2016年12月18日

そして終盤へ。

朝からコワーキングスペースに向かう。
連日の編集に、脳が披露しているのを感じて甘いものを口にする。
監督が来るまでに映像データに音声データが乗っていなかったシーンに音を当てておく。
ガイド音声がないと編集にならないから、やっておこうと思ったけれど、昨晩間に合わなかった。
監督合流と同時に、編集がはじまる。

映画の中で起きる事件。
ここから、起承転結の「転」にシフトする。
物語の「それまで」の関係性が、全て変化し変わっていくのだ。
長い「承」が終わったことに感慨を覚える暇もなく、どんどん編集に突入していく。
確実に大きく物語が動いている。
シナリオのページ数でいえば、既に3分の2を経過した。

編集のテンポも確実に上がる。
素材の意図を見抜くのも当初より早くなっているし、EDITも早くなっている。
もちろん、繋ぎで悩むことはあるけれど、アイデアもすぐに出てくる。
脳も、編集モードになっているようで、普段から無意識に映像のつなぎ方を想定しているのだ。

すごい映像も出てくる。
普通の現場でいえば、確実に長回しと言われるような映像だ。
クレーンを駆使して、ローからパンしてと、どんどん動いて、一つの映像にまとめ上げている。
これ、このまま使いたいですね・・・なんて思うような映像。
そして、動的な映像も出てくる。
それはもう、すごい臨場感で、今までの映像と全然違う。
自然、編集方法も違ってきて、短くテンポを気にして繋いでいく。
これを大画面で見たら、どれだけ迫力が出るだろう。
スピード感あふれる編集になっていく。

編集をしていると全てのシーンがつながっていることが良くわかる。
別のシーンでも前のシーンに掛かっている。
だから、芝居が繋がっていないと成立しなくなる。
線になっているかいないか。
編集で、繋げる場合もあるし、そのまま芝居に任せる場合もある。
着地点を持っているのか、次のシーン、前のシーンを気にしているのか。
俳優にとって、どれほど大事なことか、編集をしているだけでよくわかる。

なんとなくだけれど、編集後のタイムも想定できそうだ。
恐らく、粗編集完成後で2時間20分前後か。
ただ、そのあとに、監督はソリッドにしたいようだから、かなり削れていくだろう。
やっぱこのセリフいらない。ここカットでいいや。
粗編集の時点ですでに出ているのだから、仕上げ段階ではもっと出てくる。
言葉で説明しているセリフ部分も、表情一発の方が説得力がある場合がある。
そうなったら、もう、セリフ部分なんて切ったほうが、結果的に良くなるのだ。

長い時間取り組んだだけあって、今日は大きく進んだ。
物語の転換点を越えたことで、編集に勢いがついてきたこともある。
ここから先は、それぞれの出演者のラストシーンがやってくる。

帰り道、監督が言った。
・・・結構、俺たち、頑張ってるよなぁ。
監督だって、長編の編集を主導することなんて初めてなのだ。
例え短時間でも編集をした日は、すごく疲れている。
五感のほとんどを集中させて、更に、様々なアイデアを出しながらの作業だ。
精神の摩耗は当然ある。
残念ながら、この疲れや頑張りは、中々、理解されないですねなんて笑いながら話す。

コワーキングスペースで、VR技術に触れる。
凄い未来がやってきているものだ。
あの世界の中で撮影だってできるのだ。
アニメーションの世界なんかは、あっという間に変わってしまうかもしれない。
撮影の練習をヴァーチャルの中ですることだって可能になっていっている。

ノートPCで、モバイルなスタジオなんて、かなり先進的だなぁとも思うけれど。
デジタルエフェクトなどを使っていない、いわゆるアナログなカット編集のみで進めている。
そこには、監督の観念が一つ一つ入っている。
タイトルやエンドロール以外で、デジタルエフェクトが最終的に入るかはわからない。
けれど、この粗編集では可能な限り、エフェクトもフェーディングすら使わないカット編集で進もうと話す。
映像技術を見せるのではなく、物語や芝居を見せるのだから。
同じ場所でVR技術なんて触っているから、少しそのギャップに苦笑した。

明日の編集はどこまで進むだろう。
なんとなく、ここまでは行くなと思っている場所はある。

ゴールの影ぐらいは見えてきた。

帰り道。
監督と話したように。
今日も脳内がシュワシュワしていた。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:03| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする