2017年02月23日

ラフミックスを待ちながら

監督と連絡を取り合っていたら鈴木清順監督の訃報が入った。
なんか、やけに、寒気が走った。
おいらは、監督の特別なファンというわけではないけれど。
さすがに、20代のころ、作品を見あさった日々もある。
綺麗な映像だけど、難しいなぁなんて思ったりもしたはずなのに。

市川崑監督、五社英雄監督、深作欣二監督、大島渚監督、岡本喜八監督、今村昌平監督。
なんか、次から次に名前が出てきて止まらないけれど。
思えば、昭和を代表する監督たちが、いつの間にかおいらの中にしみこんでいるようだ。
もちろん、ご存命の監督もまだまだいるけれど、なんだか急に皆どこかに行っちゃった感覚がある。
邦画独特の軽快なテンポで、娯楽そのものを表現してくださった名監督たちだ。
なんか、今よりもずっと、監督の名前って大きかったんだなぁと感じる。
特別映画マニアじゃないけれど、芝居を始めたころは、近所のレンタルビデオ屋で端っこから借りた。
強烈なファンになるというよりも、なんというか、身に染みていたんだと今になってわかる。
落ち着いて考えると、いっぱい、観てるんだなぁ。
マニアほどじゃないにしても、生活に普通に寄り添っていたんだなぁ。
それが、きっと、なんか急に昭和の名監督たちがみんないなくなっちゃった気がして、寒気になったんだと思う。

・・・というか、映画会社出身の監督が一気に少なくなった感じだ。
大部屋出身の俳優がいなくなったのと同じように。

もちろん、おいらは今、映画製作をしているからでもあるんだろうけれど。

今、おいらは、ただただ待っている。
この映画の音声データだ。
KORNさんが、今ある12チャンネル以上の音源を、ラフミックスしてくれた。
これまでは、セリフが聴こえない箇所もあったし、音楽のバランスが崩れている場所もあった。
どうしてもおいらは、そのまま海外の映画祭に出展したくなくて。
とは言え、正式なMAが来月というスケジュールの中で。
ラフだけ、お願いしたのだ。
データの受け渡しで、この数日、何度もくじけそうになって。
今日は、最終的に携帯型外付けHDDにデータを突っ込んで外出した。
これでだめなら、直接渡すしかないと思っていたのだけれど。
なんとか、データ転送が出来た。
(残念ながらLRパン情報だけは移管できなかったけれど)

今、バウンス中で、それをデータ転送してもらう。
その音源を今ある映像にくっつけて、エンコードする。
エンコードした映像データを、納品すれば、今日までの段階がひとつ片付く。
音が整理されれば、どれだけすごい作品になるのか。
観ないでも想像がつく。

MA・・・マルチオーディオの略らしいけれど。
MAには、MAの専門にしている方々がいる。
だったら、その方にお願いするのが普通なのだと思う。
でも、おいらは、KORNさんにお願いするべきだと言った。
それ以外にないだろう?って思う。
もちろん、KORNさんは、テレビやアニメや映像の仕事も何度もしている。
本職はレコーディングエンジニアだけれど、MAもやっている。
それどころか、PAだってやるし、うちの劇団では音響操作もやってくださっている。

監督がいて、音楽監督がいて、うちの連中が出演する。
恐らくそんな風に劇場用映画を創ることが出来ることなんか今までなかった。
それを目指しているのだから。
KORNさんにお願いしないと意味がないとおいらは思っている。
うちの劇団の歴史の一部だし、うちの作品を知っている。
それに、毎公演、監督とトオルさんと3人で、舞台の音楽を担ってきた。
日本の小さな劇団で、こんなに音楽にこだわってる連中がいるんだぜと、世界に届けないと意味がない。
オリジナル音源で、劇場に入ってもエディットを続けて。
こんな劇団、よそにはないんだよって、いつも思っている。
あの音圧を浴びせる劇団なんか、どこにもないぜ。
MA専門の人の方が優れている部分もあるかもしれないけれど、それ以上のものがあるってことだ。

だから、今のおいらは楽しみでしょうがない。
どんなふうに音が整理されているだろう?
聞きたくてうずうずしている。
パンが消えたからステレオ感はなくなってるかもしれないけれど。
でも、今までとは、絶対に違うと確信がある。

大体。
こんな時間まで、MIXして、バウンスして、アップロードしてくれる人がいるだろうか。
KORNさんは、わりに、サラリと受け流すけれどね。
おいらは、おいらで、長い付き合いで知っている。
やってやるわい!ってなった時のことを、知っている。
若いころに無茶を一緒にやったことも身体にしみこんでいる。
世界に持っていくのは、この劇団が持っている宝だ。
その宝をそのまま持っていくんだ。

今、データ便が届いた。
2.4GB!?
そんなことになるのか・・・。
恐ろしい・・・。

昼間に、ついに、映像をシネスコサイズに変えておいた。
これまでより、ぐっと、映画に近づいている。
没入感が全く違う。

昼間、監督と連絡を取っていた時。
鈴木清順監督の訃報があったあと。
ついに、「カラコレ」の連絡も来た。

おいらは、寒気がするんだ。

さあ。映像と合わせよう。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:23| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする