是枝監督のインタビューがYahooニュースのエンタメ板でトップ表示されて話題になっている。
映画製作を始めて、様々な映画関係のフォローをしているけれど、少しざわついている。
どの意見も本気だし、たぶん、当たっていて、それぞれの意見が尊重されるといいなと思う。
若手映画監督が、育ちづらい土壌という問題は、ここ数年ずっと言われているらしい。
おいらは小劇場畑でずっと芝居をしていた。
もちろん、映画の世界のこととかも気にしてはいたけれど、映画畑の人間からすればきっと門外漢だ。
少なくてもこっちの人ではなくて、あっちの人なんだろうなぁって思う。
今回の映画企画は、だからこそ、出来たことがたくさんある。
小劇場畑の技法や製作方法を当たり前のように導入していったからだ。
色々なことを、ありえないとか、出来るわけないと言われた中で、実現していった。
もちろん、最初からそのつもりだった。
同じ作品を作るという場所にいて。
あっちの畑、こっちの畑と、見事に別れちゃっているのは、あまり面白くない気がする。
少なくても、ここに書かれているインタビューの問題点は、小劇場界ではクリアされている。
そもそも、予算なんか限られていて、時間も限られている小劇場。
それでも、公演を打つ方法を編み出して、同時に若い作家や演出家がどんどん生まれている。
高校演劇や大学演劇も、昔に比べたらものすごい進歩していると聞く。
若い作家が育っていないっていうのは、確かに映画の世界ではそうなんだろうけれど。
実は、こっちにたくさん才能のある人がいるんだぜって、思ってたりする。
ただ、なんていうか。
門外漢だからこそ、ちょっと、そのざわつきに違和感を感じている。
おいらたちは、お客様が来てくれなかったら、即劇団解散につながる。
動員できない作品は、続けることなんか困難だ。
だから、映画会社が国内での動員を目指していることは当たり前だし、動員できないなら作れないのも当たり前だと思う。
もちろん、その動員にも幅があってしかるべきで、全国上映から単館上映まで幅があればいいなぁと思う。
大ホールと小劇場があるように、劇場に合うサイズの芝居だって生まれてくるから。
おいらは、是枝監督の作品は大好きだし、言っていることはわかる。
けれど、国内で受けるものしか作らない現状への危機感は、国内に受けないけど海外を目指すみたいに読めてしまいかねない。
作家性の強い作品だとしても、やっぱりある一定の支持を受けられなければ、それは作品にならない。
芸術家は死んでから評価されるなんて言うのは、情報化社会の現代ではありえないはずだよ。
やっぱり、作品を作る以上、国内とか海外とか関係なく、楽しんでくださる誰かを見据えないといけないと思う。
それと・・・。
なんというか・・・。
すごく下品なことを考えてしまった。
そもそもだ。
日本映画で海外で評価が高かった作品ってさ。
もちろん、芸術性の高い作品もたくさんあるのは知ってるけれどさ。
それこそ、やくざ映画とか、チャンバラ映画とかさ。
エンターテイメント映画や、特撮や、今でいうB級映画を面白がってた人ってたくさんいる。
あれは、芸術性なんて考えてなかったんじゃないかなぁ。
むしろ、エンターテイメントで、見に来てくれる人を楽しませよう!しか、考えてなかったんじゃないかなぁ。
黒澤明監督作品は大好きだけれど、おいらの目には芸術作品には見えていない。エンターテイメント作品に見えてる。
ただ面白い作品っていうか。
そういう作品を、芸術性の高い映画より下って見る雰囲気をすごく感じることがある。
でも、実際にはどうなんだよ?って思うとさ。
ハリウッドでは、日本のチャンバラ映画やヤクザ映画や特撮映画や黒澤映画を教科書にして、今も作品を作ってる。
それどころか、ハリウッドの技術者の中には若い日本人が何人もいる。
そっちの方が、そもそも日本映画が生み出したものじゃないかって思うんだよなぁ。
スターウォーズやら、タランティーノに持っていかれちゃってどうすんだよ、日本映画界!って思うけどなぁ。
芸術性の高い作品も好きなんだけどさ。
だから、海外を目指すべきだっていうのは大賛成だけど。
そして、国が出資するなら、それも素晴らしいって思うけど。
あんまり、役人とかが入って審査する人とか入って、高尚な作品はうんぬんな流れになってほしくないなぁ。
まぁ、実際に今、そういう振興基金ががあるから書くんだけど。
出資して若い監督に映画を作らせるぐらいなら、もっともっと他の方法がある気がする。
下品で、通俗的な作品が、ざくざく生まれる状況を作ったほうが面白いと思う。
想像しちゃうんだよなぁ。
大きな映画会社が、競い合ってる中で。
やくざ映画が年間に何十本も作られていてさ。
やっぱりこっそり、ライバル映画も映画館に観に行っちゃう。
くそお。面白い。こっちはもっと面白いの作ってやる!
みたいなことが繰り返されていたんだと思うだよ。
で、お客様も、あっちのが好きだ、こっちのが好きだって好きなように言ってたんだろうなって。
そんな中で、高倉健さんが生まれたり、菅原文太さんが生まれたんだと思う。
そこに、芸術性なんか、微塵もなかったと思う。
ただただ、面白い作品を目指していただけだよ、きっと。
日本映画が世界から忘れられて行ってるのだとしたらそういうことじゃないかなぁって。
勝手に下品な想像をしちゃったんだよな。
是枝監督はインタビューで芸術的な映画云々は一言も言ってないんだけどさ。
その周りでざわついている色々な映画関係の人の言葉は、ちょっと、そういう匂いがしまくってた。
賛同しているにしても、反対しているにしても、門外漢のおいらには、違和感だった。
やっぱ、一般を巻き込んで、面白がっちゃうような作品が生まれないと、何も変わらないと思う。
映画関係者の中でだけ評価の高い作品なんて、世界では評価されるわけないよって思う。
まぁ、まだまだ門外漢だから言えることだけどさ。
映画が完成したころにはなんにも言えなくなっちゃうんだろうけどさ。
あははははは。
でもなんていうか。
うん。
まず目の前のお客様に向けた作品にするのだと、逆に、強く思った。
もちろん、最初からこの企画は世界を目指すなんて言いきってるのだけれど。
2時間の映画を1時間に感じてしまうような作品になるといいなって思った。
あっという間に見終わっちゃったよって思えるような作品。
そして、それを国内でも世界でも、観た人が共有出来たら最高だなぁ。
全然、下品な映画でも構わないなって思った。
高尚な作品なんてないって、改めて思うようにしよう。
やっぱり、映画館で上映された時点で、全ての作品は等価なはずだ。
下品も高尚もない。
そういうもののはずだ。