朝、集合と共に、土地の神様のもとに向かう。
全員でこの撮影の無事と成功をお祈りする。
ぎっちりと詰まったシナリオの全てを二日間でリハーサルしておく。
役者がそれを完全に把握できれば、当然、撮影はスムーズに進む。
おいらたちの強みは、監督の言葉に素直に「はい」と言えることだ。
撮影現場ではよくある、役者から監督への、どうしてですか?という質問はすでにない。
芝居は変わらず、現場に入って変わる段取りだけ、やっているのだ。
監督は集中している。
おいらは、事前に監督が現場に入ったら、俺はこうなるからなと、手を狭めたのを聞いていた。
集中しすぎると、俯瞰では見れずに、そこばっか見てしまう状況になるということだ。
それを監督は自覚しているから、言っておいてくれたのだと思う。
助監督もいらしているから、やりたいとか見たいところはありますか?確認する。
見たいところがなくなれば、好きなところをやってくださいと言われる。
基本的に撮影順で、どんどん進めていけばいい。
けれど、日の入り時間もあるから、外のシーンは外以外では撮影できない。
順番がテレコになる場面や、シーン中で外に出るシーンもあるけれど。
それでも、段取りを一番にする。
オーディションで受かったメンバーなど、リハにいない俳優もいる。
当然、そこにいるメンバーで代役をして、全てこなしていく。
やれることは、やれるだけ、やるしかないのだ。
プリセットや、セッティングだって、全員で手伝う。
出来る限り、そのシーンに出ている役者には集中させてあげたい。
助け合うことが、この作品のテーマだ。
明日からは戦いだ。
あまりにも忙しいし。
あまりにも気が張っているから。
少し、怒ってしまった。
大きな声を出してしまった。
大反省中。
おいらは、ダメな奴だ。
本番はこうならないようにする。
そして、更に上を目指す。
作品を素晴らしいものにするために、全力を注ぐ。
やるべきリハーサルは全てやれたはずだ。
たった二日間で、そういう意味ではよく皆、頑張った。
さて。
いよいよだ。
この言葉を使う日が来た。
クランクイン。
おいらたちは、クランクインをするのだ。
奇跡のような映画のフィルムがいよいよ回る。