夕闇のパンパン小屋~リハ日より
ロケ地のご担当者様に現場スチールを送って、承認が下りた。
写真の数も多く、承認まで時間がかかりますとすぐに返信があったから覚悟していたのに。
すぐその翌日の夕方に、承認してくださった。
ありがたい話です。
承認された写真は全て、監督と制作プロデューサーには共有していただく。
このスチールが、いずれ、映画のポスターやWEBなど宣伝に利用されていくだろうからだ。
仕込み~リハ中の写真、ポスター用の写真、そして本番中の写真。
どんなふうに宣伝に使われて、どの写真だとネタバレするのかもわからない。
だから、仕込み~リハの写真の一部からしか、しばらくはこのBLOGにも掲載しないつもりだ。
この写真は公開までは・・・のような写真があるかもしれないから、他の役者たちにすら配布も共有もしていない。
実はすでに、クラウドファンディングで支援していただいた方のみお楽しみいただけるアップデートには更新している。
ログインすれば、コレクターの皆さんのみ楽しめるようにしてある。
ただ、やっぱりこのBLOGをずっと読んでくださっている皆様もいらっしゃる。
たまには、今日のように掲載出来たらなぁと思っていたりする。
この写真は、元の写真を多少加工してある。
色相とコントラストをいじって、4:3だった写真を実際の映画と同じ縦と横の比率に切り抜いている。
夕闇のパンパン小屋・・・
窓から漏れる生活の灯。
玄関の向こうには、小あがりに腰かけた寺庵先生が見える。
ただ書いてあるように、これは撮影本番ではなくて、リハ日の写真だ。
実はリハの前日に照明の仕込みを殆んどしてあって、暗くならない程度に回路を繋げておいてくださった。
だから、この漏れている灯は、パンパン小屋の地明かりの基礎の基礎だけだ。
それでもここまで絵になっているのは、場所が持つ力と、美術のバランス、そして、トタンと木造とガラスで出来た美術のおかげだ。
実際の映像はこれに更に照明効果が追加されて、動きが生まれてくる。
もちろん、画質や色味も大きく変わってくる。
今日また一つ進んだ。
来週には映像データを受け取れること。
そして、最後の撮影日が、候補とは言え仮で決まったこと。
スタッフさんのスケジュールすり合わせに問題がなければ、そのまま進むことになる。
そして、来週にはいよいよ編集がはじまるということだ。
MAについても、まず最初の一報を入れた。
もしかしたら、歌録りだけ、早めにやりたいかもしれないとの意見をいただく。
確かに、MA前に歌のマスターが出来ていた方がスムーズにいく。
アフレコがあったとしても、歌とはまた全然違う話だ。
だとすれば、MAやアフレコとは別日で、レコーディング日も決めていかなくちゃいけない。
そうなれば、監督と音楽監督と必要な人員だけはスケジュール調整をしなくちゃだ。
音楽監督のオケが今のままなのかで、まだまだ変わるから未定だけれど。
編集に先駆けて、確認したいことがあった。
それは、実際の映像のサイズだ。
今や、デジカメは数千万画素での写真撮影が可能になっている。
今日掲載している写真も、元々は1200万画素はある。
そのサイズ感を知っていると、映像のサイズというのは、ちょっと小さいかもしれない。
最近では、4Kなどと騒がれているけれど。
それがどんなサイズで、どれほど高精細か、なんとなくしかわからないことも多いと思う。
映画館の映写機というのは、フィルムをセットして、フィルムを送って、それに光を当てて、スクリーンに投影する。
ただ徐々にデジタルでの映像制作が増えて、フィルム自体の数も減ってきて、いよいよ映写機もデジタルになった。
今回の企画の打ち合わせの最初の頃に、プロデューサーに、映画完成後の予算の話をしてもらった。
その中で、海外に持っていくにも、映画館で上演するにも、DCPにしなくてはいけないと聞いた。
このBLOGを読んでいる方はもうお分かりだと思うけれど、おいらはその日のうちにDCPについては詳細に調べた。
デジタルシネマパッケージ。
映画館で映写機にかける時の統一規格としてのデータだ。
規格として、2Kと4Kがある。
縦横比は、1.85:1
今のHDが、16:9だから、それよりも更に横に長い。
基本的には、殆どの映画が2Kで納品される。
4Kは未だにデータ量も多く編集も困難だからだ。
4Kで発売されるブルーレイの映画の中には、2Kからのアップコンバートもまだまだあるのだ。
映像は動くから、写真の画素数で考えるとちょっと少ないと感じるかもしれない。
2Kで200万画素、4Kで800万画素になる。
静止画は細部まで見るから、もっともっと画素数が多いだけだ。
実際、今のテレビだって、4Kが最高のはずだ。
ただ200万画素というのは、実際にとてつもない進化だ。
かつてのテレビ画像はSDと言われていたけれど、640×480のおよそ30万画素だった。
HDで130万画素になって、フルHDでようやく192万画素になった。
映像は縦と横に加えて、タイムラインの軸があるから、2Kというのは、相当な高精細なのがわかるだろうか。
1秒間に、その画像が24枚並ぶということなのだから、データ量は比較にならない。
フルHDが1920×1080とすれば、シネマスコープの2Kは、2048×1080。
この大きさを一度実感しておきたくて、実は掲載した写真をそのサイズに調整していたのだ。
Premiereで、徐々に露出を絞るというアニメーションをかけてみたりして、サイズ感を感じておいた。
きっと最初は操作に時間が取られるけれど、今から少しずつシーケンサーについても慣れたかった。
いわば、この写真は、おいらの勉強のための副産物だったりする。
色の調整をして、なんだか、そのままなのもと思って、ここに公開した。
もちろん、再び、WEB用にサイズを小さくしてあるけれど。
写真は動かない。
改めて、それを思う。
写真と動画では、まったく違う。
同じ圧縮技術などを使っているのに。
出来上がるものは、まったく別の文化になる。
止まっている画像を眺めながら。
この画像が動き出すことに、まるで、恋みたいに胸が高鳴った。