2017年03月27日

整音作業リスタート

朝起きて、書き出し完了を確認してからPCをバッグに詰め込んでいく。
シャワーで無理やり目を開けてからすぐに出かける。
あの町に、あの人に、会いに行く。

ロータリーに泊まっている大きな車。
運転席を覗くと懐かしい顔がそこにあった。
思わず笑顔になる。
お久しぶりです!
そういいながら、あっという間にいつかの日に戻っている自分。
KORNさんの助手さんと、一緒に車に乗り込んで、移動する。

到着すると、記憶が少しずつ戻ってくる。
玄関には山積みになったMOTUのオーディオインターフェースがあって、その上に電動工具。
日本のどこを探しても、こんな人はいないよなぁと思う。
スタジオに入ると、あの時と同じように自作のコンソール。
ありとあらゆる部分に、自らの手を入れてある。
市販製品に劣らぬクオリティで、大きなコントローラーが組んである。

コンソールにスポンジをひいて、助手さんのMACを置く。
音声のアウトプットをモニタースピーカーに接続。
おいらが持っていった液晶モニタとも接続して、作業が始まった。

全体を観て、トラックを把握しながら整理していく。
あっという間に、その全体感を理解していく。自分なりに解釈していく。
基本となるシーンを指定すると、そこに合わせていく。
トラック整理しているなぁと思っていたのに、気付けば、整音作業に入っていた。
それまで奥にあった音が前に出てきたり、バランスがどんどん変わっていくことを耳で感じていた。
わ!と、声が出たのは、明らかに音声の質感が変わった瞬間だった。
アフレコ収録したクリアな音声が、あの時に撮影した現場の音声に間違いなく近づいたのが分かった。
思わず立ち上がって、画面をのぞき込むと、丁寧に、何をどうしたのか教えてくださる。

EQを持ち上げて、どこに何がいるのか当たりをつけてから、逆につまんでいく。
音の幅を狭くするために、子音の部分だけコンプを当てていく。
足音が鳴る前だけを少し伸ばしておく。
とにかく、細かい作業を一つしていくたびに、音声が馴染んでいくのが手に取るようにわかる。
正直、おいらがそこにいても出来ることなんかほとんどないのだけれど。
明らかに音声が混ざっていくのが、手に取るようにわかった。
すごい。

今、音楽のレコーディングといえば、当然、PCが基本だ。
デジタル化された音声データをPC上のソフトウェアで、加工していく。
今は、それが普通になったから、自分のPCで、自分で加工してしまう人がほとんどだ。
インディーズと呼ばれる世界の自主運営バンドたちは、今や自分のPCで録音から加工までしてしまうようになった。
今回お願いしたエンジニアさんは、それこそ、つまみをいじり、テープに録音した経験のある方だ。
だから、音の根本がわかっている。音とは波で、その波をどうすれば、どうなるのか把握している。
デジタルな画面でグラフィカルなイコライザーを見ながらいじるのではない。
形は違えど、ツマミをいくつか持ち上げてみてから、当たりをつけていくことを、デジタル上でもやっていた。

確実に景色が変わった。

いつまでに、この整音作業を終わらせるのか日程を伝えると、サラリと、行けますよなんていう。
おいらは、その作業に。そしてディティールまで修正していくことに。そして作品に向かう姿勢に。
あっという間に、強い信頼を覚えた。
関わる以上、ただ音をいじるのではなくて、自分の作品なのだと思えるまでやる。
きっぱりと、そう言い切っていた。

稽古だから、早めに辞する。
助手さんは残って、作業を観たいという。
一度、車で駅まで送ってくださった。
そのガレージの車の横には、釣り船が係留してある。
この船も手作りなのだという。
船を作る?
そんなこと、ありえるのだろうか。

稽古場に向かう電車の中、含み笑いが止まらない。
音がどんどん変わっていったあの感じが耳に残っていたから。

稽古をして、終わって、飲みに行くころ、連絡が来る。
ええ!この時間まで作業を続けてくださったんだ・・・。
あの集中力を維持していたんだなぁ。
今から自分のPCに、インストール大会を開催するという連絡。
用意したまましていなかったアップデートをしてみて、自分のPCで作業できるか確認してくださる。
もし、出来なかった場合は、助手さんのPCをそのまま貸し出すのだそうだ。
それは、助手さんから置いていきますと言ってくださった。
でも、自分のPCで作業できれば、コントローラー、フェダーまですべて使用できるようになる。
もし可能であればその方が良いに決まっている。

すごい。
もう、早く、次に行ける日程を探らないとと思っている。
聞きたいのだ。
その後、どうなっているか、聞きたくてうずうずしているのだ。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 08:25| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする