ずっと我慢していたM.A.済の音声データを映像に重ねる。
実際に映画になる映像と音声が重なった。
そして、それを最初においらが観ている。
必要作業を昨日までに終わらせると決めていたからできたことだ。
タイムコードをいじることは出来ないから、前半後半の少しだけ感じるずれを調整していく。
音声と映像は完全にタイムコードで繋がっている。
いわゆるポン出しのタイミングと、MAの時に出たラストの細かい調整。
エンドロールはほぼほぼ完成しているから、とりあえず仮で配置していく。
エンドロールの字をあと一回り小さくしようかな。
多分、その方が、実際には読みやすくなると思う。
前半から、つまみながら、映像をチェックしていく。
どこかで、実はずれていたなんてことがあったら洒落にならない。
たった1コマでも、ずれているわけにはいかないのだ。
編集で苦労したシーン、撮影時にトラブルがあったシーン。
カラコレで問題になったシーン、整音で頭を抱えたシーン。
ツマミながら観ているのに、どうしてもそういうシーンを飛ばすことは出来ない。
どのシーンも愛おしいし、どのシーンも見ごたえがある。
まだ編集途中での提出だったとはいえ、カンヌのディレクターってのはセンスがないなぁなんて言ってみる。
おいらの思い入れが強いから、ここまで面白いと感じるのだろうか?
決してそうは思えない。
2017年に公開されるどの映画にも引けを取らない作品になっているはずだ。
まぁ、そもそも、映画なんて比較できるようなものでもないのだけれど。
間違いなく完成の足音を感じながら、細かいタイミングの調整を終えた。
明日、エンドロールを再度清書して、エンドロールのタイミングの調整をする。
その状況で、一度、書き出してみようと思っている。
終末ギリギリまで作業をしようと心に決めているけれど。
何度も触っていれば、細かく調整するところが出てくるかもしれないからだ。
ようやくここまで来た。
ようやく関係者の皆様に観てもらう日がそこに来た。
ここを越えて、完パケに進み、そこからが本当の勝負になる。
むしろ、今までが全て、準備だったのだ。
なんて、壮大な準備だろう?
考えてみれば舞台だって、脚本が出来て、稽古をして、舞台に上がる日が本番なのだ。
映画だって、公開されるその日が、本番なのは当たり前なのに。
必死になって走ってきたから、そんなことにも気付かずにいた。
舞台のチケットが発売開始された。
初日、ちょっとしたトラブルがあったけれど、それ以外は順調な滑り出し。
これで、安心して、まずは、打ち上げまでの作業にのめりこめる。
久しぶりにお会いするスタッフさんもいる。
あの濃密な日々。毎日顔を合わせていたスタッフさんもいる。
どんな映画になっているのか全体像まではきっとわからなかったと思う。
そのぐらい、中身の濃い、タイトなスケジュールだったのだから。
順撮りではなかったし、編集でシーンの入れ替えもあるし。
恐らくは、どんな作品になっているかなんて、想像もできないだろうなぁ。
あの期間を。あの撮影現場を。
知っている人が観れば、きっと、驚くと思う。
あの日を思い出しながら、そう繋がっていくんだと。
そして、それが、こんな風に物語になっていることを。
共に歩んでくださっている皆様はきっともどかしいと思う。
まだ映画を観ることが出来るのは先なのに。
完成が近いのだから。
きっと、皆様にお披露目する完成披露試写会になって、初めて、この映画は完成するのだ。
早く観ていただきたいけれど、順を追って、一歩ずつ、その日に近づいていこう。
今日はここまで。
明日はそこまで。
一歩ずつ、進もう。