2016年12月06日

編み棒を動かすように

編集作業の準備をしていると、ふと孤独感を強烈に感じることがある。
これはきっと作家たちは誰もが持っているものなのかもしれない。
特にこの映画の企画は、皆で取り組もうと進んできただけに、なんだか急に一人になった気分だ。

真の映画製作は、編集からなのだと思う。
撮影までは準備だ。
おいらたちは、その撮影の準備を徹底的にやった。
そして、基本的には俳優集団で、撮影が終われば、どうしても終わった感じになる。
けれど、実際は違う。
撮影された映像はただの映像でしかない。
この映像を、映画作品にしていくのが今の段階だ。

映像を切って並べて、時には入れ替えて、物語を整理していく。
効果音が乗って、音楽が乗って、セリフが乗って、タイトルが出て、テロップが出て。
整音して、色調整が入って、最後の書き出しまで作品は都度都度アップデートしていく。
撮影現場で、バックアップしてくれたメンバーももちろん、今は何もできない。
なんとなく、孤独に作業をしているような気分になってくる。

もちろん、実際には一人ではない。
監督が当然いるし、音楽監督や撮影監督、MA、効果音、様々な人の手が入ってくる。
自分はその一部分でしかない。
それも、核心部分ですらない。
エディターなのだから、ただただエディットを繰り返すのみだ。

高校時代に、編み物が好きな同級生がいた。
男子高校生で編み物が好きというのも珍しかった。
おいらは、おばあちゃんが編み物をよくしていたので、触ったことがあるけれど。
とてもじゃないけど、自分で出来る作業じゃないなぁとつくづく思った。
編み棒を動かす細かい手つきを観ているだけで、ちょっと、ぞっとした。
編み物をしている人が良く言うことがある。
自分のセーターは編めない。誰かのセーターだから編める。
これは、ものすごく真理をついているなぁと、芝居をしてから思った。
人は自分が大好きなようでいて、意外に自分のためには、地道に頑張ることが出来ない。
本当に頑張れるのは、誰かのための時だけだ。
十代のころ、限界を超えて頑張るには、もう自分のためでは体が動かなくなって、初めて理解できた。

そんなおいらが、編み物のようなことをしている。
地道に、編み棒を動かし続けている。
これはやっぱり、自分のためじゃないなぁとつくづく思う。
編集しながら、そこに登場している役者が少しでもよく映ったらいいなぁなんて考える。
いや、むしろ、役者なんかよりもこの映画を観てくださる方が、少しでもわかりやすくなればとか、楽しめればとか。
そんなことばかり考えているからこそ、この指が動く。
それがなかったら、こんな作業なんか、きっと出来ない。

このなんというか。
この思いの持っていく場所がどうしてもわからなくなることがある。
小野寺、一生懸命すぎて笑っちゃうんだよねなんて言われて、おいらも一緒に笑うんだけど。
後になって、滑稽なんだなぁ、おいらは。と、つくづく思ったりする。
気持ちで動いているとしか言えない状態だけれど、その気持ちようなものの持っていき方に不安を覚えることもある。
まぁ、そんなものを持とうが持つまいが、のしのしと前進してしまう性分なのだけれど。
それでも、やっぱり、不格好な自分を強烈に自覚することがある。

格好良く立ち居ふるまえればいいんだけどね。
どうもそうならないなぁ。
とにかく、今、この予算で最大限に出来ることを全てやる。
プロフェッショナルな作業をよりよくするために、それが入る前に出来ることは全てやる。
応援してくれた支援してくれた人の思いにだけは絶対に応えていく。
それ以上でもそれ以下でもないのだけれど。
世界が急速に狭くなっていって、苦しくなる。

なるほど。
これが、編集に立ち向かっていく、第一の壁っぽいぞ。
そんな風に思い始めている。
技術的な壁が待っていると思っていたのだけれど。
想像以上に、色々なことを出来る。
むしろ、技術的なことは、進歩を感じながらできるから、それほどの壁になっていない。
ただ、今、壁があるとすれば、孤独なことだけだ。
観てもらうまで、どんなことをやってるか、誰もわからないんだもの。
そして、そうなればそうなるほど、一人だけ不格好なんじゃないかなんて思い始めるもの。

全員で必死になって、クラウドファンディングに挑んで、撮影準備をして、撮影をした日々を思うと。
当たり前にそうなるんだなぁと、今になって理解する。
もうちょっと早めにそうなるってわかってたんだから、理解しておけって話だけれども。
もちろん、楽しんでいる部分だってたくさんあるんだけどさ。

監督もそうだろう。
作家はいつだって孤独だったはずだ。
一人でペンを動かし続けることは、そういうことだ。
小野寺あたりに、書け書けとあおられながらさ。

凄い映画にするんだぁ。
絶対にしてやる。
出演者が出演者なのに、泣いちゃうぐらいすごくしてやるんだ。
それしかない。
それ以外にない。

監督が、役者たちが。
大絶賛されたら。
そう思う以外に、前に進む方法はない。

編み棒を動かすように。
ほんの数ミリ、マウスを動かす。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 05:26| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする