音楽監督より初稿の音源が届く。
こうなってくると、ほぼ吉田トオルさんのBLOGと同期してくるけれど。
音で笑い、音で驚き、音で泣き、音で産毛が逆立った。
まだ監督も含めて誰も聞いていない。
誰も音を重ねた映像を観ていない。
おいらとトオルさんしか知らないのだ。
ダウンロードや音を当て込んでいく作業に時間を取られると思ったけれど。
意外にも、スムーズだった。
ダウンロードはものの10分だったし、貼り付けも音楽台本にタイムコードがあったから一瞬で張り付けられる。
細かい調整とかが必要だと思っていたから作業的には拍子抜けなほど簡単だった。
これなら、変更が来ても、一瞬で変えられる。
実際に、貼り付け作業後に、いくつか指示変更があったけれど、すぐに修正できた。
・・・とはいえ、修正の指示が8コマ移動・・・
1秒間24コマだから、0.3秒のキッカケ変更。
ここからは、そういう作業に突入という合図のようだ。
もう、音についての感想は、書きようがない。
とにかく、何度も何度も映像を観続けているおいらの心がもう一度動いたのだからそれ以上はない。
実際に切なくなって、泣いてしまったのだから、もうこれ以上はない。
それに、細かく書いちゃうとネタバレになりそうなほど、言葉が出てきてしまう。
そして、その音の数・・・。
普段の舞台音響で考えても倍ぐらいだろうか。
実に50曲近い楽曲。
それを5日で・・・。
その作業量、集中力、それがどれほどのものか想像できるだろうか。
もちろん、まだ書き出しはしない。
監督に渡したいけれど、まだ初稿だからだ。
ここというタイミングまで地道に音を張り続けるだけだ。
そして、それまでは、おいらしか知らないのだ。
映像を観ながらリアルタイムに弾いたピアノの曲も入ってる。
中には、降りてきた曲も。
それが今、おいらしか知らないなんて・・・。
早く監督に渡したいけれど、今はまだ難しい。
とにかく、これで、映像からまた一歩映画に近づいた。
音楽の持つ力は、時に、すさまじい力を発揮する。
映画には全てが入っている。
絵の持つ力、言葉の持つ力、そして音楽の力。
どれかが勝つのではなくて、全てが一瞬にして一つになった時に、異常な瞬間が生まれる。
それは多分、職人が見つける、匠の瞬間だ。
匠の瞬間こそ、おいらは真の芸術だと思っている。
しかも、これで終わりではない。
まだ音の直しがあるという。
おいらも、明日、通してもう一度観ることになるだろう。
ああ。
海の向こうの人。
言葉は通じなくても、音楽は通じるでしょう。
あなたにも、聞かせたいよ。
早く。
一刻も早く。
今、トオルさんから酒を飲んでいるとラインが来た。
どんなお酒だろう。
試写会のその日がゴールだとしても。
一つの山を登り切ったその美酒の味は。