書き出されたデータを収納した外付けハードディスクを持って朝から出かける。
さすがに100GBを越えるようなファイルは、アップロードというわけにもいかない。
もちろん、ネット経由で渡す場合もあるのだろうけれど。
専用サーバーでもない限り、容量的に、転送サービスでも厳しい容量だ。
やはり手持ちが一番安心できる。〆切当日なら、郵送よりも手持ちだ。
字幕製作会社に持ち込む。
ようやくご担当者様にお会いできた。
先日に郵送で送ったHDDにデータの移動をお願いする。
データ移動に少し時間がかかるかもしれないとのことで、しばし退席。
近くの喫茶店で電話を待つことになった。
この外付けHDDは、一応、持っておきたい。
送ってあるHDDに字幕入りのデータを入れてもらう手はずになっているから、可能なら持ち帰りたかった。
電話が来て、もう一度、お伺いする。
ハードディスクを受け取り、しばし話をした。
皆さん、舞台にも出てらっしゃる役者さんなんですか?なんて聞かれる。
はい!僕も出演してますよ!
なんて言うと、少し驚いている。
無理もない、髪型も雰囲気も違うし、そもそも役者が編集データを持ってくることなんてありえないのだから。
あれ?あ、え??なんていう感じで。
思わず笑ってしまった。
事前にスケジュールの再確認をしておいたから。
データを移動している間に、海外セールス担当さんと連絡をとってスケジュール確認してくださっていた。
27日に字幕データ入りの映像があがるという。
これは、フルサイズの映像のデータになるから、もう一度受け取りに来る。
そして、わずか1日という期間で、今やっている編集を反映させる。
字幕の入ったディレクターズカット版を、今制作している海外用に編集しなおしなのだ。
色々と相談してそうなったらしい。
かなり厳しいスケジュールだなぁと思っていたら。
27日にあげてくれれば、あとは小野寺さんが頑張るって言ってましたよなんて笑顔で言われる。
あれ?海外セールス担当さんとは、まだお会いできていないのに・・・。
小野寺さんが頑張っちゃうことはもうバレているのか・・・。
やはり、笑ってしまう。
まぁ、まったくもって、その通り。
そのあとは、小野寺さんが頑張るので。
Pより明文化されたスケジュールも再度届く。
中々タイトだけれど。
今のうちに、編集しておいて、映像データだけあとで差し替えることが恐らく出来るはずだ。
まぁ、出来なければ出来ないで、タイムコードから編集していくけれど。
今、準備をしておけば、恐らく、書き出しのみで済むと予測している。
ただ、字幕の途中に編集点があったり、結果的にテロップ情報の字幕がなくなったりはするだろうから。
そこまで一応、想定はしておかないわけにいかない。
そう考えると、かなり時間が限られているのがわかる。
どこかでトラブルが起きたら、大変なタイミングになる。
監督から連絡が来る。
何度か連絡を取って翌日、再度編集に入ることにする。
月曜に編集した映像をチェックして、更に手を入れたくなったのだ。
もう一度、朝から編集大会。
一体、もう何度目の編集かわからないけれど。
監督が本気で取り組んでいるのがわかる。
ABC案の3パターンを用意するつもりだけれど。
メインとなるA案を更にブラッシュアップできる時間が出来て良かった。
当初の予定では、すでに、納品後のスケジュールだったのだから。
やれるところまで追い込む。
脳をシュワシュワとさせながら。
限られている。
様々な映像からのチョイスは出来ない。
素材はこの完パケしかない。
すでにある映像を変更していくことしかできないスケジュール。
その中で、出来うる限りのことを試しながら進むしかない。
海外セールス担当の方が、後は小野寺さんが頑張るなんて言うのも。
そこがいつの間にか伝わっているという事だ。
もちろん、仕事ではあるのだろうけれど。
この作品にはたくさんの思いがあって、例え苛酷でも、やれるだけやると知っているのだろう。
そうじゃなきゃ、出てこない言葉だと思う。
角度は違っても、全員が思っていることは一つ。
そこに向かう以外はない。
そして、おいらに出来ることは、もう決まっている。
これは、期待だ。
期待にこたえ続けるのが、おいらの仕事だ。
それだけは、外さない。
さあ。
再編集の朝がやってきた。