この映画化企画が始まった頃に、手伝った舞台「
怪獣の教え」の再演が開幕した。
まだクラウドファンディングの期間中だったことなどがあって、なんというか感慨深い。
今週末まで六本木のZeppブルーシアターで上演する。
豊田利晃監督と言えば、天才映画監督として、有名だ。
最近舞台に進出する映画監督が出てきたのはとても面白い事だなぁと思っていた。
そんな中、舞台でお世話になっていて、今回の映画企画の美術監督でもある杉本亮さんが舞台をプロデュースすることになった。
おいらはスタッフとして手伝いながら、ああ、映画の世界の人達が舞台をやろうとしている。
そのエネルギーに刺激を受けながら、小劇場の世界の人達が映画をやるということを真剣に考えていた。
このBLOGでも初演のその時期のものを読めば、毎日、刺激を受けていたことが分かる。
余り内容について、書くのはよくないなと思っていたから、その時期も触れていない。
ただ、今回は再演であり、多くのメディアや既に足を運んだ人が内容について触れているから。
簡単に、おいらの目線で、作品の紹介をまず書いておこうと思う。
舞台は小笠原。
東京から船で移動しても24時間もかかる南の島。いわゆる絶海の孤島。
飛行機のある時代24時間の移動時間は、むしろ一番遠い場所に近い場所。
島に帰ってきたモノと、島に留まるモノと、島を渡るモノの3シャが交錯する。
夢に敗れたモノと、夢を抱くモノと、夢に生きるモノの3シャが交錯する。
圧倒的な大自然に息づく「怪獣(LIVE)」と、3シャの「生(LIVE)」が実体を持った時。
世界に杭を打つ。
映画監督ならではのリアルタイムに変化していく、映像。監督自身のVJというLIVE。
実際に舞台上に常に存在し続けるバンド。轟くドラムとエッジのある音楽という生バンドのLIVE。
そして、映像の世界で活躍してきた俳優たちが、現実に舞台に立ち呼吸をして叫ぶ役者のLIVE。
記録の世界(映画)から豊田監督が飛び出して、LIVEという怪獣をこれでもかと叩きつけている。
生きていることの実感と、夢を持つこと。圧倒的な存在感を持つ実在。
舞台は虚構を越えて、現実にも杭を打つ。
フィルムから飛び出しての表現は、実在という力を得て、横浜赤レンガ倉庫に怪獣を生み出した。
その舞台が、今度は東京六本木で、再演になった。
舞台の世界で成功とはなんなのか。とても難しい。
基準がどこにあるかで、変わってくる。
興業的な成功というのもある。
或いは、どこかの誰かにその作品が深く残れば、それを成功と呼ぶかもしれない。
けれど、一番の成功はやはり、継続する事なんじゃないかと思う。
世の舞台、或いは劇団は、継続することがとても困難だ。
作品の意義、経済的な部分、維持する体制、多くの支持。
そういういくつもの要素が成り立たないと成立しないのが維持だからだ。
だから、再演が決定した時点で、この舞台は大成功しているとおいらは思う。
プロデュース公演で、公演をやったきりという舞台は、世の中に山のようにあるのだ。
おいらは、今、もう一度この「怪獣の教え」に、少なくない刺激を受けている。
今、「セブンガールズ」の映画化を進めながら、この企画の成功とは、落としどころとは、どこなのだろう?
そんなことまで考えている。
もちろん、海外で賞を取ったり、口コミでたくさんの上映が決まったり、出演者が他の作品に呼ばれたり。
考えられる成功の種類は山のようにあって、そのどれか一つでも実現したなら、それを成功と呼んでいいのだと思う。
でも、一番の成功ってなんなんだろうな。
監督が次回作の製作が出来るような動きが生まれたら、本当の成功なのかもしれないし。
もっと、想像を超えるような成功があるのかもしれないし。
それは、まったく、わからないことなのだけれど。
それでも、やっぱり、何か形に残る「成功」を手にしなくちゃいけないんだと強く思う。
そして、それは、今回の企画に少しでも関係のある全ての人がハッピーになれることなのだと思う。
もう一度、あの怪獣たちにエネルギーをもらいに行こう。
そのエネルギーは、もう一度、セブンガールズに突き進むおいらのエンジンを加速させるだろう。
作品が誰かの力になるのであれば。
それは、すでに成功だ。
その力は、次の作品を誰かが生む元になり、それが連綿と続いていく。
おいらは、エネルギーを貰い、そして、エネルギーを繋いでいく。