2017年06月29日

データチェック

帰宅して、書き出しエラーがないかチェックしていく。
書き出したファイルを編集ソフトに読み込んで、プロパティを確認。
ここでエラーが起きていたら、問題点を洗い出して、再度書き出しになる。
問題なし。

3つのファイルをそれぞれシーケンサーに並べて、確認していく。
字幕のタイミング、カットした部分の確認、その他、おこりうるミスの全て。
観ているうちに、冷や汗が出てくる。
ちょっと、信じられないけれど。
この3つのファイル、どれも、問題ないのだ。
1つの字幕ファイルを切り貼りして、3つの納品データを作成、その上、書き出しをする。
この作業を間違いなく、昨晩、ダウンロードしながら、やったのか・・・。
作業量を考えるととても信じられない。
どれだけスピーディーにやったら、出来るんだよという、感じ。
ピンチになったから、逆に、思考を無駄に使用せず、作業に没頭したのだろう。
普段だったら、編集中に映像に見入ってしまうようなことも、瞬間すらなかった。
書き出しエラーだけではなく、編集エラーもない。

一つだけ。
編集したほうの字幕で、接続詞が多分、おかしい部分だけあった。
まぁ、セリフとセリフの間をカットしてしまっているからしかたがない。
何に掛かっているBUTなんだろう?って思ったけれど。
この辺は、もう仕方がないのだと割り切るほかはない。

ファイルの変換など技術的な部分で最後にトラブルがあったけれど。
そんなことは実はたいした問題点ではない。
一番大事なことは、この「英語字幕」そのものの仕上がりなのだ。
英訳ではない。英語台本。
デビッド・宮原、特有の言語感覚、ギャグ、詩的センス。そしてリズム。
そういうものを、どうやって英文にしていくのか。
おいらは何よりも、そここそ重要だと思っていて。
知り合いのバイリンガルに頼むのではなく、字幕製作会社に頼んだのはそこを重要視したからだ。
海外で観た時に、それがただの直訳では実際意味がない。
どんなにすばらしいセリフだって、日本語がわからない人には字幕しか頼りにならないのだから。
おいらは、テーマ曲の歌詞の英文を見て、その選択に感動をした。
もうそれだけで、信頼した。
「sing a single note」という語感のリズムに、心から感心した。
すばらしい、英語字幕をつけてくださった。
技術的に整合させるのは、なあに、おいらの仕事でいいのだ。

海外に持っていけば、当然、言葉の壁が立ちはだかる。
字幕が多ければ、映像に没頭しづらくなるから、いかにシンプルにするのかもカギになる。
その上、言語圏が違う国もあって、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語・・・
英語から別の字幕を重ねる場合だってあるのだ。
伝言ゲームのように、ニュアンスが少しずつ変わっていってしまうかもしれない。
そうなると、オリヂナルとどんどん乖離していってしまう。
おいらは、デビッド・宮原という人は、とても作家性の強い監督だと思っている。
それは、映像作家、演出家という成分が少ないとか、ないとか、そういう意味ではなく。
言語を操る作家性こそ、一番の武器にしている作家だと思っている。
言葉の持つ強弱、軽重、音楽性を、巧みに組み上げていく感覚が、一番の武器だ。

時々海外の映画を観ていて、これは字幕いらないよ・・・という時がある。
基本的にあまり字幕を気にしないように観ているけれど。
役者が「ヤー」なんて言ってる時に、字幕で「うん」なんて出ていると。
それは、わかるよ。表示されると目が動くから、いらないんだよって思ったりするのだ。
「Fack you」を「クソヤロウ」なんて、必要だろうか?
だから、そういう部分も気になっていたのだけれど、簡単な返事や、相槌は字幕化していなかった。
おいらは英語圏の人間じゃないけど、やっぱり、「うん」は英語にしなくてもわかるはずだと思う。
字幕が映画の補助なのか、主役になってしまうのか、邪魔になるのか。
その線引きで、きっと、字幕製作は戦っている。
とても、誠実な仕事をしていただいたなぁと、感謝している。

さて。
納品だ。
これを持っていく。
このデータを。

ネット経由だから飛行機に乗るわけじゃないけれど。
比喩的に言えば、空を飛ぶのだ。
海を越える。
字幕は、まるで、翼だ。
言語という壁をいとも簡単に乗り越えて、作品を海外に運んでいく。

その翼には。
おいらの両肩に乗っている全ての思いを運ぶ力強さがある。
翼を広げる時が来たよ。
今までのマーケットに持っていった作品とは違う。
仮編集状態だったのだから。
今度は完全版なのだから。

飛べ。
どこまでも。
飛べ。
高く。

パンパンたちを世界中に運んでおくれ。
夢のような物語がはじまっている。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 09:04| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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