2017年06月28日

字幕映像製作顛末

字幕製作会社までデータの入ったHDDを受け取りに行く。
宅配便で届けてもらうほど時間は残されていない。
かと言って、ネットでダウンロードできるような小さなファイルでもない。
オリジナル版に字幕の付いた映画を受け取って、更にそれを、再編集したA版、B版に変換しなくてはならない。
変換後に書き出して、ようやく納品だけれど、納品がもう目の前なのだ。

帰宅してすぐにデータを読み込む。
そして内容確認・・・。
・・・あれ?
何かがおかしい。
少しだけ、声と字幕がずれているような微妙な感覚。
後ろの方まで進んでみてみると、ありえないほど、字幕と映像がずれている。

とっさに、字幕製作会社に電話をかける。
確認をお願いします!と伝える。

通常なら有り得ないケアレスミスが発覚。
なんと、字幕のフレームレートがあっていなかった…。
それに、通常ならデータ作成後再生して確認をするはずなのに・・・。
なぜか、確認もしていない。
急かしてしまった悪い面が出た。
映像が23.976コマ/秒なのにたいして、字幕は24コマ/秒。
後半に行くにつれて、どんどん、字幕がずれていく。
字幕と映像が切り離れたデータなら、まだ調整も可能だったけれど、焼き込んでいる。

万事休す。
完全にスケジュール的に間に合わない。
え?こんなことで、断念するのか??

平謝りの担当さんは、深夜でもおいらの家まで新しいデータの入ったHDDを持ってくると言い出す。
さすがに、それは断った。
それを待ってからの作業というのも流石に厳しいし、何時になるかもわからない。
とにかく、こうなったら、翌日作業しかない。
・・・とは言え、書き出しにかかる時間を考えるとかなり厳しい・・・。

かなり、くじけそうになる。
針でつつかれたら、子供みたいに泣いちゃいそうな精神状態。
担当さんは何度も謝ってくださるし、映画を観て褒めてくださったし、責める気はない。
そこで、担当さんから2つのアイデアが出る。
とにかく、データの修正版をなるはやで作って、翌日の午前に渡す案と。
字幕だけの映像データであれば、多少軽くなるからデータを分割してネットで送るというもの。
どちらが良いでしょうか?という問いかけに、おいらは、即答した。
両方の可能性を追わせてください!
字幕だけの映像データもください。
でも、納品データも同時に作成してください。
両方であれば、仮に字幕だけのデータをもらって、難しくても、その時にまた考えられる。
わかりましたという回答。

まず、サンプルで冒頭5分のみの字幕データが届く。
それを取り込んで、映像に重ねる。
セリフとずれがないかの確認をして、担当さんではなくスタジオに電話。
字幕データの付け方や、やり方を教えてくださるという話だったけれど・・・
技術の人と話をしたら、その時だけ、ようやく少し頭にきた。
そんなの教わる必要もないぐらいのことだし、君たちは教えてあげたいようなケアレスミスをしたのだぞ。
担当さんと違って、少しぞんざいな話し方にピリッとした。
なめんじゃねぇ。小僧。
どんなギリギリでも、こっちは命懸けで取り組んでるんだ。

おいらの両肩に乗っているのは、一体、何人の夢だろう?
支援をしてくださった200人を超える皆様のあたたかい声。
共演した約30人の役者たち。その家族。
そして、同じぐらいの人数のこの映画に関わってくださったスタッフさん、営業さんたち。
その全ての人たちの、様々な思いが、夢が、希望が、両肩にのしかかっている。
どうにもできないけれど、どうにかするに決まってる。
出来ないじゃなくて、やる。

分割されたデータが保管してあるアドレスが届いた。
1つダウンロードして、編集に入る。
一番効率の良いタイムコードを利用したやり方を独自にどんどん探していく。
作業効率が上がるように、スペースのカスタマイズもしていく。
3つめのダウンロードの時には、すでに、作業効率はダウンロードのスピードを越えた。
だから、そのまま、A案、B案、両方の編集を始める。
データをダウンロードしている間に、2つ編集を同時進行で進めるほかはない。

全てのデータをダウンロードして、全ての編集が終わった。
そのまま、データを保存して、PCを一度、再起動。
メモリ空間を綺麗にしてから、再度立ち上げて、今、ようやく書き出しに入った。
字幕ありのA案、字幕ありのB案、字幕ありのオリジナル版。
字幕なしのオリジナル版はすでにあるから、この3つの書き出し命令をした。
1つのファイル当たり、2時間強。
書き出しエラーが発生しない限り、翌日の夜には、納品データが出来上がっている計算だ。
HDDの容量に間に合う計算にしてある。

間に合った。
間に合ってるけど。
こんな時間か・・・。
一時はどうなることやらと思ったけど。
なんとか乗り切ったはずだ。
そう願っている。

安心したら、なぜか、一滴だけ涙が出てきた。
綱渡りだ。
いや、綱ほど太くなかった。糸渡りだ。

あとは、PCに任せるほかはない。
頼むぜ、相棒。
チンチンに熱くなってるお前だけが、今は頼りだ。
おいらの両肩には、それだけの、思いがのしかかっているんだ。

大声が出したいのに。
早朝じゃないか。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 05:01| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする