いつも舞台があると終わった次の日か、遅れてもその週のうちに1日はオーバーホールデーを作る。
別に何をするわけでもなく、録画しておいたテレビをまとめて観たり、昼寝をしたり。
それまで張り詰めていたものを一気にドバっと吐き出していく。
実際、肉体的な疲れをいやすという意味も大きいのだけれど。
むしろ、頭脳的な労働を開放するという意味の方が大きい気がしている。
ストレスのかかった舞台という空間では、想像以上に頭脳をフル回転しているから。
精神的な意味で言えば、終演と同時に実は快方に向かっているのだけれど。
どうしても、頭の中は、舞台で起きるであろうあらゆる想定が渦巻いている。
だから、昼寝でも何度も舞台の夢を見たりする。
今回の舞台公演の千秋楽の次の日から昨日まで。
再編集の毎日だった。
監督と編集をした後も、別バージョンを作成して置いたり、編集の整理をしたり。
書き出しであったり、納品であったり、最大のピンチも信じられないスピードで乗り越えられた。
それもこれも、トラブルがあっても、パニックになることなく冷静に対応できたからだ。
自分の中で常にトラブルが起きるものだと想定している。
この映画のプロジェクトが立ち上がってから、何度も何度もトラブルがあった。
おかげさまで、随分と鍛えられたように思う。
舞台後のオーバーホールなきまま、再編集から納品を終えて。
ようやく、オーバーホールデーにしようと決めた。
本当は舞台の後処理がまだまだ残っている。
優先順位が、〆切のある再編集だったから、終わったら手を付けようと思っていたけれど。
どうも、頭が回らない自分がいる。
1か月前から予約していた、健康診断がたまたま今日だったこともある。
朝一で起きて、病院に殆ど1番で乗り込んで、健康診断をした。
血液を3本も抜かれて、バリウム検査までした。
バリウムを飲むと、造影剤を出すために下剤を飲む。
何度もトイレに行くことになるから、脱水症状にならないように、大量の水分摂取が必要だ。
何度も何度もトイレに行きながら、血を抜かれた頭では、回転しないのも無理がないのかもしれない。
検査が終わって、母親と食事に行く。
舞台がある時期はほとんど会えない。
連絡を取り合ったり、舞台を観に来てくれたり。
舞台が終わって2週間後に食事なんてのも、初めてかもしれない。
父が亡くなって以降、舞台後は大抵、翌週には顔を見に行くようにしているから。
まぁ、旅行に行ったり楽しそうにしているようだから安心したけれど。
食事後に帰宅して、まず昼寝をした。
残念ながら、もう舞台の夢を見ることはなかった。
ただやはり、頭脳的な開放にはなっているように思う。
毎日カレンダーとにらめっこして、時間計算をしていた日が一度終わったのだ。
ここからは、どうプロモーションをしていくかという方向に切り替えなくてはいけない。
その谷間、一旦、パソコンと同じように再起動して、メモリをクリアした方が良い。
考えてみれば、編集そのものがほぼ初体験のまま、今日まで走ったのだから。
健康診断に行った病院には、送迎バスがある。
行きは利用するけれど、いつも帰りは歩いて帰るようにしている。
てくてくと歩いていると、シロツメクサの群生。
健康に伸び伸びとたくさんの三つ葉が太陽に顔を向けている。
その中で、一番、首を伸ばしているやつが、四葉のクローバーだった。
そういえば、四葉なんて言う名前の登場人物がいたな・・・なんて思いながら。
幸運を持つと言われる四葉のクローバーに、願いを託した。
今日は舞台の夢は見なかったけれど、今も夢を見ている。
とりあえず、今日は無理だ。
いや、正確には無理じゃないけれど。
オーバーホール日に決定。
舞台の後処理は、週明けから少しずつ始めた方が良い。
特に数字の部分がずれたら、なんの意味もないのだから。
一度、リフレッシュがどこかで必要なのは間違いなかった。
まぁ、実際、休んでいる暇がこれから来るかどうかはわからないけれど。
リスタートするための。休息なのだと自分に言い聞かせる。
また、新しいミッションがスタートするのだから。