稽古から帰る。
飲み屋で出てくる言葉は考えさせるものもある。
帰宅してPCに向かうと、でも、そこをもう一度超えてしまう。
明けて今日。
香港フィルマートが開催される。
世界最大級の映像の国際見本市に。
日本の小さな小さな劇団の作品が並ぶ。
世界中の7300人ものバイヤーが集まる。
そこに、劇団前方公演墳代表作「セブンガールズ」の映画版が並ぶのだ。
18年もの間、正面から向き合ってきた、積み重ねてきたものが、そこにあるのだ。
これが、どれほど、感動的なことなのか。
伝えられないもどかしさ。
香港は時差2時間程度かな?
だから、ほぼ日本と同じ。
今日、そこで、SevenGirlsという文字を、目にする人が何百人もいるだろう。
監督もそう。
おいらもそう。
編集している時、作品を良くしようと、色々なカット割りを試していた。
でも、いつも、作品を良くしようとしているのに、途中で変化してしまう。
そこに登場している役者をもっともっと良くみせよう。
この役者の良い所を最大限に活用しよう。
そういう方向になってしまう。
作品を見せようと思っていたはずなのに、役者を良くみせようという方向になってしまう。
むしろ、それこそが、この作品のカラーになっていった。
今、おいらは、どこにいるの?
日本の片隅で、寒の戻りで、雪が降るかも何てニュースを見ながら。
確かにここにいるのだけれど。
でも、ここにいながら、同時に、香港にもいるんだぜ。
おいらだけじゃない。
監督も、今日稽古場にいた皆も。
いいかい?
香港に同時に存在しているんだぜ。
自分の知らないところで、自分を見ている人がいるのかもしれないなんて。
リアルタイムの舞台で生きてきたから、余計に、不思議でしょうがないよ。
でも、嘘でも何でもないんだよ。
本当に、本当なんだよ。
デビッド・宮原が世に出ることはもちろん初めてじゃない。
音楽で、コラムで、漫画原作で。
何度も世に出てきた。
でも、そのデビッド・宮原の最大にして最長の仕事は何か?と聞かれたら。
ここにいる劇団前方公演墳なんじゃないかなぁ?
規模こそ小さいけれど、本当に、舞台のブの字も知らないところから始まったプロジェクト。
苦しみながら、迷いながら、どうにかこうにか18年間も続けてきたプロジェクト。
それは、劇団そのものだし、劇団員一人一人が、その結晶だ。
その最大の仕事が、映画と言う形に生まれ変わって、世に出るんだから。
それも、世界と言う今まででも一番に大きなフィールドにだ。
ここまで続けてきた全てがこの映画には詰まっている。
それを世界と言うフィールドでお披露目できるんだ。
まぁ、上映されるわけではないけどさ。
ただ、そこに出展するぐらいなんだよ?なんて思うかもしれないけれどさ。
でも、全然、そういうことじゃない。違う。
作り上げてきたものが、世界に出る感動って、そういうのを軽く超越してる。
ついこのあいだ、下北沢の小劇場で上演した作品で、世界に出ているんだぜ!
どこの誰がそんなことを出来るよ?
どこの誰がそんなことを思いつくよ?
そんなもん、夢のような話なんて言葉も簡単に超えちゃうんじゃないか?
映像製作している人たちからすれば当たり前かもしれないけれど。
ビルの地下の劇場で、演劇をしてきたおいらからすれば、全然、当たり前じゃないよ。
だって。
スタートラインがどこにあるのかすらわからなくて、もがいてきたんだから。
でも、そこは、確実にスタートラインになる場所なんだぜ。
すごいなぁ。
もう二度とセブンガールズは上演されないかもな・・・なんて思ってたのが嘘みたいだよ。
おいらは、感動しているんだ。
おいらは、感動しているんだ。
海の向こうのたった一人の胸に響けばいい。
海の向こうのたった一人に届けばいい。
まずは、そこからで、良い。
もう、たったそれだけでも、すでに奇跡なのだから。