さて、どうしたものか。
800GBのレアデータのまま渡しても結局なんらかの形式に可逆圧縮するのはわかり切っている。
レアデータではメモリばかり食って、作業も重くなるはずだから。
色々調べてみて、コーデックについても勉強して。
思い切ってみる。
DaVinci Resolve 12.5
実際に広くカラーコレクションで使用されているアプリケーションをインストールしてみる。
え!?と驚く人もいるかもしれない。
広く業務用で知られているソフトウェアだから、当然、高額なはずだ。
それに、音楽で言うProtoolsのように、ハードウェアも一緒だったりワークステーションで動くイメージがある。
でも、実は近年、このソフトは、BlackMagicDesignという会社に買収されていて。
なんとほぼフル機能のアプリケーションが、Mac版、Win版ともに無料でダウンロードできる。
無料版なんて機能限定で、使い勝手が悪いと思っていたのだけれど・・・
インストールしてみて、とっても、驚く。
非常に高機能だし、制限などほとんど感じないレベルだ。
それに、今のPCなら、ハードウェアがなくても動くのだ。
これでネイティブファイルを呼び込めるように設定していけばいい。
無事インストールが終わったから、Premiere PRO CCから、映像付きのAAFと、EDLを書き出す。
この二つの書き出しが終わって、読み込むことが出来れば、ネイティブのままシーケンスを渡せる。
書き出している間に、次の作業。
ワード、エクセル、映像データ一式をダウンロードする。
字幕データがついに手元に届いて、それを開いていく。
おいらは、英語を喋ることは出来ないし、なんだったら、学校の授業で英語が一番嫌いだった。
でも、なんとなく、大丈夫じゃないかなぁと、字幕のチェックに入る。
一応、劇団員にPCがあって、英語が喋れる人間がいるか呼びかけるも、返信なし。
まぁ、仕方ない。
映像は、書き出しでミスをしたようで、やや縦長だったけれど、しっかりと英語字幕が既に乗っている。
これを最初から再生していく。
思わず笑ってしまう。
この笑いの部分は一体どんな風に翻訳するのだろう?と思っていたのだけれど。
その一つ一つが氷解していく。
難しいなぁと思ったのは、置換法。
日本語は、「お腹が減った…僕が」と、主語を後ろに持って行ったりと言うテクニックがある。
それに、日本語の構成は、主語→修飾語→述語に対して、英語は、主語→述語→修飾語。
結果が先に来る英語とは文法そのものが違う。
言語を使った笑いは、どうしても、タイミングがずれてしまうはずだ。
「僕は・・・心の底から・・・あなたのことを・・・好きです」というセリフだとすれば。
英語は「僕は・・・好きです・・・あなたを・・・心の底から」になってしまう。
好きですをピークにしていた場合、芝居がずれてしまうという事だ。
でも、そういう細かい部分も含めて、さすがと言いたくなるような翻訳が山ほどあった。
ああ、そうやって、微調整して、タイミングを合わせているのか・・・と思うような箇所が多数。
なるほど!と声が出てしまう箇所もあった。
もちろん、英語は得意じゃないのだけれど。
日常会話で続いていく芝居だし、観ていれば何となくわかっていくのだ。
全部、観終わって、2か所だけ、修正箇所を見つける。
このあとは、淡々と、英語台本を見ていくかどうするか…。
もちろん、スペルチェックなどは一切できない。
確か、英語を喋れる知り合いは何人かいるけれど、お願いするほど時間はないという…。
重要な部分のチェックを重点的にやるしかないか・・・。
そうこうしているうちに、書き出しも出来ていた。
早速、DaVinciに読み込んでみる。
あっさりと、読み込めた。
その形式を見て、それなら、こういう整理をしていかなくちゃいけないというのがいくつか見えた。
とりあえず、まず、HDDから膨大な800GBのデータを消去して、撮影データや録音データをコピーする。
ここまで出来れば、明日には、納品用のHDDが出来上がる自信が出来た。
よし、これでいい。
字幕データを監督にも転送する。
色々作業をしていたから、アップロードが出来ないままだった。
今日はここまでかな。
そういえば、チラシ用の情報も必要だとメールが来ていた。
そう、海外のマーケットなどで宣伝するチラシの作成があるのだ。
役者名の英語表記などをまとめていかなくちゃいけない。
優先順位を整理してやっていかないと、大変なことになってしまいそうだ。
英語のチラシが出来て。
英語の字幕が付いた映像が出来て。
そうやって海を渡っていくんだ。
すごいなぁ。