昨晩、音楽監督にレポを送信後。
深夜に電話がかかってくる。
色々と映画について話す。
時々、わからない部分もあったけれど、とにかく、熱い気持ちが伝わってきた。
この作品を高みへと、あげたいという思いだ。
明け方まで話して、就寝。
あまり、睡眠もとらずに、一日が始まった。
音楽監督と話した内容の中で出た連絡事項をいくつか。
その中で、MAをお願いするKORNさんともメッセンジャーで少し話す。
アフレコやMAが、いつぐらいになるのか。
どのぐらいの時間がかかるのか。
その前に何が出来て、何が出来ないか。
少しずつ見えてきたように思う。
スケジュールも、そろそろ出てくるはずだ。
帰宅して、もう一度、映像を観るか悩んで、今日はやめておいた。
少し間をおこうと思った。
日曜には、監督に、音楽を貼り付けた状態の映像を渡す予定。
それまでに出来ることは、やってあるはずだ。
土曜の夜に、更に変更されたデータを送ると音楽監督から聞いているから。
だから、今は、じっくりと待った方がいいのだ。
それに、今日一日。
何度も何度も、あのメロディーが頭の中をループしていた。
気付けば、ハミングでメロディーを追っていた。
頭の中が過熱している証拠だ。
こんなに睡眠時間が少ないのに、まったく眠くなることもなかった。
どこか、クールダウンしないといけないと思った。
そう思っていたら、テレビで、千と千尋の神隠しが始まった。
なんとなく、最初からつらつらとみていた。
少し前は、ドラマでも映画でも観れば、編集点や、そのスピードに目が行ったのに。
頭の中がシフトしているだけあって、久石譲さんの音楽の使い方ばかりが気になった。
宮崎駿監督、北野武監督と、巨匠に信頼された、日本人の第一人者だ。
完全にシーンに充てて曲をつけている。
恐らく、トオルさんと同じように音楽用の台本も書いていると思う。
そう考えなくては説明がつかないような、曲の繋がりだった。
そんなことを思いながら、映画を観ていたら。
ふと、朝方の電話で、トオルさんが言っていた言葉が頭に浮かんだ。
映像版はさぁ・・・舞台より、やわいんだよ。だから音を当てると、合わなかったりするところがあるんだよ。
その言葉がじわりじわりと、おいらの中を侵食していった。
舞台の演技は生だから強い。
おいらたちは、長い時間をかけてその強い芝居を映像に合わせていった。
だから、もし、やわいのであれば、稽古の成果でもある。
でも、きっと、それだけではない。
舞台は生だから、目の前に役者が実際にいるという存在感がある。生の声がある。空間がある。
それは、すでにエネルギーで、そのエネルギーこそ舞台なのだと思う。
でも、映画はそうじゃない。
映像で、マイクで、そっと掬い上げている。
アングルで切り取って、見えづらい所を、ズームしていく。
それはもう、稽古でとか、芝居がとかのレベルではなく、根本的な表現手法の違いだ。
今になって。
また、あの映像を確認したくなってきている。
音楽が付いたばかりのあのシーンもみたくなっている。
明日の夜にはアップデートされてしまうかもシーンもある。
明日は朝から月末の舞台の稽古だ。
自分のシーン以外は待ち時間で、監督もそこにいるから、モバイルスタジオを持っていくか悩んでいる。
けれど、持っていかないつもり。
明後日には、持っていくのだから、明日、絶対に必要なわけがない。
もちろん、待ち時間に、出来ることは山ほどある。
細かいノイズを少しずつ削って行ったり、インデックスを作っておいたり。
他にも作業しようと思えばある。
舞台の準備も含めたら。
でもな。
明日の朝の気分で決めよう。
雪はあまり見かけなかったけど、冷たい日だった。
時々、氷雨が降った。「飲ませてくださいもう少し」だ。
おいらのハミングは、真っ白い煙になって、夜空に上っていった。