午前中から編集に入る。
前回の直しを終えて、いよいよ、クライマックスに突入。
14時過ぎに音楽監督が顔を出してくれるかもとのことでそこまで集中。
一つ、集中が途切れて、時計を見ると2時間以上経過していて、一服しようと外に出ると。
そこに音楽監督がちょうど到着していた。
集中しすぎていて、携帯への連絡に全く気付いていなかったのだ。
そのまま休憩場所の公園に移動する。
先日のレコーディングの話や、気になっている箇所の話をする。
一服後、音楽監督の希望と、だとすれば・・・の監督のアイデアが矢継ぎ早に。
その場で、どんどんEDITしていく。
二人の頭の中で出てくるアイデアと、おいらの作業が全然オッつかない。
映像クリップを大胆に動かして、結果、ずれたりもする。
え?なんで、こうなってるの?と聞かれても、中々、説明が難しい。
なぜなら、すべて作業中だから。
その作業中の映像も全て、モニタには出てしまう。
そして、作業中の映像を観ながら、そうじゃないそうじゃないと指摘が来る。
指がつるわ!!とツッコミたい衝動を抑えつつ、間に合わないおいらが悪い。
エディターがやれることは、要望に即座に応えること。
二人でリズムの話を始めた隙にサササと作業をしていると、でも会話を止めて映像を観てしまう。
それでも、なんとかかんとか、三人で課題だったシーンをまとめていった。
もちろん、そこでは完成しない。
デモ音源を、本物の音に差し替えて、本物のリズムに合わせて、クリップの作成がある。
全てが交わった時に、いつものテンポのシーンになれば、いいなぁ・・・。
課題のシーンがまとまったから、一服に行く。
その間に、音楽監督に編集仕立ての後半のシーンを観ておいてもらう。
そこは、舞台でも音楽が流れていた個所だから、いまのうちにイメージだけでも伝われば。
粗編集後の、尺の固まった映像を渡してからが、音楽の仕事の開始になるけれど。
それは出来上がった曲の当て込みなわけで、その前に作曲という作業がある。
すでに20曲以上作曲しているのを聞いているから必要ないと言えば必要ないけれど。
映像を観て、想像とのギャップに、別の音源を用意する可能性もあると思っていた。
一服から戻ると、監督指示で、ここも見せておけば・・・というシーンをいくつか。
あ、ここ、こうなんだ!というシーンもチラホラ。
ああ、ここ、いいシーンだなぁ。舞台では出来ないなぁなんていうシーンも。
あそこは、舞台で音がなかったけど、つけたくなった。
そんな言葉も落ちてきた。
それだけで、今日、音楽監督が来てくださったことは大きな意味があるとおいらは思った。
実際、音楽が組みあがってから、編集の直しをする可能性だってある。
行って戻って、渡して帰って。
その繰り返しで、映画における音楽効果が、何倍にもなっていくだろう。
編集を再開する。
音楽監督はただ見ているだけ。
ちょっとそれが心配だったけれど、意外に、すぐに帰るわけでもなく作業を観ていた。
おいらは、実はそういう作業を後ろからずっと観ているのが大好きなのだけれど。
最近、劇団員の何人かと話したら、観ていられない人の方が多いと知ったばかりだ。
何をやってるかわからないし、出来上がりを観れたら、その途中経過はわからないから良いのだという。
おいらは、その逆で、実際に並べ替えたり、移動したり切り刻んだりしていく作業に、意思を観てしまう。
監督が何を見せたいか。監督がどんな違和感を気にしているのか。
そういうのが楽しくて、ただただ後ろで見学してしまう。
監督とトオルさんとエンジニアでレコーディングをしていた時も何度も何度も後ろから見ていた。
何かを言うわけでもなく、ただ観ていたのだけど、ずっと楽しくてドキドキしていた。
でも、それはそんなにたくさんの人が共有できることじゃないと、ようやく最近知ったのだ。
ふと、音楽監督を観たら、モニタを凝視していた。
トオルさんは、自分の出来ることがないただ観ているだけの編集同伴だったけれど。
やっぱり、エディットしていく、変化していくダイナミックな変化を、観ているのがわかった。
もちろん、それが楽しいかどうかまでは、本心はわからないけれど。
クリエイティブな・・・創造的な時間を共有してくれていることだけはとても伝わった。
音楽監督が帰り、編集を詰めていったところでタイムアップ。
時間的な余裕はあったけれど、監督がそのあと用事もあるし、夜になる前に切り上げた。
残すところ、クライマックスからラストシーンのみ。
そこまで頑張れば今日やれただろうとは思う。
でも、今日は今日で、大きな進展があった。
少なくても、監督と音楽監督が、映像を目の前にして、簡単にでも話が出来たのだ。
頭の中にあったイメージがついに統合されたのだ。
そこから起こる化学変化をおいらは何度も目にしてきている。
だから、今日、最後まで無理に進むよりも、きっとずっと有意義な進展をしたなぁと感じていた。
これでいいのだ。
帰宅して、音声の貼り付けの続き。
明日の編集までに、貼り付けだけは最後まで進めて、切り出しはそのあとに出来たらと思っていた。
ヘッドフォンをつけたまま、だらりと眠っていた。
ワイヤレスマウスも握りしめたままだったから、変なところをクリックしてやしないか心配だった。
あと少し。
この年末に、映像がまとまっていく。
明日、クライマックスだけになるのか。
ラストシーンまで一気に行くのか。
それはもちろん、やってみてだ。
そう。
まだ、この物語を通しで、誰も見ていないのだ。
それがついに出来るようになるのだ。