2017年07月12日

本当の奇跡

海外には日本映画ファンがいるという。
いや、ファンというよりもマニアと言った方が良い。
もちろん、ものすごい数なわけがないけれど・・・。
YAKUZAという言葉も、GEISYAという言葉も、通じるのは日本映画があったからこそだ。

少し前にやっていた「山田孝之のカンヌ映画祭」という番組で。
カンヌのスタッフの一人が、日本映画のマニアだったのを観た。
ああ、こういう人のことを言うのかとその時は、とっても関心した。
昔のやくざ映画なんかをとてもよく知っていて、日本映画は大部屋がなくなったのがいけないなんて言っていた。
外から見た視点は、やっぱり、新鮮だし、大事なメッセージになりうると思う。

海外に持っていくというのは当初からの目標の一つで。
この作品は、間違いなく海外で評価されるとおいらは思っていた。
けれど、別に狙ってそういうシーンを用意したわけではない。
たまたまそういう作品だったというだけだけれど・・・。
この作品には、そんな日本映画のエッセンスが山ほど詰まっていると思う。

YAKUZAも出てくるし、GEISYAに近い存在も出てくる。
仁義もあるし、親分子分もある。ドスだってある。
いわゆる時代劇とは違うけれど、歴史ものでもある。
和服も出てくるし、日本独自の文化もやまほど映っている。
畳に火鉢、布団に浴衣だ。ランニングに腹巻だ。
おいらは、首にお守りをかけているし、それに歴代の邦画の名シーンをモチーフとした絵もたくさん入っている。
日本映画マニアたちが、待っている日本映画なんじゃないかなんて、ふと思った。
多分、日本映画マニアたちが待っている日本映画って中々ないと思うから。
洋服を着て、西欧でもありそうな恋愛をする物語は、何本も海を渡っているけれど。
それは、他の国の作品にもあるものなのだから。

それだけ、日本国内の需要と、海外で待ち望まれている作品には、ギャップがあると思っている。

日本では、海外で評価されても、それが即動員にはつながらないと言われている。
ただ、もちろん、傾向はある。
カンヌはアートフィルムが多く、ベルリンは社会派が多く、ヴェネツィアはどちらかと言えばエンターテイメント作品が多い。
だからなのか、ヴェネツィアに行った作品は、動員があったりもするけれど。
それは、海外の冠という事ではなくて、日本人は映画に社会派なメッセージも、アートも求めていないという事だろう。
実は海外でもアートフィルムは、動員が伸びないというのも聞いたことがある。
ヨーロッパでも、ハリウッド映画がもっとも動員することは、珍しいことではないのだ。
それでも、アートフィルムが今も強く影響を与え続けているのは国家レベルで支援しているからだ。
カンヌ映画祭などは、フランスの国家イベントでもあるわけだから。
ある意味、高尚でなければいけないというのも頷ける。
逆を言えば、日本という国があまりにもアートに対しての助成が貧弱とも思う。

だから、その海外の評価というのも、どこか疑っていいと思う。
つまり、海外の評価を本当に知るのであれば、海外に住む人たちの直接の声こそ信じるべきだと思う。
映画祭で評価されることよりも、映画祭に出ることで、海外の映画ファンに知ってもらうことが大事だと思うのだ。
もちろん、評価が高いに越したことはないし、海外の評価で観たくなる人だっているのだけれど。
本当に大事なことは、国外にこの映画を待っている人が必ずいるはずだと信じることだと思う。
文化としての評価は、とても大事なことなのだけれど。
やはり、楽しかったと言ってくれる人が海を越えてもいるということこそ、一番大事だ。

まったく、つくづく舞台で育ってきた人間だなぁと思うけれど。

だって、それ以上の評価ってないじゃないか。
地球の反対で、この作品を面白いと言ってくれる人がいたら。
あの、下北沢の「劇」小劇場にいた誰かと同じような感想を持ったとしたら。
それだけで、おいらからすれば、奇跡のような出来事だ。
信じられないような、夢だ。

ただ、その為には。
当然、海外で紹介されなくてはいけない。
バイヤーでもなく、映画関係者でもなく、一般の映画ファンに紹介される最大のイベントが映画祭だ。
映画祭に出れるとすれば、とても名誉なことだ。
監督にとっても、きっと、途轍もなく大きな出来事になる。
ただ、おいらは、それをキッカケにしたいと思っている。
世界中の人があの歌を口ずさむきっかけになるって思っている。
その為の映画祭なのだと、もう一度、自分に言い聞かせる。

海外での評価。
それは、映画祭ではなく。
映画祭を通じて、伝わった、思いや願いだ。

髪の色も目の色も国籍も人種も国境も思想も宗教も戦争も平和も全てを乗り越えて共感する。
同じ思いを抱く。
その奇跡だ。

それが出来る映画だ。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:18| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする