雪の日。
朝、家を出た瞬間にちょっと引く。
50年以上ぶりの11月の雪にしては、吹雪のようなソレ。
雪は嫌いじゃないけれど、最終撮影に影響が出ないか心配になる。
積雪が残らないまでも、全ての葉が落ちているような景色になっていたらどうなってしまうだろう。
とにかく、考えないことにするしかないか・・・。
繋がらなければ、その時に考えるしかない。
前日の続きで夜から作業。
それまでの編集された部分の整理と、これから編集するシーンを並べる作業。
目標の場所まで第一段階で到達したから、次の目標までは並べておきたい。
起承転結でいうところの「承」
大抵の物語では一番長い部分になる。
ここをどうやってリズム良くみせられるかで作品の性質が変わる。
「転」と「結」が面白いのは当たり前なのだから。
転がる石のように、観ているだけで楽しいような「承」になるといいなぁ。
クライマックスに辿り着くまでの道だ。
並べていて気付いたこともある。
ああ、ここはシナリオ通りだと、絶対に繋がらないなというシーンが見つかった。
意図していた事と違う流れになっていた。
まぁ、こればっかりは仕方がない。
恐らく、シーンナンバーを変えるか、1シーンカットするしかないように思える。
監督がどっちで解決するのか・・・。
まぁ、後者になるだろう。
今まで一度も観ていないシーンを観て、ああ、こんな風になっていたかというのも多数見つかる。
やはりシーン単独で観て、面白いなぁと感じる場所が一か所でもないといけないと思った。
同時にシナリオのページ/分を現時点で確認してみる。
やはり1ページ当たり、約1分で現在の編集点まで続いている。
この1ページは、通常のシナリオの2ページ分の分量がある。
その上、通常のシナリオでは映画の場合1ページ大体2分だという。
つまり、この作品は通常の映画の4分ほどの情報が1分に詰まっていることになる。
この情報量を観覧したお客様がどれだけ理解していくれるのかが鍵だ。
あっという間に、過ぎていくのだから、ついていけないスピードである可能性もなくはない。
・・・とは言え、ついてこれないぐらいの情報量とスピードで進んで、このシーンぐらいから作品に感情移入していく・・・
そういう組み立てぐらいは実は計算しながらやっているのだけれど。
計算通りになるかどうかは、結局、観ていただくまではわからないのだ。
舞台は圧倒的な生々しさがある。
当たり前だ。
だって、お客様の目の前に、役者が立って息をしているのだから。
そこに同時に存在している以上、それ以上の生々しさなんてありえないと思う。
けれど、映像を観ると、それ以上の生々しさもあるんだなぁと気づく。
それは、リアルではなくて、リアリティの問題だ。
現実を虚構が軽く支配してしまうことは、実際の世界でもよくあることだ。
映像に残る役者を観て、やけに生々しく感じる瞬間が何度も訪れる。
・・・とは言え、それがずっと連続するわけではない。
舞台の持つ生々しさに迫るような、映画になるには、きっと編集を追い込んでからになる。
そして、観てくださる方が、感情移入して、作品に没入した時に、それは訪れるのだろう。
ほぼシナリオの半分までシーンを並べてから今日の作業を終えた。
深夜のコンビニに出かけると、すっかり雪のかけらもなく、路面凍結さえしていなかった。
寒いのは寒いけれど、玄関の真冬ともちょっと違った。
本当の冬が来る前に全ての撮影が終わる。
本当の冬に、編集が出来上がるだろう。
今はまだ途中で、道半ばだけれど。
これが出来上がって、どこかの知らない誰かが、どんなことを思うのか想像するだけで、楽しくなる。
これが出来上がって、日本を超えたどこかの国で、誰かが何を思うのか想像するだけで、ゾクゾクする。
没入してもらいたいなぁ。地球の裏側の人たちにも。
今週中に全てのシーンを並べておこう。
それだけで、編集の効率も上がっていくはずだ。
とりあえず、それを目標にしよう。