昼過ぎにメールが入る。
読むと、2~3GBの字幕入り映像データの作成依頼。
昨晩懸念していたことが現実になっていた。
150GBものファイルをネットで転送できるわけがない。
その場合、自分でなんとかしますよーと言っていたけれど。
比較的最新のコーデック、DNxHR HQXのQuicktime形式。
再生できないままなら、QTでのエンコードが出来ないはずだ。
無料でコーデックを配布しているURLは送ったけれど、少しだけ不安が残っていた。
急遽、用事を済ませて帰宅。
本日中にデータを送信したいというのは知っている。
時刻的には時差で余裕がありそうだけれど、じゃあ何時まで海外担当さんが会社にいるんだ?という部分もある。
駅まで走って電車に飛び乗って、駅から走って帰る。移動に1時間と少し。
そこから、データの書き出しに2時間弱。
更に、そのファイルを、ネットのファイル便にアップロードするのに1時間弱。
どう考えても、4時間はその工程に掛かるのだ。
もちろん、海外担当は、そこから更にデータ納品に時間がかかるはずだ。
それぞれ、どこかでトラブルがあれば、それぞれの時間が倍になる。
ヒリつきながら、作業を重ねていく。
書き出しだけ2回することになったけれど、なんとか、21時前には、納品できた。
よし!任務完了!
直後、ツイートと同時に加藤Pから電話。
字幕の付いた映像を確認しての連絡。
字幕が付くと、まさに海外で観る日本映画になる。
それがあまりにもはまっていて、かっこいい。
めっちゃかっこいいですねぇ!なんて電話口の声。
そして、無事送信したことも教えてくださった。
ツイートを見て、驚く。
なんと、ハッキリと「ヴェネツィアに送信」と書いている!?
舞台が終わって、それから毎日再編集から字幕付きの映像製作に走っていたのは。
その〆切が今日だったからだ。
ただ、基本的に海外プロモーション用に・・・とだけ言っていたので、ビックリした。
さすがプロデューサー!!
確かにこの企画は、何かを隠すような企画ではない。
エントリーすることを堂々と言っていい企画だ。
殆どの映画は、映画祭にエントリーしたことを書かない。
なぜなら、エントリーして、ノミネートされなければ恥ずかしいからだ。
でも、この企画は・・・この映画は・・・元々、何もない所から生まれたのだ。
なんにも恥ずかしいことなんかないし、気取るような企画ではないのだ。
むしろ、かっこつけちゃったら、アウトとすら思っている。
役者たちはちょっと面食らっているかもしれない。
どこまで言っていいのか、いつ発表するのか、何を言っちゃいけないのか。
そういう話もしていたから。
それが、まさか、プロデューサー本人が、しかも映画の1コマまで公開したのだから。
きっと、驚いているだろうなぁ。
エントリーしたことは、堂々と言っていいのだ!
先日の舞台の終幕のあいさつで、2日目からだけど、おいらは謝罪をした。
「カンヌ国際映画祭、ノミネートされずにすみませんでした」と。
後ろにいた役者たちもお客様も、思わず噴き出した。
そしてそのあと。
「これに懲りずに、ヴェネツィア国際映画祭を目指しますので、応援をお願いします!」と言うと。
笑い声と拍手がおいらの耳に聞こえてきた。
まるで、冗談みたいに、嘘だか本当だかわからないような顔で言った。
でも、その後ろで、女優の一人はお客様に言いたかったんだそうだ。
「いやいや!この人、本気ですからね!本気なんですよーーー!」と。
どんな顔で、あんなに本当のことが言えるんだろうと後ろから見て思っていたらしい。
結果の正式な発表は毎年7月の20日前後ですよ。
皆様、どうぞ、一緒に祈っていてください。
届きます。間違いなく。
GMT+2のイタリア。GMT+9の日本とは7時間の時差がある。
ギリギリの時間に送っているようで、実は生活時間帯に届いている。
地球が広い証拠さ。
一足先に、日本は上半期を終えた。
いよいよ、運命の下半期がはじまる。
加藤Pに一本のメールを送って始まったこの企画。
まだクラウドファンディングを始める前だった。
あのメールからはじまった。
本当にどこまでやるんだろう?
・・・というところまでやるつもりだ。
チャップリンの時代まで遡らないと、役者でここまで経験している人なんていないだろう。
さあ。
新しい一歩だ。
2017年の後半が始まる。
打倒STARWARSだ!