スーパームーンな満月。
正確には日付的にはどうなんだろう?
少なくても、この夜半に一番正円に近づくハズだ。
日付的には、今晩になるのだろうけれど。
映画撮影で秋の舞台公演を飛ばしたままのおいらたちは、新春公演を決める。
既に劇場には連絡済みだから、近日中に発表になるだろう。
恐らく、かなりプレミアムなチケットになるかと思う。
映像をやるから、映像役者になるのではない。
小劇場をやってる連中が、映画に挑戦したのだ。
ただおかげさまで、編集に向かいながら、またしてもやらなくてはいけないことが増える。
編集作業は今週にも始めないといけないし、同時に、舞台制作もすると思うとぞっとする。
まぁ、やれなくはないか。
ここまでやれて、やれないことなんか何もないさ。
ちょいとバカバカしいけれど、同時にやっぱり、こいつらは変わらない。そういう作品になるといいな。
終わってから、飲みに行く。
飲み屋にいたメンバーにスマホで、スチールをいくつか見せる。
もちろん、全部を見せるなんてことは数的に不可能だし、電池が持たない。
そこにいたメンバーの、こんな写真があるよという話。
写真を見たとたんに、それぞれ、あの場所、あの空気がぶり返したみたいだ。
河原は、なんだか、写真を観ちゃうと、もう、来ちゃうねぇなんて言っていた。
そのあと、未来の話になる。
もちろん、この映画が海外で評価されるとか、日本でヒットしちゃうとか。
そんなのは、そんなに簡単なわけがないと全員ちゃんと理解している。
しているけれど。
簡単じゃないことを、おいらたちは一歩ずつ一歩ずつクリアしてきた。
だから、それを語る権利ぐらいはあるんじゃないかと思う。
映画というのは、様々なたくさんの人の力が結集して初めて成立するものだとおいらたちは学んだ。
その力の結集は、もちろん、たくさんの角度を含んでいる。
プロである以上、お金の面もあるし、契約だとか、あるいは技術的な面もある。
大人としての付き合いがあって、そこには信頼が必要だ。
けれど、やっぱり、もう一つ、気持ちがある。
この映画を思い出せば、明らかに、たくさんの人の気持ちが集まったからこそ、出来たのだ。
作品のテーマだけじゃなくて、全てのおいてだ。
それは、クラウドファンディングで支援してくださった皆様の気持ちから始まって。
朝陽館や資材を提供してくださった皆様の気持ちがあって。
ロケ地を提供してくださった企業担当者様の気持ちがあって。
スタッフさんたちの気持ちがあって。
そして、もちろん、おいらたち俳優陣の気持ちがあって。
たくさんの恩や義理があって、その全てに感謝をきちんと持とうと改めて話した。
その全ての皆様を裏切るようなことは、絶対にしてはいけない。
それは、礼儀だし、同時に大人であることだし、何よりも、そういう人間であるべきだ。
誠意こそ、今、自分たちが持てる最大のものだ。
それがないのであれば、そこに立つ資格さえ持てない。
映画を撮影したね。
嬉しかったね。
楽しかったね。
・・・ではない。
もちろん、眠かったとか寒かったとかでもない。
人生の思い出作りではない。
これは、今までの全てのことへの、感謝だ。
感謝の塊だ。
積み重ねた思いへの、返答だ。
まだここからお世話になる方々がいる。
編集といったって、完パケや、映画館に送る形式にするまで。
或いは、公開や、海外出展するまで。
たくさんの人のお力をお借りすることになる。
ただ仕事だけというわけではない。
その向こうに、気持ちがあることを忘れないようにしよう。
今、この映画をどうにか世に出せないか考えてくださっている人がいるのだから。
これは、そうやって製作していく映画だということをもう一度深く思った。
飲み屋で話すみんなの思いを聞いて、もう一度深く思った。
思いが連鎖している。どんどん繋がっている。
満月か。
そうか。
礼さんに逢いに行った日から、ひとつきだね。
たくさんの思いをあの月は見ていた。
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