朝起きて、シャワーを浴びる。
そのまま自転車にまたがって、ロケ地周辺まで向かった。
近隣の方々にお知らせを渡しに行った。
一軒一軒、チャイムを鳴らして、ご挨拶とお知らせを渡す。
どの方も、優しく対応してくださった。
ロケ地敷地に面しているとある工事会社がある。
おいらは、縁があって、数年前にとてもよくしてくださった会社だ。
そこに向かったら無人だなぁと思っていたら。
軽トラが入ってきた。
思わず頭を下げて挨拶すると、当時は話したこともなかった社長だった。
映画の概要と、過去にお世話になったことを話す。
社長は、気さくに、了解してくださるだけではなくて、トイレまで貸してくださるという。
それどころか、色々気にかけてくださって、紹介するよといろいろ教えてくださる。
頭を下げて一礼して、ご厚意に感謝する。
そのまま周囲の民家だけではなく会社にも顔を出してみる。
足場やさんがあって、そこの方は、必要なら、ボロボロの角材をくださるという。
フォークリフトと、仮設トイレの設置をしたいという話をしていたら。
そこから、リース会社の場所を教えてくださった。
おいらは、ケッタにまたがって、リース会社に進む。
そして、2軒のリース会社に辿り着き、見積もりをしていただく。
フォークリフトは、まだ検討だけれど、仮設トイレはとても安く貸してくださりそうだ。
一つ安心した。
そのまま不動産屋さんに顔を出して、インフラ・・・ロケ地の電気と水道について相談。
連絡先をいただいて、少し休憩をとると、前述した工事会社のメンバーの車が見える。
もしかしてと、自転車をもう一度、ロケ地周辺まで走らせると。
そこに、懐かしい面々が揃っていた。
挨拶をすると、みんな、車を降りてきて、貴重な休憩時間なのに、話をしてくれる。
みんな、おいらのことを覚えてくださっていて、それどころか、色々かしてくれると話してくださる。
何年も前にお世話になっただけなのに。
おいらが役者をやっていることは知っていて、それが映画撮影なんて話になっていることを喜んでくださる。
とてもお世話になった班長は、缶コーヒーを持って行けと、2缶無理やり自転車の籠に入れる。
なんというか、うれしくて、恥ずかしくて、幸せな時間だった。
便所だけじゃなくて、控室に使っちゃえよ!なんて言ってくれて。
さすがにそこまでお世話になるのは・・・と答えつつ。
おいらは、不思議なご縁にしびれていた。
今日、たまたまその駐車場で昼をとらなかったら、久々にお会いすることもなかったんだ。
帰宅して、インフラのための連絡をいくつかする。
母の顔を覗きに行って、ようやく、シナリオのチェックに入った。
シナリオで頭がパツパツになったから、ここから、もう一つ準備をしよう。
明日はメイクの打ち合わせをするからその資料だけでも用意しなくちゃいけない。
オーディションで合格した新しい仲間からメールが一本入っていた。
返信しながら、また、新しい縁が出来るんだなぁ・・・と思っていた。
クラウドファンディングで応援してくださった方も。
今回の共演者も、スタッフさんも。
今まで生きてきた様々な縁が、複雑に交差して、出来上がったものなのだなぁと改めて思う。
あれがなかったら、これはなかった。
そういうものがあまりにも多すぎる。
縁だなぁ。
縁は作るものなんかじゃないとつくづく思うよ。
いつの間にか出来ているものだ。
そして、それは、今まで生きてきた自分の鏡だ。
おいらは、今までいくつの縁をなくしてきただろう?
ひょっとしたら、たくさんの大事な縁を失っているかもしれない。
明日。
新しいご縁の俳優と芝居を交わす。
きっと、それがまた新しい何かを生むと思う。