昼に古賀Pからメール。
編集の進捗状況の報告。
2周目の編集が終わり、音楽監督に書き出しデータを送ろうと思っている旨を伝える。
現在の尺を聞かれる。
監督にメール。
一応、モバイルスタジオは準備しておいて、まだ編集するならできるようにしてあった。
監督は打ち合わせがあったようだけど、夕方過ぎに終わり、少しだけやろうと夜になるころ連絡が来る、
今のデータで音楽監督に渡そうと思ったけれど、また更に微調整。
監督が気になっている箇所を少しずつ直していく。
大がかりなシーンのカットはせず、細かい微調整。
今、思いつく個所は、これで一応、全て手を付けたはずだ。
監督も、ここから先はクールダウンが必要だと口にする。
頃合いということだ。
編集が終わり、前日までの編集映像を書き出したデータを監督のPCに移動。
それから、少し作品について話した。
珠玉の話。
シナリオを細かく分析して、香盤表を作成していった日々。
恐らく、このシナリオを、もっとも深く読んでいるという自負がある。
多分、そのおいらと、脚本作家の監督でしか出来ない内容についての話。
他の誰がいてもついてこれないだろうなぁと思う。
作品の内容だけじゃなくて、構造、仕掛けまで。
データの移動が終わっているのに、遅くまで話す。
帰宅して、データの修正を再度。
今日、カットそのものを変えたところもあるから、音声の差し替えも必要だった。
意外に手間がかかった。
最後の最後に、効果的な変更だとおいらとしては思える。
そして、音楽監督に渡すデータを今、書き出している。
明日の朝起きたら、5ギガ強のフルHD動画が出来上がっている。
いつも舞台公演でもそうだ。
トオルさんが、通し稽古を観れる日程というのは限られている。
(観に来れないで、台本だけ渡して、曲を創ってもらうこともあるけれど)
その日の芝居を観て、トオルさんは音を創る。
だから、通し稽古に来る日は、いつもドキドキする。
変な芝居を見せちゃったら、それで音を作ってもらうことになっちゃうからだ。
今、まったく同じような緊張をしている。
やれるだけ編集はしたけれど、音声や色調整をしていない粗いデータだから。
今回は、2段階。
シナリオを読んで、既に20曲以上、曲を書き下ろしてくださっている。
更に、舞台で使用した楽曲もリメイクしてある。
その上で、映像を観て、曲を当て込んでくれる。
考えてみれば、これはいつもの流れの、より濃いパターンだ。
舞台でも、実際に音が付いてから、劇場で更にクリエイトする。
芝居のタイミングと音楽のタイミングの最終調整を、場当たり稽古でやっていく。
今回は出来上がった映像にそのまま当て込むのか。
それとも、当て込んだうえで、編集上で、多少の変更が必要になるのか。
そこまでは読めないけれど。
それで、大きく作品が変わるのを知っている。
いや、変わるんじゃなく、強く、わかりやすくなるのだ。
音楽という力で、芝居を更にブラッシュアップしてくれる。
このシナリオを徹底的に読み込んでいるという部分ではだれにも負けることはないと思っているけれど。
監督とトオルさんの関係性という理解度にはどうしても及ばないなぁといつも思う。
二人は阿吽の呼吸を持っている。
そりゃそうだ。
ライブハウスのステージに立って、息を合わせていたのだから。
おいらも、編集中に、監督に提案をするように努めたけれど、トオルさんの提案はもっと強く大きい。
すでにある物語のテーマを、更に浮かび上がらせてくれる。
どっちの道もあるとは思う。
更に編集を進めて、もうこれ以上ないという状態にしてから、音楽監督に渡す方法だ。
けれど、今、現時点での煮詰まった状況で、クールダウン期間が必要と感じている時。
ここに音楽という新しい提案がやってくることは、絶対的にプラスだ。
仮に曲がぴったしのタイムではまった状態で来たとしても、キャッチボールもできる。
二度手間になってしまう箇所が出るかもしれないけれど、今までの舞台だって、それをしてきた。
今の・・・いわばディレクターズカット版で、音楽を乗せてもらうのが一番だと思っている。
加藤Pにも古賀Pにも、音楽が付いてから、映像を一度送ろうと監督と話す。
その頃には、監督も、もう一度、映像の変更箇所をクールダウンして、みつけていると思う。
そのうえで、アフレコ、MA、カラコレに進む前の、作品について検討段階がやってくる。
実際に上映する形は、ディレクターズカット版を、更に一歩進めたものになるだろう。
そこから、磨き上げの仕上げがやってくるのだ。
おいらは、タイトルについてや、仕上げ作業について、今度は勉強を始める。
その間に、広田さんに再構築された映像のシナリオの書き出しをお願いしてある。
全て、同時進行で進んでいく。
監督は一端、映画を離れて、他の仕事、月末の舞台に集中してもらう。
フレッシュな状態になってから、もう一度、映画を確認してもらうためでもある。
それまでに、更に、作品が強く深くなるように。
クラウドファンディングを達成して、最初の決起回。
トオルさんが、参加してくれたあの夜を思い出す。
今は、まだ、誰に話したって、世界を目指すなんて話せば笑われる。
撮影前にも言われたけれど、撮影後の今だって、笑い話になっていく。
でも、トオルさんは、あの決起回の日。
世界を目指すということを微塵も笑わなかったし、目指そう!と言ってくれた。
ああ、こんなに心強い人がいると、あの時、感じたことを再度思い出す。
おいらは、大ぼら吹きだけれど、ほらを口にしないと、何も始まらないことを知ってるんだ。
そして、それをトオルさんも、よくわかってくれていた。
いよいよ。
監督とおいら以外の誰かがこの映像を確認する日が来た。
その最初がトオルさんなのは、とてもとても、当たり前のことだなぁと、思った。
明日の朝。アップロードして送ることになる。