だ。難しいし、やりがいがある。
でも、基本は、魂だ。
それを、やっていかないといけない。
物語を運んでばかりでは、性根の部分が腐ってしまいそうだ。
何か考えないといけない。大人になる必要なんかどこにもない。
うまいへたでは辿り着けない場所に、おいらは、何度も踏み込んでいるのに。
ズキン。
痛む。
いつの間にかいくつもの傷みを抱えながら生きている。
この痛みにはもう慣れたなんて言いたいけれど。
慣れるような痛みなら、そんなものは、それだけのものだ。
これは、チャンスだ。
今、この痛みを知った今。
腹の中で猛獣が暴れまわっている。
今のおいらを、どっかの映画監督はキャスティングしたらいいのに。
とんでもないものが飛び出すぜ、これ。
教えてやるつもりもないけどな。
どうせ落ち込むなら。
どこまでも落ち込む。
悔しいなら、どこまでも、悔しがる。
その向こうにしか見えない景色がある。
それは、演者の特権だ。
振り切るな。
取り込め。
周りの空気を吸い込め。
全てを自分の物にしろ。
このプロジェクトに魂を込めてきた。
それが、おいらの責任だからだ。
でも、演者だ。
だから、演者でしか味わえないことを味わいつくしてやる。
おもしろくなってきた。
Too much pain