怒涛の時間が迫っている。
朝から晩までやれることをやる日が迫っている。
明日、ロケ地入りだ。
本当は今日、買い出しに行く予定だった。
散髪も今日の予定だった。
でも、今日は別の用事を急遽入れる。
たぶん、おいらにできることを考えるとそれぐらいしかないから。
明日はとにかく、一日かけて、搬入と準備作業だ。
セット設営前にできる準備を徹底的にやりたいと思っている。
20年前に稼働を停止した工場。
置いてあるものを動かし、掃除をしていく。
工場内や室内だけじゃない。
落ち葉もあれば、栗も落ちている。
それどころか、もともとなかった場所に木が生えている。
ここに撮影場所もバックヤードも設営していくのだ。
敷地内のどこで撮影するのかも、見えているけれど。
それでも撮影の中で、やっぱり、こっちで撮影しよう・・・なんてこともあるかもしれない。
そういうことまで含めて、考えなくちゃいけない。
美術スタッフさんと、作りながら、これがある、あれがあると忘れないようにしていくしかない。
買い出しから帰って、ふと、家の中を見ると、尋常じゃない量の荷物があるのがわかった。
自分の衣装や小道具はもちろんなのだけれど、それ以外のものもたっぷりあった。
貸し出しの衣装もあるし、○○がみつからない!なんて連絡が来て、調達したものもある。
このすべてをロケ地に運ぶのはちょっと、難しいと気づいた。
毎日少しずつ運べば、まぁまぁ、自転車でも運べるかもしれないなんて思っていたけど。
こりゃ、そうでもねぇな。考えてみれば、衣装だけでも、自転車の籠に入りきらないのだから。
美術設営に入れば、稽古どころではなくなるだろう。
なんせ肉体労働が続くし、肉体労働の時を超えても、そこから美術感覚の時間になる。
もちろん、美術の発想も芝居心だけれど、自分の役に生きるっていうのとは乖離している。
もっと全体感を含めた想像力で、手伝うことになるはずだ。
でも、やっぱ、最高の美術の中で映画撮影したいもんね。
だけど、腹の底に芝居をとどめておかないとだ。
撮影に入ったら、今度は一発OKを連発しなくちゃいけないだろう。
おいらは、自分の芝居をどう熟成させるか、考えなくちゃいけない。
そして、自分の中から生まれてくるものに期待する。
美術設営中の写真を少しずつ公開したいのだけれど・・・。
一応、敷地を貸してくださる企業様に確認してからになる。
毎日、写真を確認していただくなんて手間じゃないかとも思うのだけれど・・・。
実際の映画を観るまで、美術は少ししかわからないほうがいいのかもなとも思う。
その辺はとても微妙なバランスだ。
さあ。
今日は。
今日しかやれないことをやろう。
それしかないさ。