朝起きて、打ち上げの連絡を回す。
打ち上げを兼ねた初号試写の案内。
むしろ、打ち上げがメインと言った方が良いかもしれない。
監督から、早めに現場スタッフさんと打ち上げを設定しなさいと言われて。
どうせなら、映像を流した方が良いと聞いてから、今日まで伸びてしまった。
どのスタッフさんも忙しいから、中々、日程調整も合わなかったのだ。
PCを背負って稽古場に向かう。
次回公演の印刷物を作りながらの稽古。
その稽古の途中に印刷されたDMが到着する。
宛名シールを貼り、切手を貼る。
お知らせは、チケット発売前に送らなくてはいけない。
届いたDMのデザインをPC画面と比較して、チラシのデザインの確認もしてもらう。
数人から意見をもらって、まとめていく。
実は、次回公演の台本が進み、キャスティングも済んでいるのだけれど。
今日の稽古場のメンバーで、唯一、おいらだけが台本に登場していなかった。
だから、作業に専念できるかもなぁと思ったけど、そうはいかなかった。
出ていなければいないで、代役をしなくてはいけない。
一人だけ本役がないから、かえって、誰よりも登場回数が多くなって忙しくなってしまった。
まぁ、台本を持っての代役とは言え、稽古できることは、確実にプラスだ。
気付くこと、台本の構造に触れること、流れを掴むこと。
代役をするだけでも、作品について多く知っていく。
今日までの台本を一通りなぞっていって。
そのあと、すぐに演出に入る。
稽古を眺めながら作業をしていたのだけれど。
なんか、まったく、進まなくなってしまった。
稽古後に食事。
たまに、飲み屋じゃない方にも行く。
今日の稽古について、ぐだらぐだらと、話す。
不思議なことだけれど、あまり、肯定はしない。
肯定しあっていても、なんの進歩もないからだ。
満足してしまうことに恐怖を感じる。
足りない部分を感じていないと、止まってしまうかもしれないからだ。
まだまだだ。全然だめだ。
常にそれを繰り返す。
そういう中からしか本当の自信は生まれてこないからだ。
厳しい意見の中で生まれた小さな肯定こそ、ポジティブな道を照らす。
まだまだだ。これからだ。全然だめだ。どうしよう。まずいよな。
目をそらさないで、そこを見ていく。
話しすぎて、いつもより、時間が遅くなっていた。
電車に飛び乗ると、M.A.済みの、ステレオ音声が届いた。
いよいよ、手元には、完成された映像と音声が揃ったのだ。
テロップと微調整で、完パケデータを納品できる状況にまで行く。
もちろん、打ち上げを兼ねた試写にも間に合う。
帰宅して、印刷物のファイルを開き、今日の整理作業だけしておく。
同時に、ブラウザ経由で、音声のダウンロード。
2.4GB・・・。
音声だけで、相当なデータ量だ。
さて、作業を続けようと思ったけれど、やっぱり、やめにする。
朝送ったメールの返信が溜まっているのに、そのお礼も出来ていないことに気づく。
今日一日で、自分の頭の中に流れ込んだ情報量の大きさを思えば、少し早めに就寝した方が良いと感じた。
朝早く起きて、メールを送ってから今まで、次々に色々なことが起きたのだから。
それに、届いた音声と映像を合わせて、再度見てみたいという強烈な欲求が今、湧きおこっている。
駄目だ。
今から、それを見たら、あっという間に朝がやってくる。
寝て起きれば。
自分の中で、今日の出来事が整理されているはずだ。
一番強烈に感じたことがある。
それは、足を前に進めてきた証とも思えるものだった。
逃げなかったものにしかわからないことだった。