稽古場に向かう。
いつ以来だろう?
肩にモバイルスタジオを背負っていないのは。
稽古場にPCを持ち込まない日がようやくやってきた。
誰も気づかないけれど、おいらは、それがとても不思議な感覚。
映画について色々やっていて稽古場に来るとそのギャップに驚く。
海外マーケットや海外映画祭の情報のやり取り。
映像の仕上げのやり取り。
そういう具体的な作業を重ねて稽古場に行くと、そこにはいつものメンバーがいて。
やっぱり、いつものように、話をする。
朝、映画についてのメールをして家を出たのに。
あっという間にそのメールは、夢だったかのような感覚になる。
幾人かには、どんなことがあって、どんなことをしてるという話はするけれど。
具体的ではない人から聞いた話では、なかなか、リアリティまでは伝わらない。
まぁ、それは仕方のないことだ。
監督も自分の周りで起きていることと、稽古場とのギャップがあるといつも言っている。
それは、別に悪いことでもない。
字幕の確認してくれた劇団員は、どんな感じだったかな?
起きていること、やっていること、話していること。
全てに少しずつ、ギャップが生まれる。
全体感を想像する。
そこはまるで、映画の企画を発表する前の稽古場のようだった。
このままじゃいけないぞ、おいらは、色々考えていたあの頃。
今のおいらは、少し違うのだけれど。
今日の稽古場でそんな空気を感じた。
自分が狭い考えにならないように注意しながら。
一番大事なことを、ゆっくりと、考えながら。
本当は今を共有したい。
もっとたくさんの仲間たちと。
今、何が起きていて、何が起きようとしていて、どんな可能性があるのか。
言葉だけで伝えても、中々、届くことはないだろうけれど。
これが、どんな道で、どこに向かっているのか。
伝えようにも、伝え方がない。
いや、伝えても、そこにリアリティがなかなかないだろう。
名もなきどこかの劇団が世界に挑戦していることの実感なんて、簡単には持てるわけもないさ。
早く笑いたいねぇ。
すぐにでも。
皆で映画も観たいねぇ。
役者だから、自分の芝居ばかり気にしちゃうかなぁ?
稽古場が日常。
映画が非日常?
稽古場が日常何て、意外に少ないんだぜ。
映画は非日常でもないぞ。あちこちにあるんだから。
おいらは、パラレルワールドを行き来している。
今日はあっちに。明日はこっちに。
生あくびを我慢しながら。