2017年06月30日

データ納品

朝起きて準備する。
最終的にデータが入っているHDDの中身を確認して、ファイルプロパティを記載したメモも入れておく。
HDDをプロテクターに入れたけれど、一応、接続用のマシンとPCも持っていくことにする。

電車に揺れていると加藤Pから、連絡。
今、向かっていますと伝えると、加藤Pが不在とのこと。
海外担当の方が、受け取ってくださるとのこと。
何度も何度も話に出て、何度もすれ違っている海外担当さんとついに逢えるとわかる。
そのメールのCCに監督も入っていて。
監督から、おつかれさまの一言。

配給をしてくださる会社に到着し、内線で海外担当の方を呼ぶ。
字幕製作会社の方や、加藤Pから、間接的に何度も名前が挙がった方。
想像では、とてもシャッキリとした女性だと思っていたら。
なんとも、ニコニコしたかわいらしい女性がやってきた。
まったくの予想外。
やっとお会いできましたねと思わず破顔。
香港FILMARTも、Marche du Filmでも、この方が「SEVEN GIRLS」をセールスしてくださったのだ。
セブンガールズを早くから観てくださっていた同志の一人。
それなのに、一度も会えなかった方。

やはり内蔵HDDではすぐに確認できず。
おいらの内臓HDDを直接PCから覗けるマシンを利用する。
3つのファイルの説明をして、別のHDDに移動をし始める。
電話番号を伝えて、終わったら連絡を頂くことにして、おいらは一度配給会社を出る。
アイスコーヒーを飲みながら、連絡を待った。
気付けば、アイスコーヒーも飲み終わったので、外に出て歩いてみる。
ちょうど、電話が鳴っていたようなので、そのまま社に戻った。

どうやら転送までに6時間と表示されたらしい。
USB3.0であれば、もうちょっと早いはずなのだけれど・・・。
これは困った。
接続マシンを置いて、とりあえず、夜に再訪問することにする。
海外担当の方に、よろしくお願いしますと託す。

一旦、その街を離れて。
しばし、呆然とする。
今、英語字幕という翼を得た「SEVEN GIRLS」が。
初めてのCOPYをされている。
信じられないスピードで、最初の一歩を踏み出している。

電話が鳴る。
MOVファイルなのに再生ができないとの連絡。
中間コーデックが、AVID DNxHR HQX。
わりと、新しいコーデックだから、Quicktimeの更新をしてみて欲しいと伝える。
最新のQuicktimeであれば、再生できるはずだけれど、それがダメなら、Avid社にコーデックが無料配布されている。
おいらは、MAC使いじゃないから、わからないことも多いけれど、Quicktime形式が用意されている以上再生できるはず。
180GBと、150GBと、150GB。膨大なファイル。
Apple社は、なぜ、Windows版のQuicktimeの開発注視を発表したのだろう。
これからは動画の時代だし、Win版も配布し続けた方がきっと優位になるのに。
ProRes 422で書き出せたら、色々と、やりやすかったのに。

夜、再訪して、機材を回収。
すでに海外担当の方は帰宅されていて、代理の方から受け取った。
再生できたかな?
海外に飛び立つのがA版かB版かは、海外担当と加藤Pに託してある。
もちろん、基本はAだけれど、一応、補助でBを用意してあるのだ。
その上で、翌6月30日に海外に転送する。
150GBなんて、サーバー転送することが出来るのだろうか?
最近は、ネット回線も太くなったし、サーバーの容量も増えたけれど。
転送スピードも、1Gb/sなんて、普通になったいみたいだけれど。
Byteではなくて、bitなのだから、精々、200MB/sってところじゃないだろうか?
アップロードが厳しいとか、その場合、圧縮するのかな?
だとしたら、圧縮ファイルも用意しておくべきだったかもな。

電車に揺られる。
頭の中で何度も繰り返す映像たち。
ここから先、出来ることはもう、プロモーション系のことだけだ。
帰宅して、圧縮ファイルの書き出しもしようなんて、思っていたけれど。
結局、手を付けなかった。
もう、お任せした方が良いのだ。
そこはなんとかしてくださるはずなのだ。
手を離れた。
今、おいらは出来ることは、一つ完全に終わったのだ。
もう、祈るしかできないのだ。願うしかできないのだ。

届くと。
信じるほかはないのだ。
刺さると。
思い込む以外は出来ないのだ。

でも、確信している。
そこに乗れば。
そのテーブルにさえ辿り着けば。
おいらは、そう確信しながら。
でもやっぱり、祈ってしまう。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 05:31| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月29日

データチェック

帰宅して、書き出しエラーがないかチェックしていく。
書き出したファイルを編集ソフトに読み込んで、プロパティを確認。
ここでエラーが起きていたら、問題点を洗い出して、再度書き出しになる。
問題なし。

3つのファイルをそれぞれシーケンサーに並べて、確認していく。
字幕のタイミング、カットした部分の確認、その他、おこりうるミスの全て。
観ているうちに、冷や汗が出てくる。
ちょっと、信じられないけれど。
この3つのファイル、どれも、問題ないのだ。
1つの字幕ファイルを切り貼りして、3つの納品データを作成、その上、書き出しをする。
この作業を間違いなく、昨晩、ダウンロードしながら、やったのか・・・。
作業量を考えるととても信じられない。
どれだけスピーディーにやったら、出来るんだよという、感じ。
ピンチになったから、逆に、思考を無駄に使用せず、作業に没頭したのだろう。
普段だったら、編集中に映像に見入ってしまうようなことも、瞬間すらなかった。
書き出しエラーだけではなく、編集エラーもない。

一つだけ。
編集したほうの字幕で、接続詞が多分、おかしい部分だけあった。
まぁ、セリフとセリフの間をカットしてしまっているからしかたがない。
何に掛かっているBUTなんだろう?って思ったけれど。
この辺は、もう仕方がないのだと割り切るほかはない。

ファイルの変換など技術的な部分で最後にトラブルがあったけれど。
そんなことは実はたいした問題点ではない。
一番大事なことは、この「英語字幕」そのものの仕上がりなのだ。
英訳ではない。英語台本。
デビッド・宮原、特有の言語感覚、ギャグ、詩的センス。そしてリズム。
そういうものを、どうやって英文にしていくのか。
おいらは何よりも、そここそ重要だと思っていて。
知り合いのバイリンガルに頼むのではなく、字幕製作会社に頼んだのはそこを重要視したからだ。
海外で観た時に、それがただの直訳では実際意味がない。
どんなにすばらしいセリフだって、日本語がわからない人には字幕しか頼りにならないのだから。
おいらは、テーマ曲の歌詞の英文を見て、その選択に感動をした。
もうそれだけで、信頼した。
「sing a single note」という語感のリズムに、心から感心した。
すばらしい、英語字幕をつけてくださった。
技術的に整合させるのは、なあに、おいらの仕事でいいのだ。

海外に持っていけば、当然、言葉の壁が立ちはだかる。
字幕が多ければ、映像に没頭しづらくなるから、いかにシンプルにするのかもカギになる。
その上、言語圏が違う国もあって、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語・・・
英語から別の字幕を重ねる場合だってあるのだ。
伝言ゲームのように、ニュアンスが少しずつ変わっていってしまうかもしれない。
そうなると、オリヂナルとどんどん乖離していってしまう。
おいらは、デビッド・宮原という人は、とても作家性の強い監督だと思っている。
それは、映像作家、演出家という成分が少ないとか、ないとか、そういう意味ではなく。
言語を操る作家性こそ、一番の武器にしている作家だと思っている。
言葉の持つ強弱、軽重、音楽性を、巧みに組み上げていく感覚が、一番の武器だ。

時々海外の映画を観ていて、これは字幕いらないよ・・・という時がある。
基本的にあまり字幕を気にしないように観ているけれど。
役者が「ヤー」なんて言ってる時に、字幕で「うん」なんて出ていると。
それは、わかるよ。表示されると目が動くから、いらないんだよって思ったりするのだ。
「Fack you」を「クソヤロウ」なんて、必要だろうか?
だから、そういう部分も気になっていたのだけれど、簡単な返事や、相槌は字幕化していなかった。
おいらは英語圏の人間じゃないけど、やっぱり、「うん」は英語にしなくてもわかるはずだと思う。
字幕が映画の補助なのか、主役になってしまうのか、邪魔になるのか。
その線引きで、きっと、字幕製作は戦っている。
とても、誠実な仕事をしていただいたなぁと、感謝している。

さて。
納品だ。
これを持っていく。
このデータを。

ネット経由だから飛行機に乗るわけじゃないけれど。
比喩的に言えば、空を飛ぶのだ。
海を越える。
字幕は、まるで、翼だ。
言語という壁をいとも簡単に乗り越えて、作品を海外に運んでいく。

その翼には。
おいらの両肩に乗っている全ての思いを運ぶ力強さがある。
翼を広げる時が来たよ。
今までのマーケットに持っていった作品とは違う。
仮編集状態だったのだから。
今度は完全版なのだから。

飛べ。
どこまでも。
飛べ。
高く。

パンパンたちを世界中に運んでおくれ。
夢のような物語がはじまっている。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 09:04| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月28日

字幕映像製作顛末

字幕製作会社までデータの入ったHDDを受け取りに行く。
宅配便で届けてもらうほど時間は残されていない。
かと言って、ネットでダウンロードできるような小さなファイルでもない。
オリジナル版に字幕の付いた映画を受け取って、更にそれを、再編集したA版、B版に変換しなくてはならない。
変換後に書き出して、ようやく納品だけれど、納品がもう目の前なのだ。

帰宅してすぐにデータを読み込む。
そして内容確認・・・。
・・・あれ?
何かがおかしい。
少しだけ、声と字幕がずれているような微妙な感覚。
後ろの方まで進んでみてみると、ありえないほど、字幕と映像がずれている。

とっさに、字幕製作会社に電話をかける。
確認をお願いします!と伝える。

通常なら有り得ないケアレスミスが発覚。
なんと、字幕のフレームレートがあっていなかった…。
それに、通常ならデータ作成後再生して確認をするはずなのに・・・。
なぜか、確認もしていない。
急かしてしまった悪い面が出た。
映像が23.976コマ/秒なのにたいして、字幕は24コマ/秒。
後半に行くにつれて、どんどん、字幕がずれていく。
字幕と映像が切り離れたデータなら、まだ調整も可能だったけれど、焼き込んでいる。

万事休す。
完全にスケジュール的に間に合わない。
え?こんなことで、断念するのか??

平謝りの担当さんは、深夜でもおいらの家まで新しいデータの入ったHDDを持ってくると言い出す。
さすがに、それは断った。
それを待ってからの作業というのも流石に厳しいし、何時になるかもわからない。
とにかく、こうなったら、翌日作業しかない。
・・・とは言え、書き出しにかかる時間を考えるとかなり厳しい・・・。

かなり、くじけそうになる。
針でつつかれたら、子供みたいに泣いちゃいそうな精神状態。
担当さんは何度も謝ってくださるし、映画を観て褒めてくださったし、責める気はない。
そこで、担当さんから2つのアイデアが出る。
とにかく、データの修正版をなるはやで作って、翌日の午前に渡す案と。
字幕だけの映像データであれば、多少軽くなるからデータを分割してネットで送るというもの。
どちらが良いでしょうか?という問いかけに、おいらは、即答した。
両方の可能性を追わせてください!
字幕だけの映像データもください。
でも、納品データも同時に作成してください。
両方であれば、仮に字幕だけのデータをもらって、難しくても、その時にまた考えられる。
わかりましたという回答。

まず、サンプルで冒頭5分のみの字幕データが届く。
それを取り込んで、映像に重ねる。
セリフとずれがないかの確認をして、担当さんではなくスタジオに電話。
字幕データの付け方や、やり方を教えてくださるという話だったけれど・・・
技術の人と話をしたら、その時だけ、ようやく少し頭にきた。
そんなの教わる必要もないぐらいのことだし、君たちは教えてあげたいようなケアレスミスをしたのだぞ。
担当さんと違って、少しぞんざいな話し方にピリッとした。
なめんじゃねぇ。小僧。
どんなギリギリでも、こっちは命懸けで取り組んでるんだ。

おいらの両肩に乗っているのは、一体、何人の夢だろう?
支援をしてくださった200人を超える皆様のあたたかい声。
共演した約30人の役者たち。その家族。
そして、同じぐらいの人数のこの映画に関わってくださったスタッフさん、営業さんたち。
その全ての人たちの、様々な思いが、夢が、希望が、両肩にのしかかっている。
どうにもできないけれど、どうにかするに決まってる。
出来ないじゃなくて、やる。

分割されたデータが保管してあるアドレスが届いた。
1つダウンロードして、編集に入る。
一番効率の良いタイムコードを利用したやり方を独自にどんどん探していく。
作業効率が上がるように、スペースのカスタマイズもしていく。
3つめのダウンロードの時には、すでに、作業効率はダウンロードのスピードを越えた。
だから、そのまま、A案、B案、両方の編集を始める。
データをダウンロードしている間に、2つ編集を同時進行で進めるほかはない。

全てのデータをダウンロードして、全ての編集が終わった。
そのまま、データを保存して、PCを一度、再起動。
メモリ空間を綺麗にしてから、再度立ち上げて、今、ようやく書き出しに入った。
字幕ありのA案、字幕ありのB案、字幕ありのオリジナル版。
字幕なしのオリジナル版はすでにあるから、この3つの書き出し命令をした。
1つのファイル当たり、2時間強。
書き出しエラーが発生しない限り、翌日の夜には、納品データが出来上がっている計算だ。
HDDの容量に間に合う計算にしてある。

間に合った。
間に合ってるけど。
こんな時間か・・・。
一時はどうなることやらと思ったけど。
なんとか乗り切ったはずだ。
そう願っている。

安心したら、なぜか、一滴だけ涙が出てきた。
綱渡りだ。
いや、綱ほど太くなかった。糸渡りだ。

あとは、PCに任せるほかはない。
頼むぜ、相棒。
チンチンに熱くなってるお前だけが、今は頼りだ。
おいらの両肩には、それだけの、思いがのしかかっているんだ。

大声が出したいのに。
早朝じゃないか。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 05:01| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする