2016年09月21日

至誠にして動かざる者は未だこれ有らざるなり

奇跡としか思えない。
ちょっと信じられない。
泣いた。

某一流企業の敷地をお借りしたいと思った時。
それは、99%不可能な事だと思った。
そもそも、その企業のどこの誰に連絡して、どうお願いするのかもわからない。
そんなスタートラインなだけじゃなくて、そもそも貸してもリスクしかないのだ。
そんな無謀なお願いが、通るわけがないことはおいらだって、知っている。
おいらはとっくに大人だからだ。

細い細い糸をたぐるように、担当者様に辿り着いた。
アポイントなんか取れるわけがないと思っていたのに、会えた。
そして、話をさせていただいた。
コネなどは使わずに、まっすぐにお願いするしか出来なかった。

先方のリスクをなくすために、おいらは誓約書を作成した。
ただの俳優が作る誓約書なんてたかが知れているはずだ。
だから、あらゆる同じような契約の類の資料を集めて、漏れが出ないように慎重に作成して提出した。
提出した資料は、当然、企業の法務部門で精査されることになった。
おいらが作成した誓約書じゃ、笑われてしまうかもしれない。
そんな不安な時間を過ごした。
当然、大きな会社であれば、法務部門はとてつもなく忙しい。
週の単位で時間がかかることもあると連絡があった。

今日。
誓約書に赤が入ったものが届き。
条件面でのクリアをしたとのご連絡を頂いた。
現地での利用方法の確認と書面を交わすところまで来たのだ。

信じられないほどの、ご担当者様の素晴らしい対応だった。
こんな仕事はかつてしたことがないはずだ。
初めて電話したのが先週の月曜日なのだ。
次の日には会って、その次の日には現場を見せていただいて。
1週間で・・・。
なんの利も得もない。
会社様にとっても、担当者様にとっても。
もし事故があったら、もしおいらがひどいウソツキだったら。
そういうリスクしかないのだ。

こんなことが起こりうるだろうか?

しばし、このミラクルに心がざわめいて。
歩いているうちに涙が出てきた。
感謝が、感謝という言葉を軽く超越した。

最初のロケ候補地を見つけた時に、ここしかないとおいらは思った。
素晴らしいロケーションだっただけじゃない。
その土地は数十年もの間、芸術を生み出してきた土地だった。
所が、今回のこの敷地はそれを凌駕する物件だった。
何十年も本を生み出しただけではない。
土地の神様も、土地に残る遺跡も、全てがこの映画とリンクしていた。
そして、余りにも広大な撮影場所だった。
撮影スタジオが、何か所も入るような、場所だった。

劇団員にすぐにメーリングをした。
さっき、気付いたけれど、添付ファイルが大きすぎて届いていない人がいたようだ。
こんな時間だから、再度、明日の朝、送ろう。
今日まで、撮影場所を探し続けてくれているメンバーもいるのだ。

喜びに震えながら、途中だった別の資料を完成させた。
そして、それをメールでさっき送り終えた。
喜びすぎて立ち止まりそうだった自分に鞭を打った。
ゴールではない。
スタートが切られたのだ。
ここからが、本当に大変なのだ。
だから、喜びを抑えて、もくもくと作業にいそしんだ。

一体、この企画は、いくつの奇跡を呼び込むんだろう?
クラウド・ファンディングの大逆転も、朝陽館で道具を頂けたことも。
どう考えたって、普通じゃない。普通に起こることじゃない。
それが、撮影の1か月前に、こんな奇跡が起こるなんて。
奇跡のような撮影や、奇跡のような映画にしろと誰かに言われているみたいだ。

まだ実感がわかない。
とにかく、来週の現地での確認の日程を決めないといけない。
夢の中にいるみたいだ。

休まずに、作業を続ける。
おいらに出来ることは、至誠だ。
誠を尽くす以外にないじゃないか。
今、つっつかれたら、泣いちゃうけどね。
泣く前に、次の事に進むんだ。

本当に。
一体、どれだけの皆様に感謝をすればいいのだろう。
ただ、感謝するだけじゃ、そんなのダメだ。それこそ子供だ。
この映画を素晴らしいものにして、初めて、皆様のご厚意に応えることが出来るのだから。

大きな大きな一日だった。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:19| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月20日

最終稿があがる。

意外に誰もBLOGに書いていなかったけれど。
最終的なシナリオが校了した。
シーン番号など、修正をしなくてはいけない部分だけ直せば、これが最終稿になる筈だ。
なるべく早い段階で、スタッフさんなどにも送らなくてはいけないし、再度シナリオ解析もしなくちゃいけない。
やることがたくさんある中で、いよいよ具体的に見えてきたって事だ。
シーンごとに必要な物、その場所がどこなのか、小道具、衣装、ありとあらゆる解析だ。

正直に言えば、おいら一人でなんかとても出来ない。
出来るわけがない。
だから、頼れるだけ、仲間に頼ろうと思っている。
寄りかかれるだけ寄りかかろうと思っている。
ロケ地の問題も含めて、おいらはおいらのやれるだけのことをやるけれど。
同時に皆に、仲間にお願いして、頼って、寄りかかろうと思っている。

いつだったか。
ある時期おいらは、無頼になりたいと思っていた。
無頼漢に憧れていた。
誰かに頼らなくても、自分でなんだってやってやると思っていた。
まぁ、そのぐらいの覚悟で役者をやっていた。
多分、男の子はそういう時期があった方が良いじゃないのって今でも思っているけれどね。
自分が実際にどこまで出来るのか、やれるだけやってみないと、本当の限界なんかわからないし。
その限界を超えることだって本当は出来るかもしれないのだから。

そこから、少しだけ大人になったというか。少しだけ余裕が出来た。
やれるまで自分を追い込んでいくうちに、すっと軽くなった。
そうなってからは、人に頼ることが出来るようになったんだな。
任せるねって言えるようになった。
ただ任せることはできるんだけど。
大変さもわかっちゃうと、今度は気軽に頼んだら悪いなって思うようになった。
任せちゃ悪いかなぁって思って、頼めないこともたくさんあったりする。
実際に大変な事はたくさんあるし、やらなきゃやらないで済むことも多いからさ。

それでも、頼むときは、誰かできますか?って聞きます。
あははは。
必ず、誰かは手を挙げてくれると思っているし・・・。
或いは、ねぇ、任せちゃっていいかなぁ・・・って頼みます。

でもねでもね。
これは本当に。
絶対に俳優としては、プラスだなって思ってることをお願いしているのですよ。
それをお願いして大変だろうなぁって思いながら。
それをやることが、俳優としてはプラスのはずだよってことしかお願いしてないんです。
その・・・例えば、誰かに頭を下げることが必要な内容とかは、絶対にお願いしないからさ。
作品世界に踏み込めるようなこととか、普通の俳優が経験出来ない事とかさ。
そういうことが出来る部分だけね。
任せちゃっていい?ってお願いするようにしてる。

オーディションのスタッフもさ。
多分、すごい経験をしたと思っている。
自分がオーディションを受ける時に、プラスになる筈だって。
お手伝いさせちゃって悪いかもなと思ったけどさ。
なんとか、自分の中でプラスにしていてくれたらと思っています。

おいらがやれば1日で済むようなことを人にお願いして、何日もかかっていたりすることもあるの。
まぁ、得手不得手はあるからさ。
そういうのとか、もう、全部、おいらがやるよ!ってなりがちだから。
でも、そこで、ちょっと一歩立ち止まる。
仲間がいることが最大の武器なんだ。
そして、おいらが思っていたのとは違うようなモノが飛び出たら全部プラスになるんだって事。
この企画はおいらのものじゃない。
皆の物で、皆の思い入れが集まれば集まるほど、作品が良くなるんだって事。
そういうことを、もう一度考えるようにしている。
今のロケ地を観に行くのを一人じゃなくて誘ったのも、やっぱりそういう方が良いって思ったからなんだ。

本当にね。
いつのことやらってまだまだ向こうにあるけれど。
この映画が出来上がってさ。
海外に持っていったり、試写会をしたり。
色々な事をしてさ。
それで、どこかで公開する日がやってきた時に。
色々な事があったなぁって思うんだろうなぁ。

それを仲間と共有したい。
だから、一人では走らないよ。
歩幅なんか合わなくたっていいんだ。
皆で走るんだ。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 01:58| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月19日

同志

オーディションを行った。
オーディション開始1時間前には準備時間に入って、打ち合わせをする。
おいらはそれぞれに用意した資料となるリストを渡す。
事前に頂いた、応募者様からの情報を記載したものだ。
会場に入ってすぐに準備を開始する。
椅子を並べて、机を並べて、テキストをコピーして。
ようやく準備が整い始めた時に、最初の一人がやってきた。

受付担当を決めてあって、受付をお願いする。
おいらは、当日の連絡先でもあるから、電話対応をしたりメールを確認したり。
道に迷う方もいるし、急な用事が出来る方もいる。
想像はしていたけれど、電話も何度も鳴る。
スケジュールの運行は進めなくてはいけないから、決まった人数にはならない。
どんどん案内して、なんとか、一度に最大で数人というルール内で回していく。

応募してくださった役者様は大抵、誰もが緊張をしていらっしゃる。
そして、渡したテキストを、とても真剣に読み込んでいる。
テキストには4つのシチュエーションとそのリアクションが書かれている。
その4つのうちの監督が選んだ任意の2つの演技をカメラで撮影していく。
セリフと言えるようなものはほぼなく、ただシチュエーションを成立させて、リアクションを観ていく。
おいらは実際の審査をやっている向こう側には一度も行かなかった。
連絡できる人間が審査や選考が出来る立場にあってはならないと思うからだ。

3組ごとに、選考をする監督を始め数人には、リフレッシュタイムを事前に組んでおいた。
時間もないし、もっとビッチリスケジュールを組むことも考えたけれど、無理だと判断した。
相手が真剣であればあるほど、観ることだって疲労することはわかっていたからだ。
まして、人が人を見るという作業がどれほどのことなのか、舞台に立っていればよくわかることだ。
オーディション終盤に受ける方が、疲労した状態で選考されるのは、余り平等とは言えないと思う。
おいらは、自分が受ける立場で、何度かそういう場面に出くわしたことがある。
だからこそ、流れ作業にはならないようにそうしておいた。
思ったよりもこれが効果的だったと思う。
リフレッシュがなかったら、厳しかったと選考を担当した一人が漏らしていた。

おいらは、様々な方々とコミュニケーションを繰り返した。
電話連絡もあったし、その前日以前に電話で話した人もいる。
会場でも話したり、会場の外で見かけても話をした。
応募した方々は、やはり劇団のHPやこのBLOG、そしてクラウド・ファンディングのページも観てくださっていた。
クラウド・ファンディングのページを観ていれば、最後においらの自己紹介がある。
だから、観ている人によっては、おいらのことがわかっている人もいた。

映画作品に出演する。
作品製作に関わる。
そういう目標。
そんな大きな船があるのだとしたら、オーディションに来てくださった全員が同志だ。
同じ志を持って、芝居を続けているのだと思う。
中には「小劇場から世界へ」という目標を観ての応募だと言っている方もいた。
作品の趣旨を理解してくださっている方がたくさんいた。
舞台で活躍されている方もとても多かった。

もちろん、この中の誰と実際に芝居をすることになるのかはわからない。
けれど、この映画じゃなくても、いつかどこかで、一緒に芝居をすることになるかもしれない。
いつかどこかで、その小さな川が交差するのかもしれない。
芝居をしなくても、どこかで出会うかもしれない。
そう言えば下北沢演劇祭の事前の集まりだとか、池袋のでも、たくさんの人に会った。
だから、そういう同志との交差点なのだとおいらは思っていた。

皆様、ご参加ありがとうございました。
逆にたくさんのものを頂いたのではないかと、今、実感しております。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 19:53| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする