2017年03月21日

MAの始まり

朝起きて、眠い目をこすり、慣れたとはいえ重いモバイルスタジオを背負う。
電車を乗り継いで、スタジオに。
音楽監督の吉田トオルさんとおちあって、KORNさんの車に乗り込む。
スタジオに到着して、MAの準備。

俳優が一人、アフレコ出来ていない部分があって到着。
先にそこから始める。
細かいけれど、細かいからこそ、目立ってしまうような部分。
ちょっとずつブレンドして、ちょっとずつ直していく。
それだけでも、時間がかかる。
そうこうしているうちに、監督も到着。
アフレコを終了して、俳優には帰っていただく。

頭のシーンからMA開始。
最初の楽曲をどうするかで、いきなり詰まる。
この方向の方が、僕はいいと思いますと、一応宣言する。
こっちで作って、一度あっちに行ったけど、こっちに戻す方法もあるよね。という流れ。
こっちに戻すには、何が必要で、何が足りないのか、音を聞きながら探る。
監督の一言で、急きょ、レコーディングの開始。
スタジオの外までケーブルを伸ばして、足音の収録。
スタジオのブースに入って、音声の収録。
共に、かすかに聞こえる程度の音でしかないんだけれど、それが空気を作っていく。
すごいなぁと思いつつ、その1シーンで1時間以上の時間を使ってしまう。
残り時間を考えれば、とても、間に合うペースではない。

ある程度、音声は整理してあって、バランスを見ながら、楽曲のフェーディングをしていこうと思っていたのだけれど。
その音声の整理が、もっと必要だなということになった。
そこでもう、今日中にMAが終わることはないと、理解した。
急遽、ブースにもう一台のMACを開いて、Protoolsを使用しての作業。
音声の整理、整音と、楽曲の配置、フェーディングを同時進行で進める方向になる。
音声の整理担当においら。
楽曲の方に、監督と音楽監督。
え?うそ、それ・・・責任重大じゃないの??
・・・と、思いつつ、そこから数時間ヘッドフォンの中で生きることになる。
おいらは、ヘッドフォンをつけると、音に集中しすぎてしまって1時間が耳の限度なのだけど。
そんなことも言ってられなかった。

パラレルで進む作業。
遅々として進まない箇所も、出てくる。
そうこうやっているうちに、整音班はタイムアップ。
MA助手さんを見送り、出来ることはもう、劇伴の整理。
音楽監督の指示で、フレーム単位で配置場所が移動して、最適なバランスになっていく。
クライマックスの頃から合流したから、ぴりぴりと反応してしまう。

ふと思い出したこと。
音楽ともSEとも言えるのをまだ配置していないこと。
あ、これ、どうするんでしたっけ?
あ!やってないじゃん、やろう!と急遽、配置するようなことも。
それが、流れた瞬間に鳥肌。涙。タイムトリップ。
監督も立ち上がって、音を確認したと思えば、次から次に、提案を出す。
だとしたら、こうじゃないか?こうしたほうがいいんじゃないか?
その連続から出来上がったそのシーンは、あっという間に心に落ちていく名シーンになった。
明らかにそれまでのそのシーンとは違った意味を持った。

気付けば終電も間近。
それでも、ここもやっておこう。ここやってないじゃない?の連続。
ギリギリまで追い込んで、ついにタイムアップ。
おいらは通常のルートではすでに電車もなく。
終電から終電を乗り継いで、一度も、ノリ逃すわけにもいかないスリリングな乗り換えで、ようやく帰宅した。
よく寝過ごしたり、どこかで乗り換え間違えずに済んだものだ。
そのぐらい疲労していたし、電車の中で、ぼぉっとしていた。

大いなる前進と、素晴らしい誕生があったと同時に。

MAについてのスケジュールを再考しなくてはいけない、大きな大きな壁にぶつかった。
完パケ納品日は、決定しているわけではないけれど。
最短でこの日には、完成が必要になるかもという日程がある。
最高も最低も想定して動くことが大事なのだとすれば、やはり納品日は動かしたくない。
いや、納品日はどんな仕事にも当然あることなのだ。
仕上げてから納品日が伸びて、じゃあ、もう一度整理しようというなら、それはそれで良いのだから。

音に関してのこだわりが強いこの三人が揃えばこうなることはわかっていたけれど。
さて、どうすることが一番良いのか・・・やや、胃が痛いけれど。
それを最高の結果に繋げる方法がきっとあるはずだと、もう一度、頭をひねるしかない。
MA・・・整音が1からになったと思っても良いぐらいの局面だ。

どんな難局も乗り越えてきたじゃないか。
絶対に、回答はあるはずだ。
まずは、布団に入ろう。
今日はもうアイデアは出ない。
目がしばついて、耳が疲労して、集中力が散漫なのは明らかだ。

MAが始まった。
始まったと考えるのだ。
ここから、どう進むか。
相変わらず、重い体でも、まず一歩、足を出すしかないのだ。

映画は完成しようとしているのだから。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:39| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする