うとうととしていて夢を見ていた。
おいらは、地道にセリフの切り出しをしていた。
ついこないだの編集過程。
起きた瞬間、自分が、今、どこにいるのかわからなかった。
いくつかの連絡をして、いくつかの連絡待ち。
そんな状態が続いているからだろう。
具体的な作業や、具体的な何かがないとすぐに、そんな夢を見たりする。
去年の今頃はロケ地探しに夢中だったのに、やれやれだ。
たったの1年で、変われば変わるものだ。
あの震災からまる6年の日だ。
そんなに経過しているなんてちょっと信じられない。
まだまだ記憶が鮮明な気がするのだけれど。
それだけ、自分の中で、大きな出来事だし、ショックだったのだろう。
今年の3.11は土曜日だから、朝から、振り返りの映像が流れるのかな?
復興は今も続いている。
余震も続いている。
今日もどこかで映画の撮影をしている人がいる。
今日もどこかで映画の企画を立てている人がいる。
自分が直面したような壁に直面している人もきっといる。
去年はそれがわからなかった。
今は、その中のいくつかを経験済みの自分がいる。
ここ数日は、寒の戻りなのか、寒い日が続いている。
毎年のことだけれど、春一番のあとに、必ずこんな時期がある。
名残雪が降らないだけまだましだけれど、最後の冬の欠片だ。
あの震災の日のあとにも、冷たい雨が降ったなぁなんて思い出す。
この冬の欠片が通り過ぎたら、春がやってくる。
経験が今の自分を構成している。
去年の今頃、映画製作について何もわからなかったけれど。
そんなときだって、それまでの経験がおいらの支えになっていた。
日々のアップデート。
経験が自信を生んで、予測を生む。
震災の時期に一度寒くなるなんて、6度目の春でいつの間にか覚えてる。
冬の欠片よ。
冬の名残よ。
冷たい空気が肌を刺すたびに。
今年の冬もこれで終わりかななんて思う。
次に暖かい日が来たら、もう君はやってこないのかもしれない。
去年のおいらが、冬にさよならを告げた日と同じように。
次に冬がやってくる頃には、また、全然違うおいらがそこにいるはずだ。
その時、おいらは、どんな夢を見るだろう?
うとうとして、目が覚めた時。
自分のいる場所がわかるのかな?